寄附の受け付けを専用フォームや銀行振込にしていれば、氏名や住所は申込みの時点でそろいます。ところが実際には、事務所に「これ、少ないけど」と現金を持ってきてくれる人や、集会の帰り際に封筒を手渡してくれる人も少なくありません。
こうした手渡しの寄附でも、後援会などの政治団体は会計帳簿に寄附者の氏名・住所・職業、金額、年月日を記載する必要があります。寄附金控除を希望しない少額の寄附でも同じです。その場で聞きそびれると、後から確認するのは意外と大変です。
この記事では、手渡し・事務所持参の寄附を受け付けるときに、その場で聞く項目と受付票のつくり方に絞って解説します。寄附を受け取る全体の流れ(受け取れない寄附、上限、記帳と7日ルール、お礼のルール)は寄附を受け取ったらまずやることの記事をご覧ください。
※2026年10月時点の情報です。告示前に後援会などの政治団体が寄附を受ける場面を想定しています。記載方法は各選管の収支報告書の手引・記載例で確認してください。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 1. 会計帳簿への記載 | 政治団体は、寄附者の氏名・住所・職業、金額、年月日を会計帳簿に記載する(金額にかかわらず) |
| 2. 収支報告書への個別記載 | 同じ人からの寄附が年間合計5万円を超えると、原則として氏名・住所・職業・金額・年月日などを収支報告書に個別記載し、収支報告書は公表の対象になる |
| 3. 寄附金控除の手続 | 控除の対象になる寄附で寄附者が控除を受ける場合は、5万円以下でも収支報告書への個別記載と確認書類の手続が必要(対象の公職・団体・寄附の時期などの要件あり) |
| 4. 受け取れない寄附を防ぐ | 本人のお金か、外国人等からの寄附ではないかなどを確認するきっかけになる |
最初は5万円以下でも、同じ人から2回、3回と寄附を受けるうちに年間5万円を超えることがあります。初回から氏名・住所・職業をそろえておけば、後から本人に問い合わせる手間が省けます。
| 区分 | 確認する項目 | ポイント |
|---|---|---|
| 帳簿の記載に必要 | 氏名 | フルネーム(漢字)。ふりがなもあると管理しやすい |
| 帳簿の記載に必要 | 住所 | 都道府県から番地・部屋番号まで |
| 帳簿の記載に必要 | 職業 | 「会社員」「自営業(飲食店)」など、職種が分かる書き方で |
| 帳簿の記載に必要 | 金額・受領日 | その場で一緒に数えて確認し、実際に受け取った日を記入 |
| 受け取れるかの確認 | 本人のお金か | 家族や会社のお金、他人の名義での寄附ではないか |
| 受け取れるかの確認 | 外国人等ではないか | 外国人等からの寄附は原則受け取れない。疑問があれば受領前に選管へ確認 |
| 受け取れるかの確認 | 今年の寄附の有無 | 年間の上限と、5万円超の判定のため |
| 事務連絡(任意) | 寄附金控除の希望 | 対象になる寄附かどうかと、書類が届く時期の案内 |
| 事務連絡(任意) | 連絡先 | 電話番号など。受領証の送付や確認のため |
会社の経営者や団体の役員から受け取る場合は特に、「個人として、ご自身のお金での寄附か」を確認しましょう。会社・労働組合などの団体は、一般の後援会に寄附できません。会社役員が個人として寄附することは禁止されていませんが、法人の資金を使ったり、名義を借りたりする寄附は認められません。
なお、受付票やチェック欄は確認のための補助です。後援会が政治団体として届出済みか、寄附者の資格、年間の上限などは、会計責任者があわせて確認しましょう。
職業は、収支報告書でそのまま使える形で聞いておくと二度手間になりません。勤務先の会社名ではなく、職業の種類を書くのが一般的です。
| 寄附者の状況 | 記入の例 |
|---|---|
| 会社に勤めている | 会社員 |
| 会社の経営者・役員 | 会社役員 |
| 個人で商売をしている | 自営業(業種が分かれば添える:飲食業など) |
| 公務員 | 公務員 |
| 医師・弁護士など | 医師、弁護士、税理士など資格・職業名 |
| 農業・漁業 | 農業、漁業 |
| 家事に専念している | 主婦・主夫(家事従事) |
| 退職している・働いていない | 無職 |
| 学生 | 学生 |
民間団体や公益法人などの職員は、実態に応じて「団体職員」などと記載します。兼業している人や退職した人には、現在の主な職業を確認しましょう。細かな書き方は選管によって異なる場合があるため、所管の選管の記載例に合わせて統一しておきましょう。
事務所の受付や集会の会場には、記入式の受付票を用意しておきましょう。寄附者本人に書いてもらえば、聞き漏れも書き間違いも減らせます。
○○後援会 寄附申込書(記入例の項目)
受付票には個人情報の利用目的(収支報告などの法令に基づく記録、受領証・控除書類の送付など)も一言添えておくと安心です。活動報告の送付などに使う場合は、別に了解をとりましょう。受付票は住所や職業を含む個人情報なので、閲覧できる担当者を限定し、施錠できる場所で保管しましょう。
現金を預かる人を決めておき、「誰が・いつ・いくら預かったか」が後から分かるようにしておくことが、トラブル防止の基本です。
職業や国籍を聞くのは、寄附してくれる人に対して気が引けるかもしれません。法律で決まっていることだと伝えると、角が立ちません。
| 申し出 | 対応 |
|---|---|
| 名前は出したくない、匿名で | 匿名の寄附は受け取れないことを説明してお断りする |
| 会社名義で(会社のお金で)出したい | 会社からの寄附は後援会が受け取れないことを説明する |
| 家族の分もまとめて、夫の名前で | 実際にお金を出した本人の名義でなければならない |
| 住所や職業は書きたくない | 記録が必要な理由を伝え、記入いただけなければ受け取らない |
| 候補者本人に直接渡したい | 候補者個人への政治活動の寄附には制限がある。後援会への寄附として受け付ける場合は、寄附先が後援会になることを説明し、本人の意思を確認する |
一般の後援会は匿名・他人名義の寄附を受け取れず、違反する寄附は法律上、国庫に帰属するとされています。すでに受け取ってしまった後で問題に気づいたときは、自己判断で返金・処理せず、すぐに所管の選管に相談しましょう。
Q. 1,000円の寄附でも職業まで聞く必要がありますか?
A. 会計帳簿には金額にかかわらず寄附者の氏名・住所・職業などを記載します。少額でも受付票に記入してもらいましょう。
Q. 名刺をもらえば受付票は不要ですか?
A. 名刺は勤務先の住所であることが多く、自宅住所や職業の記録としては不十分な場合があります。受付票で確認するのが確実です。
Q. 後日、郵送で寄附が届いた場合は?
A. 同封の手紙などで氏名・住所・職業が分からなければ、受付票を送って記入をお願いしましょう。匿名のままでは受け取れません。
Q. 受付票はどのくらい保存しますか?
A. 会計帳簿や明細書には法律上の保存義務があり、受付票を明細書と兼用するならその要件を満たして保存します。独自の受付票も、帳簿との照合や問い合わせに備えて、同じ期間を目安に保管しておくと安心です。
Q. 無職の方や、控除を希望しない方も記入が必要ですか?
A. はい。職業は「無職」と記入し、控除を希望しない場合も、氏名・住所・職業などの記録は必要です。
※2026年10月時点の情報です。記載方法や必要な書類は、総務省・各選管の手引で必ず最新の内容をご確認ください。
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