選挙運動ができるのは、立候補の届出が受理されてから投票日の前日までです。期間は、市議選(政令市を除く)・特別区議選なら7日間、都道府県議選・政令市議選なら9日間、町村議選なら5日間。この短い期間に、ポスター貼り、街頭演説、選挙カー、個人演説会、電話、SNSの発信を同時に回すことになります。
政党の公認候補なら、党や支持団体から人が来てくれることがあります。完全無所属の陣営は、家族と友人、後援会の数人で回すことも珍しくありません。人が少ないときに大切なのは、全部をやろうとせず、何を優先し、誰を固定で置くかを先に決めておくことです。
この記事では、人手の少ない無所属陣営が選挙期間をどう回すかを、役割分担と1日の流れ、優先順位、人が足りない日の対応に絞って整理します。
※2026年10月時点の情報です。報酬・弁当の上限など細かなルールは選挙ごとに異なるため、必ず立候補する選挙の選挙管理委員会の案内を確認してください。
無所属の準備を1冊にまとめました
「完全無所属で戦う 地方選挙ハンドブック」(A4・全17ページ)を無料で配布しています。「人手を集める」「選挙期間中の戦い方」の章では、少ない人数で陣営を回すための考え方をまとめています。
人が少ない陣営ほど、「その日に来られる人が、空いている仕事をする」形になりがちです。これでは連絡漏れや二重対応が起きます。次の5つは担当者を決めておきましょう。
| 役割 | 主な仕事 | 少人数での工夫 |
|---|---|---|
| 現場責任者 | 候補者の予定、スタッフの配置、街頭演説の場所の調整 | 事務所担当と兼ねることも。候補者本人に連絡調整を抱えさせない |
| 運転手 | 選挙カーの運転と安全管理 | 2人程度で交代できると安心 |
| 車上運動員 | 選挙カーからの名前の連呼、候補者の紹介 | 家族や支援者でも担当できる |
| 事務所担当 | 電話・来客対応、物品の管理、スタッフへの連絡 | 常駐が難しければ対応時間を決め、連絡先を一本化 |
| 出納責任者 | お金の出入り、領収書、収支報告書 | 毎日、会計の時間を確保する |
5人がそろわない場合は兼務も考えます。ただし、運転手が現場全体の指揮まで担うと、安全面でも運営面でも負担が大きくなります。また、兼務する場合は、後で説明する報酬の扱いに注意してください。
人手が足りないときは、すべてを同じ熱量でやるのは不可能です。必ず対応する手続きと、人数に合わせて増減する活動を分けておきましょう。
| 優先度 | 内容 |
|---|---|
| 必ず対応する | 立候補の届出、出納責任者の選任・届出、選挙用品(標旗・腕章など)の受け取り、収支の記録 |
| 優先度が高い | ポスターの掲示、候補者本人の街頭演説、有権者との対話 |
| 人数に応じて | 選挙カーの運行、個人演説会、電話での投票依頼、SNSの発信 |
| 余裕があれば | 演説会場の追加、ポスターの見回り・貼り直し、動画の追加制作 |
選挙カーや個人演説会は、必ず行わなければならないものではありません。人や予算が限られるなら、候補者本人が有権者に直接政策を伝える機会を優先しましょう。
ポスターの掲示は、掲示場の数が多いうえ、できるだけ早く貼り終えたい作業です。地区ごとに担当を決め、掲示場の地図と、自分の区画番号を確認する手順を前もって渡しておきます。業者に頼むか、ボランティアで貼るかは「公営掲示板のポスター貼り、業者がいい?ボランティアがいい?」も参考にしてください。
選挙期間中の1日は、たとえば次のような流れになります。
| 時間帯 | やること |
|---|---|
| 朝 | 事務所で当日の予定を確認。運転手・車上運動員と合流 |
| 午前 | 地域を回り、人が集まる場所で街頭演説 |
| 昼 | 休憩。SNS用の写真・動画の受け渡し |
| 午後 | 別の地域へ。商店街や駅前で街頭演説 |
| 夕方 | 駅前での街頭演説(午後8時まで) |
| 夜 | 個人演説会。事務所で翌日の予定とルートを確認 |
人が少ない陣営では、毎日の予定を夜のうちに決め、全員に一度で共有しておくと当日の混乱が減ります。LINEのグループなどで「明日の集合場所・時間・ルート」を1つのメッセージにまとめて送りましょう。ただし、名簿などの個人情報はグループに流さないようにします。
少人数陣営では、1人の急な欠席が1日の予定全体に響きます。「誰が来られなくなったら、何をやめるか」を先に決めておきましょう。
