駅前や交差点で辻立ちを始めると、まず悩むのが「どんな旗を立てればいいのか」です。政党の旗を持つ人もいれば、政策スローガンだけの旗の人、「市政報告」の旗の人もいます。中には、演説会の告知という体裁で本人と弁士の名前を並べた2連の旗を立てている人も見かけます。
旗の選び方は、政党に所属しているか、無所属か、現職か新人かで変わってきます。そして、どの立場でも共通する大原則が「告示前に、自分の名前や顔写真を入れた旗は、駅頭に立てられない」ことです。
この記事では、2027年4月の統一地方選挙に向けて辻立ちを続ける方に向けて、立場別に旗の選び方と注意点を整理します。道具全般のOK/NGは駅頭・辻立ちの道具の記事で解説しているので、ここでは旗に絞ってお伝えします。
※2026年10月時点の情報です。掲示物の扱いは表示内容や使い方で判断が分かれることがあります。旗を発注する前に、必ず各選挙管理委員会に確認してください。
旗が使えるかどうかは、法律上は①誰の活動として使うか、②告示前か選挙期間中か、③旗に何を表示するか、④どこでどう使うかの4点で判断されます。立場別の整理はあくまで「選び方の目安」として読んでください。告示前(政治活動の期間)の目安は次のとおりです。
| 立場 | 告示前の旗の選び方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 政党所属 | 政党名・ロゴ中心の政党旗 | 本人の名前・顔写真を入れると、個人の政治活動用と判断されるおそれ |
| 無所属 | 名前・顔写真の入らない政策旗 | 後援会名入りはNG。内容が投票依頼にわたれば事前運動の問題も |
| 現職 | 名前の入らない「議会報告」「市政報告」の旗 | 「○○市議会議員 △△」など肩書と氏名入りは原則NG |
| 新人 | 名前の入らない政策テーマの旗 | 公認が出ても、名前入りがOKになるわけではない |
告示後は、街頭演説のルールが別になります(告示後の旗で解説)。
公職選挙法143条16項は、選挙の有無にかかわらず、政治活動に使う文書図画のうち、候補者・立候補予定者(現職を含む)の氏名や、氏名が類推できる事項、後援団体の名称を表示したものの掲示を、原則として禁止しています。
のぼり旗は、この規制のうえでは「立札・看板の類」として扱われます。名前入りの立札・看板が認められるのは、政治活動用の事務所に掲示するもの(縦150cm×横40cm以内、選管交付の証票を表示、1事務所2枚までなど)や、演説会などの会場で開催中に使うものなど、限られた場面です。証票を取った看板でも、駅頭へ持ち出して使うことはできません。名前入りの旗を自転車に付けて走ることも、同じ規制に触れるとされています。
「氏名が類推できる事項」には、名前そのものだけでなく、顔写真や似顔絵、本人を指すニックネームなども含まれうる点に注意しましょう。
また、名前のない旗でも何でもOKというわけではありません。表示や演説の内容が特定の選挙での投票依頼にわたれば、事前運動の禁止(公選法129条)の問題になります。
公選法上は問題ない旗でも、歩道や駅前広場にスタンドを置く場合は、道路使用許可や駅前広場の管理ルールが関係することがあります。通行の妨げにならない配置を心がけ、必要に応じて所轄の警察署や施設管理者に確認しましょう。
政党に所属している人がいちばん使いやすいのが政党旗です。政党名やロゴだけの旗は、選挙運動にわたらない政党の政治活動として使える場合があります。
注意したいのは、政党旗に本人の名前や顔写真を入れるケースです。政党の政治活動用と認められるか、実質的に個人の政治活動用と判断されるかで扱いが変わり、個人用と判断されれば駅頭では使えません。次のような旗は、発注前に選管に確認しましょう。
なお、党の公認が出たからといって、公選法上の旗のルールが変わるわけではありません。政党旗を使ってよいかは、党の支部の方針も確認しておきましょう。
駅頭でときどき見かけるのが、「○月○日 ○○党演説会 弁士 △△・□□」のように、演説会の告知という体裁で、本人と弁士の名前を並べた2連の旗です。いわゆる2連ポスターと同じ発想ですが、旗に置き換えると扱いが変わります。
政党や政治団体が主催する演説会の告知ポスターには、弁士として立候補予定者の名前や写真を載せられる場合があります。これが、いわゆる2連ポスター(法律上の用語ではありません)です。ただし、実態として個人の政治活動用ポスターと判断されれば、143条16項の規制を受けます。
一方、のぼり旗には、このポスターの扱いがそのまま当てはまるわけではありません。立候補予定者の名前や顔写真を表示した旗を、ふだんの辻立ちで立てることは、原則として認められないと考えておきましょう。
名前入りの文書図画が使えるもう一つの例外は、演説会や講演会の会場で、その開催中に使う場合です。ただ、毎朝の辻立ちを「演説会」と呼んでも、この例外に当たるとは限りません。会場の範囲や掲示方法は、事前に選管へ確認してください。
| 表示の例 | 告示前の考え方 |
|---|---|
