後援会を立ち上げて活動を始めると、「応援しているから」と寄附を申し出てくれる人が現れます。ありがたい一方で、受け取り方や記録を間違えると、政治資金規正法違反や収支報告の訂正につながりかねません。
寄附金控除のしくみや、後援会・政党支部などのお金の流れは寄附金控除の記事や政治資金の基本の記事で解説しています。この記事では、寄附を受け取る場面でまずやることと、寄附してくれた人への対応を、実務の順番で整理します。
※2026年10月時点の情報です。この記事は告示前の政治活動として、後援会などの政治団体が寄附を受ける場面を想定しています。選挙運動に関する寄附(立候補後)は出納責任者の扱いになるため、別の手続になります。細かな運用は各選管・総務省の手引で確認してください。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1.【受領前】受け取る団体を決めておく | 後援会などの政治団体として届出済みか。候補者個人では受け取らない |
| 2.【受領前】受け取ってよい相手か確認 | 個人か、会社・団体ではないか、外国人ではないか、匿名・他人名義ではないか |
| 3.【受領前】金額の上限を確認 | 同じ人からの年間の寄附が上限を超えないか |
| 4.【受領時】記録する | 会計責任者が帳簿に記載。会計責任者以外が受けたら7日以内に明細書を渡す |
| 5.【受領時〜受領後】寄附者に伝える | 受領証の発行、控除の対象になるか、年5万円を超えると氏名などが公表されること |
政治資金規正法では、政治団体の届出をする前は、政治活動のための寄附を受けたり支出したりすることができません。後援会を作ったら、政治活動のための寄附を受けたり支出したりする前に、選管(都道府県選管など)への設立届を済ませましょう。設立の準備と、届出後の団体としてのお金の出し入れは分けて管理します。手順は後援会の作り方の記事で解説しています。
また、候補者・立候補予定者個人への金銭による政治活動の寄附は、原則として禁止されています。選挙運動に関する寄附は、立候補後に出納責任者が別のルールで管理します。この記事で扱う告示前の後援会活動への寄附は、届出済みの政治団体で受け付けましょう。「本人に直接」と現金を渡されても、本人の財布には入れず、後援会の寄附として受け付けるか、受け取れないものはお断りしましょう。
次のような寄附は、受け取ること自体が禁止されています。
| 寄附者・寄附の形 | 扱い |
|---|---|
| 会社・労働組合などの団体(政治団体を除く) | 政党・政治資金団体以外への寄附は禁止。一般の後援会は受け取れない |
| 外国人・外国法人、外国人等が主な構成員の団体など | 原則として受け取れない(一定の日本法人についての例外はあるが、会社からは後援会がそもそも受け取れない) |
| 匿名の寄附 | 受け取れない(政党が街頭などで受ける1,000円以下の寄附などの例外を除く) |
| 他人の名義を使った寄附 | 受け取れない |
なお、国や自治体から補助金などを受けている会社には、政党などへの寄附についても別の制限があります。
政治団体からの寄附は、会社・労働組合とは別のルールで扱われます。寄附元・寄附先の団体の区分や金額によって適用される制限が変わるため、受け取る前に確認しましょう。
たとえば「会社の名前で振り込みたい」「家族の名前で分けて出したい」といった申し出は、法人の寄附や他人名義の寄附にあたるおそれがあります。寄附は本人の名義で、本人のお金で、が基本です。受付の段階で、氏名・住所・職業を確認できるようにしておきましょう。
受け取る前に問題が分かった場合は、受領をお断りします。すでに受け取ってしまった場合は、入金日・金額・申出人・判明した事情を記録し、自己判断で返金して終わりにせず、すぐに選管に相談しましょう。特に匿名・他人名義の寄附は、法律上、国庫に帰属すると定められており、法定の手続が必要です。
個人が寄附できる額には上限があります。後援会など政党・政治資金団体以外の政治団体への寄附の目安は次のとおりです。
| 制限 | 目安 |
|---|---|
| 同じ後援会(政治団体)への寄附 | 同じ人から年間150万円まで |
| 政党・政治資金団体以外への寄附の合計 | 1人あたり年間1,000万円まで |
これは通常の個人寄附の原則で、候補者本人から自らの資金管理団体への寄附や遺贈など、法律上の例外もあります。何回かに分けて寄附してくれる人もいるため、寄附者ごとの年間合計を管理しておくことが大切です。名簿と寄附の記録を同じ場所で管理すると、上限の確認や、後で説明する5万円超の判定が楽になります。
寄附を受けたら、会計責任者が会計帳簿に、寄附者の氏名・住所・職業、金額、年月日を記載します。
政治団体の代表者や会計責任者と意思を通じて、団体のために寄附を受けたり支出をしたりした人は、7日以内に明細書を会計責任者に提出しなければなりません(政治資金規正法10条)。寄附の場合は、寄附者の氏名・住所・職業、金額、年月日を記載します。