| こんなとき | 切り替え方 |
|---|---|
| 運転手が来られない | 選挙カーの運行をやめ、候補者の徒歩での活動や街頭演説に切り替える |
| 車上運動員が足りない | 選挙カーの運行時間を短くし、停車しての街頭演説を中心にする |
| 事務所担当がいない | 事務所の対応時間を短くし、電話の転送や連絡先の一本化で対応する |
| ポスター貼りが進まない | 人通りの多い地区の掲示場を優先し、残りは翌日以降に回す |
選挙期間中の予定は、すべてを実施することより、法令を守りながら候補者が有権者に政策を伝えることを優先します。
選挙運動をする人は原則として無報酬です。例外は次のとおりで、人数や金額に上限があります。
| 役割 | 報酬 |
|---|---|
| 事務員・車上運動員・手話通訳者・要約筆記者 | 払える(選挙管理委員会への事前の届出が必要) |
| 選挙カーの運転手・ポスター貼りなど単純な労務 | 払える(選挙運動そのものをしない労務として) |
| 電話で投票を呼びかける人、街頭で支持を呼びかける人 | 原則として払えない |
同じ人が複数の役割を担う場合は、実際の業務内容で扱いが変わります。肩書きを「事務員」に変えるだけで報酬を払えるわけではないので、払う前に選挙管理委員会に確認しましょう。くわしくは「ウグイス嬢・事務員・ボランティアの報酬ルール」で解説しています。
18歳未満の人は選挙運動ができません。家族であっても、電話での投票依頼や街頭での呼びかけ、SNSでの投票の呼びかけを任せないようにしましょう。選挙運動に当たらない作業の範囲は、選挙管理委員会に確認してください。
選挙運動用のビラは、証紙を貼ったうえで、新聞折込や個人演説会の会場、街頭演説の場所など法律で決まった方法でしか配れません。選挙運動用はがきにも枚数や差し出し方のルールがあります。担当者に前もって伝えておきましょう。
選挙期間に入ってから人を探したり、役割を決めたりしていては間に合いません。告示の1〜2か月前までに、次のことを決めておきましょう。
告示前にこうした準備をすることはできますが、告示前から特定の選挙で自分への投票を呼びかけると、事前運動として禁止されます。準備と選挙運動を混同しないよう、スタッフにも伝えておきましょう。人を集める時期や声のかけ方は「新人の陣営(選対)の作り方」、告示日当日の動きは「告示日当日の流れ」で解説しています。
少ない人数で陣営を回す考え方に加え、完全無所属で地方選挙に臨む方が最初に知っておきたいことを、1冊のハンドブックにまとめました。
「完全無所属で戦う 地方選挙ハンドブック」
A4・全17ページのPDFです。フォームにご入力いただくと、その場ですぐにダウンロードできます。陣営の方と共有してお使いください。
A. 選挙区の広さや掲示場の数で変わります。5つの役割を毎日埋められるかを基準に考え、足りない日は選挙カーの運行などを絞りましょう。
A. はい。家族が運転手や車上運動員を務めることはできます。ただし、候補者と運転手を除いて乗れるのは4人以内で、乗車する運動員は原則として腕章をつけます。18歳未満の家族は選挙運動ができません。
A. 選挙運動をする人には原則として払えません。届け出た事務員や車上運動員、手話通訳者、要約筆記者と、運転やポスター貼りなどの単純な労務に限って、上限の範囲で報酬を払えます。交通費などの実費弁償は、基準の範囲内で実費を支払えます。
A. いいえ。選挙カーの運行は義務ではありません。人手が足りない日は運行を絞り、候補者本人の街頭演説や有権者との対話を優先しても構いません。
A. 支援者が自宅で電話をかけること自体が、直ちに選挙事務所の設置に当たるわけではありません。ただし、そこに人を集めて継続的に作業の拠点にすると、選挙事務所とみなされるおそれがあります。
人手の少ない陣営ほど、選挙期間中の写真や動画の撮影・編集まで手が回らなくなりがちです。株式会社ハレフルは、公職選挙法を踏まえ、つど選挙管理委員会にも確認しながら、選挙期間中のSNS・ショート動画の撮影・編集をお手伝いしています。出陣式やマイク納めなど、その日のうちの納品にも対応します。
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今から投票日までにやることを時期ごとにまとめた「2027年統一地方選挙 立候補準備の完全ガイド」もあわせてご覧ください。