| 政党名・ロゴだけ | 政党の政治活動として使える場合がある |
| 「子育て支援を充実」など政策だけ | 投票依頼にわたらない範囲なら使える場合がある |
| 政党名+本人の名前 | 政党用か個人用か、実態で判断。要確認 |
| 本人の名前・顔写真 | 個人の政治活動用なら駅頭では原則NG |
| 演説会の日時+弁士名(旗) | ポスターと同じ扱いにはならない。要確認 |
なお、統一地方選に向けては、立候補予定者個人や後援団体の政治活動用ポスターが、任期満了の6か月前から選挙区内に掲示できなくなります。政党の演説会告知ポスターは実態や表示内容で扱いが異なるため、「2連なら一律OK」「一律NG」とは言えません。
旗で伝えきれない分を、発信で補う
駅頭では旗に表示できる内容が限られます。だからこそ、政策の伝え方や、日々の活動をSNS・動画で発信する工夫が大切です。ハレフルでは政治活動の情報発信をお手伝いしています。ご相談は無料です。
無所属の人は政党旗がないため、名前を入れずに「あの人だ」と思ってもらえる旗を考えることになります。
名刺やリーフレットの手渡しは、告示前の政治活動として一般に可能ですが、内容が特定の選挙での投票依頼にあたれば事前運動の問題になります。告示後は選挙運動用ビラの規制に切り替わるので、同じ配り方を続けないようにしましょう。
注意したいのは、後援会名の入った旗です。「△△を応援する会」のような後援団体の名称を表示した旗は、名前入りの旗と同じく駅頭では使えません。自分で立ち上げた地域政党や政治団体の旗も、実態が後援団体と判断されれば同じ扱いになるおそれがあるため、選管に確認しましょう。
現職議員は、「市政報告」「議会報告」といった旗で、活動報告をしている姿を見せやすい立場です。ただし、こうした言葉が入っていれば無条件にOKというわけではありません。「○○市議会議員 △△」のように肩書と氏名を入れると原則NGで、ルールは新人と変わりません。
旗は「議会報告」とだけ入れて、名前は手渡しの議会報告紙で伝える、という組み合わせが基本です。議会報告紙の作り方は活動報告の作り方の記事も参考にしてください。
新人は、まだ実績で語れない分、「何をやりたい人か」が一目で伝わる旗が武器になります。テーマは1つに絞り、遠くからでも読める短い言葉にしましょう。政策旗は新人だけのものではありませんが、名前を出せない駅頭では特に効果的です。
公認や推薦を目指している場合でも、公認の有無で旗の法的なルールが自動的に変わるわけではありません。政党旗を使えるかは、党の方針と選管の両方に確認しましょう。
告示日に立候補の届出をすると、候補者の街頭演説は選挙運動になり、旗のルールが変わります。選挙運動のための街頭演説では、選管から交付される標旗を掲げるのが原則です。候補者の名前や政策を表示した通常ののぼり旗を、演説の場所に自由に立てることはできません。
ただし、選挙運動用自動車に取り付けて使う表示物など、法律で認められた例外もあります。また、政党の政治活動用の旗は、選挙の種類や活動の主体によって別の判断になります。
選挙期間中は、政党などの政治団体の政治活動にも、選挙の種類に応じた制限があります。都道府県議選・指定都市の議員選・首長選などでは「確認団体」の制度があり、確認団体として認められた団体だけが、一定の条件のもとで政談演説会や街頭での政談演説、ポスター・立札などを使えます。確認団体の掲示物でも、候補者の氏名や類推される事項は記載できません。どの選挙が対象で何ができるかは、選挙ごとに選管の資料で確認してください。
選挙期間中の街頭演説の時間帯や運動員の人数などは、街頭演説・辻立ちのルールの記事で詳しく解説しています。
Q. 政党旗の横に、自分の名前入りの旗を並べてもいいですか?
A. 名前入りの旗は駅頭では原則使えないので、並べるのは避けましょう。政党旗だけにするのが無難です。
Q. 政治団体名だけの旗なら使えますか?
A. その団体が特定の候補予定者を支持・推薦することを主な活動とする「後援団体」にあたる場合は、名称入りの旗は駅頭で使えません。後援団体にあたるかどうかは実態で判断されるので、選管に確認しましょう。
Q. 無所属でも、推薦をもらった政党の旗を使えますか?
A. 政党の政治活動として使える場合がありますが、扱いは状況によって異なります。推薦政党と選管の両方に確認してから使いましょう。
Q. 似顔絵やニックネームだけの旗なら大丈夫ですか?
A. 本人を指すと分かる似顔絵やニックネームは「氏名が類推される事項」にあたるおそれがあります。避けたほうが無難です。
Q. 旗を自転車に付けたり、歩道にスタンドを置いたりしてもいいですか?
A. 名前入りの旗を自転車に付けるのは、看板の規制に触れるとされています。歩道にスタンドを置く場合は、公選法とは別に道路使用のルールにも注意してください。
※2026年10月時点の情報です。旗の表示内容や使い方による判断は選挙管理委員会ごとに異なることがあります。必ず各選管にご確認ください。
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