会計責任者は1年間の収入・支出をまとめ、原則として翌年3月末までに政治資金収支報告書を提出します(一般の後援会の場合。国会議員関係政治団体は原則翌年5月末まで)。
寄附を受けたら、受領証(領収書)を発行しておくと、寄附者との行き違いを防げます(法律上の義務ではありませんが、おすすめです)。団体名、金額、日付、寄附者名を記載しましょう。なお、この受領証と、確定申告で使う「寄附金(税額)控除のための書類」は別のものです。
一般の後援会では、同じ人からの寄附が年間合計で5万円を超えると、収支報告書に寄附者の氏名・住所・職業、金額、年月日を記載し、収支報告書は法令に従って公表されます(国会議員関係政治団体などには別の基準があります)。たとえば3万円を2回受け取れば年間6万円となり、明細の記載が必要です。名前が出ることを気にする人もいるため、受け取る前に伝えておくのが誠実な対応です。
後援会への寄附が所得税の寄附金控除の対象になるかは、対象の公職、団体の要件、寄附の時期、収支報告書への記載などで決まります。対象の公職は衆参の国会議員、都道府県知事・都道府県議会議員、政令指定都市の市長・市議会議員で、一般の市区町村長・議員の後援会への寄附は原則として対象外です。控除の対象になる後援会は、本人から推薦・支持を受けていることを示す被推薦書を選管に出しておく必要があり、設立届の際に提出するのが一般的です。区分や手続は所管の選管に確認しましょう。
新人(現職でない人)の後援会への寄附は、本人が実際に立候補した年とその前年の寄附に限られ、立候補しなかった場合は対象になりません。2027年4月の県議選に立候補するなら、2026年・2027年の寄附が対象になりえます。前年分は、立候補して要件を満たした後に書類を受け取り、寄附者の申告状況に応じて、確定申告(期限後申告を含む)や更正の請求で控除を受ける流れになります。
控除を受けるには、政治団体が収支報告書とあわせて控除用の書類を選管に提出し、選管の確認印を受けた書類を寄附者に渡す流れになります。書類が届くのは翌年の確定申告の時期にかかることもあるため、対象かどうかと時期の目安を、寄附の時点で案内しておきましょう。詳しくは寄附金控除の記事をご覧ください。
寄附してくれた人には感謝を伝えたいものですが、政治家(立候補予定者を含む)が選挙区内の人に寄附をすることは禁止されています(公選法199条の2)。後援会からの寄附にも制限があり、お礼の品も寄附にあたるため注意が必要です。
| お礼の方法 | 扱いの目安 |
|---|---|
| 寄附への個別のお礼状・受領確認のメール | 内容・時期に注意して行う。投票依頼や時候のあいさつを主にした文面は避ける |
| お礼の電話・直接のあいさつ | 一般に問題ない |
| 活動報告・議会報告の送付 | 政治活動として送れる |
| お礼の品・記念品・商品券 | 寄附にあたるおそれ。贈らない |
| 食事やお酒でのおもてなし | 寄附にあたるおそれ。しない |
| 年賀状・暑中見舞いなど時候のあいさつ状 | 選挙区内の人へは原則禁止(答礼のための自筆によるものを除く) |
いちばん喜ばれるお礼は、「寄附がどう活動に生きたか」を報告することです。活動報告や議会報告、SNSでの発信を通じて、支援が形になっていることを伝えましょう。
寄附者の氏名・住所などは、大切な個人情報です。収支報告に必要な記録と、活動案内やメール配信に使う情報は利用目的を分けて管理し、目的外に使う場合は本人の了解をとりましょう。閲覧できる人や保管方法も決めておくと安心です。
Q. 立候補を決める前でも寄附を受け取れますか?
A. 届出済みの政治団体(後援会など)であれば受け取れます。ただし、寄附金控除の対象になるかは、対象の公職かどうか、実際に立候補したか、寄附の時期(立候補した年とその前年)などで変わります。
Q. 同じ人から3万円を2回受け取ったら?
A. 年間合計6万円となり、一般の後援会では収支報告書に寄附者の氏名・住所・職業などの明細を記載する必要があります。
Q. 1回の寄附が少額なら記録しなくていいですか?
A. 金額にかかわらず会計帳簿への記載が必要です。年間5万円以下の寄附者は、収支報告書の明細に氏名などを記載する義務はありませんが、合計額は記載します。
Q. 会社を経営している支援者が、個人として寄附するのは大丈夫ですか?
A. 本人のお金で、本人の名義で行う個人の寄附であれば受け取れます。会社のお金を使うと会社の寄附にあたるおそれがあるため、振込名義と原資を確認しましょう。
Q. オンラインで寄附を受け付けたいのですが?
A. クレジットカードなどで受け付ける場合も、本人確認や上限の管理は同じように必要です。決済日・入金日・手数料を分けて記録し、決済サービスの明細を保存しておきましょう。
※2026年10月時点の情報です。寄附の制限や控除の扱いは、総務省・各選管の手引で必ず最新の内容をご確認ください。
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