「子どもが小さいけれど、地方議員に立候補したい」「女性が少ない議会を変えたい」という人は増えています。一方で、選挙期間中の子どもの預け先、子連れでの活動のルール、当選後の出産・育児と議会の両立など、不安も多いのではないでしょうか。
この記事では、2027年の統一地方選に挑む子育て中の人(性別を問わず)や女性候補に向けて、知っておきたい制度と公職選挙法のルールを整理します。
※2026年10月時点の情報です。保育の認定や議会の規則は自治体によって異なります。必ず各自治体・選管・議会事務局に確認してください。
| テーマ | ポイント |
|---|---|
| 子どもの預け先 | 議員の政治活動や議員になるための選挙活動も、保育所等の「保育の必要性」の認定事由に当たり得ると国が自治体に周知(2023年)。認定は市区町村が個別に判断 |
| 子連れでの活動 | 子どもが単に同行すること自体は禁止されていない。ただし、18歳未満の子どもを選挙運動に参加させることは禁止 |
| 旧姓での選挙 | 届出は戸籍上の氏名。通称使用の認定を受ければ、告示や選挙公報などで旧姓などを使える場合がある |
| 当選後の出産・育児 | 標準会議規則の改正(2021年)を受け、多くの議会で出産・育児などによる欠席が会議規則に定められている |
| ハラスメント | 候補者男女均等法の2021年改正で、国・自治体の防止策の推進や、政党などの自主的な取り組み(努力義務)が定められた |
2023年8月10日、こども家庭庁は、議員としての政治活動や、議員になるための選挙活動が、保育所等の利用に必要な「保育の必要性」の認定事由である「就労」「求職活動」などに当たり得ることを自治体に周知しました。これにより、議員の政治活動や議員になるための選挙活動も、保育の必要性を判断する際の対象となり得ることが明確に示されました。
ただし、活動の内容や時間、家庭の状況などを踏まえて市区町村が個別に判断するため、立候補予定者なら必ず保育所を利用できるわけではありません。保育の必要性が認定されても、施設の空き状況や自治体の利用調整によって、希望する保育所に入所できない場合もあります。なお、放課後児童クラブは保育所とは利用の仕組みが異なります。
選挙期間中の保育費用が、候補者個人の生活費に当たるのか、選挙運動に関する支出に当たるのかは、支出の性質によって判断が分かれる可能性があります。選挙運動費用として計上できるかと、政治団体の資金から支出できるかも別の問題です。自己判断で計上せず、出納責任者や選管などに事前に確認しましょう。
18歳未満の人は選挙運動ができず、候補者が18歳未満の人を選挙運動に使うことも禁止されています(公職選挙法137条の2)。ただし、2023年3月に総務省が示した考え方では、子どもが同行しているだけなら差し支えないとされています。
| 扱い | |
|---|---|
| 街頭演説や移動に子どもが同行するだけ(有権者への働きかけをしない) | ○ 差し支えない |
| 選挙カーの中で授乳する | ○ 差し支えない |
| 当選後に子どもと一緒に万歳する | ○ 差し支えない |
| はがきの宛名書き、ポスター貼りなど | ○ 選挙運動に当たらない単純な作業(労務)に限り可能。投票依頼などはさせない |
| 子どもが有権者に投票を呼びかける | × 選挙運動に当たるおそれ |
| 街頭演説で子どもが原稿を読み上げる | × 選挙運動に当たるおそれ |
| 選挙カーで子どもが名前を連呼する・有権者に手を振る | × 無言で手を振るだけでも選挙運動に当たるおそれ |
| 子どもがSNSで選挙運動の投稿をシェア・リツイートする | × 選挙運動に当たるおそれ |
子どもと一緒に写った写真をポスターやSNSに載せること自体が、一律に禁止されているわけではありません。ただし、子どもに投票を呼びかけるせりふを言わせるなど、選挙運動に参加させる行為は禁止されています。内容によって判断が異なるので、迷う場合は選管に確認しましょう。子どもの顔や学校、生活圏がわかる情報の公開にも注意が必要です。
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結婚などで戸籍上の氏名が変わっていても、旧姓などの「通称」を選挙で使える場合があります。立候補の届出は原則として戸籍上の氏名で行いますが、通称使用の申請をして選挙長の認定を受けると、候補者氏名の告示や選挙公報、投票所の氏名掲示などに通称が使われます(戸籍上の氏名が変わるわけではありません)。ポスターなどの表記や、投票の際の扱いについても事前に選管に確認しておきましょう。
政治活動で使ってきた名前と、選挙で使う名前をそろえておくと、有権者に覚えてもらいやすくなります。
2021年、全国市議会議長会などが示す標準会議規則が改正され、本会議や委員会を欠席する理由として出産・育児・介護などが明記されました。標準市議会会議規則では、出産による欠席について、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)から産後8週間までの期間に配慮した規定が設けられています。多くの議会がこれに合わせて会議規則を改正していますが、実際の欠席期間や届出方法は議会ごとに異なります。また、地方議員には会社員と同じ育児休業制度が当然に適用されるわけではなく、議員報酬の扱いも条例によって異なります。
妊娠中・出産前後の立候補:妊娠中や出産前後であることを理由に、立候補が禁止されるわけではありません。体調に合わせて活動時間や役割分担を調整し、街頭活動だけでなくSNSや動画、政策資料も活用して無理のない計画を立てましょう。出産予定日と告示日・投票日が近い場合は、代理人による届出などを事前に選管に確認しておくと安心です。
2018年に施行された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(候補者男女均等法)は、男女の候補者数ができる限り均等になることを目指す法律です。2021年の改正で、政治分野でのセクハラや、妊娠・出産に関する言動などによるハラスメントへの対応が強化され、国・自治体による防止策の推進に加え、政党などにも自主的な取り組み(努力義務)が定められました。候補者や議員が有権者や関係者からハラスメントを受けるケースも報告されています。
家族の協力も欠かせません。配偶者や大人の家族は選挙運動を手伝えますが、子どもに頼めることは限られるので、役割分担は陣営の作り方の記事も参考にしてください。
Q. 選挙期間中だけ保育所を使うことはできますか?
A. 一時保育や一時預かりを利用できる場合があります。認可保育所の利用は、政治活動・選挙活動を保育の必要性として認めるかどうかを含め、お住まいの自治体に相談してください。
Q. 子どもと一緒に写った写真をポスターに使ってもいいですか?
A. 子どもの写真の掲載が一律に禁止されているわけではありませんが、内容によっては選挙運動に子どもを使ったと見なされるおそれがあります。事前に選管に確認しましょう。
Q. 男性の候補者でも、子育てに関する制度は使えますか?
A. はい。保育の認定や議会の欠席規定などは、性別を問わず子育て中の人が対象です。
※2026年10月時点の情報です。制度の運用は各自治体・選管・議会事務局でご確認ください。
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