選挙は候補者ひとりでは戦えません。告示日が近づくと、事務所の運営、選挙カー、ポスター貼り、電話かけ、SNS、お金の管理と、やることが一気に増えます。誰が何を担当するかを早めに決めておくことが、新人が本番であわてないためのいちばんの準備です。
この記事では、2027年の統一地方選(市議・区議・県議選など)に初めて挑む人に向けて、陣営(選対)の主な役割と、最初に声をかける人、スタッフを集める時期と注意点を整理します。
※2026年10月時点の情報です。報酬や選挙運動のルールは選挙の種類や選管の運用で異なる場合があります。必ず選管の手引で確認してください。
| 役割 | 主な仕事 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 選対本部長 | 陣営の顔。地域の有力者へのあいさつ、対外的な調整 | 地域で信頼のある人、後援会長が兼ねることも |
| 事務局長 | 事務所の運営、スケジュール・人の割り振り、全体の進行管理 | 段取りが得意で、毎日事務所に来られる人 |
| 出納責任者 | 選挙運動のお金の管理、帳簿・領収書、選挙後の収支報告書 | 几帳面で信頼できる人。経理経験があると安心 |
| 後援会の会計責任者 | 後援会(政治団体)のお金の管理、政治資金収支報告書 | 出納責任者と兼ねる場合も、帳簿は分ける |
| 選挙カー担当(車長) | 選挙カーのルート・時間管理、運転手・ウグイスの手配 | 地理に詳しく、時間に厳しい人 |
| ポスター担当 | 公営掲示板へのポスター貼りの段取り(告示日に一斉に貼る) | 人と車を動かせる人 |
| 電話・名簿担当 | 支援者名簿の管理、電話での呼びかけ | 話し方がていねいな人 |
| SNS・広報担当 | SNS投稿、写真・動画、ホームページ、選挙公報の原稿 | 発信に慣れていて、公選法の知識をつけられる人 |
| 受付・事務 | 来訪者対応、寄附・差し入れの受付、電話番 | 明るく、ルールを守れる人 |
役割とあわせて、陣営全体の最終判断は誰がするか、候補者への報告は誰がまとめるか、支出の承認は誰がするか(お金は出納責任者を通す)も決めておきましょう。
小さな陣営では、1人が複数の役割を兼ねるのがふつうです。最低限、候補者本人のほかに「事務局長」と「出納責任者」を早めに決めることを目標にしましょう。
責任者には、仕事ができることに加えて、違法な依頼をきちんと断れる人、お金の記録を徹底できる人、スタッフの行動に目配りできる人を選びましょう。この3人が決まると、ほかのスタッフへの声かけや役割分担がスムーズに進みます。出納責任者の仕事は出納責任者とは?の記事で詳しく解説しています。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 告示の1年〜半年前 | 事務局長・出納責任者・後援会長を決める。後援会を立ち上げる |
| 告示の半年〜3か月前 | 選挙カー担当、ポスター担当、SNS担当など主要な担当を決める |
| 告示の3か月〜1か月前 | ボランティアの募集、ウグイス・運転手の手配、当日のシフト表づくり |
| 告示の1か月前〜前日 | 役割ごとの打ち合わせ、公選法のルールの共有、出陣式の準備 |
告示前から人選・役割分担・資材の準備を進めるのは問題ありません。ただし、特定の選挙で投票をお願いするなどの事前運動(公職選挙法129条)はできないので、準備活動と選挙運動を区別しましょう。選挙カー・受付・ポスター貼り・電話などは、欠けたときの予備の人員も考えておくと安心です。
ウグイスや運転手、ポスター貼りの人手は、統一地方選の時期は取り合いになります。年内から声をかけておくのが安心です。
選挙運動を手伝う人は、原則として無償のボランティアです。選挙運動をした人に報酬を払うと、買収罪に問われるおそれがあります。例外は次のとおりで、「選挙運動をする人への報酬」と「選挙運動ではない作業への対価」は別の扱いになります。
| 担当 | 報酬の基本的な扱い |
|---|---|
| 投票依頼などをする一般の運動員 | 原則として無報酬(実費弁償は可能な場合あり) |
| 選挙事務所の事務員 | 選管への届出などの条件を満たせば、法定の人数・金額の範囲内で支払える |
| 車上運動員(ウグイスなど) | 同上 |
| 手話通訳者・要約筆記者 | 同上 |
| ポスター貼り・物の運搬などの単純な作業をする労務者 | 選挙運動をしないことが前提。法定の上限内で作業の対価を支払える(事務員等とは届出の扱いが異なる) |
| 選挙カーの運転手 | 運転業務の対価は払える場合がある。投票依頼など選挙運動もするなら扱いが変わるので、業務内容を明確にして選管に確認 |
肩書きで報酬の可否が決まるわけではなく、実際にどんな仕事をするかで判断されます。人数・期間・金額には法令で定められた上限や、選挙の種類に応じた条件があるため、2027年の選挙の選管資料で確認してください。詳しくは報酬ルールの記事も参考にしてください。
次のような人は、選挙運動ができなかったり、立場を使った選挙運動が禁止されていたりします。
家族や知人が公務員や教員の場合は、手伝ってもらえる範囲を事前に確認しておきましょう。
総括主宰者、出納責任者、地域主宰者など、法律で決められた立場の人が買収などの一定の選挙犯罪で刑に処せられると、候補者本人が関わっていなくても連座制で当選無効や立候補制限につながることがあります。候補者の親族・秘書や組織的選挙運動管理者等も、法律で決められた条件を満たす場合は対象になります(公職選挙法251条の2・251条の3)。肩書きだけで決まるものではなく、すべての違反が対象になるわけでもありませんが、全員で同じルールを共有することが、陣営を守ることにつながります。
Q. 家族だけで陣営を作れますか?
A. 小さな選挙では家族中心の陣営もありますが、出納責任者や事務の負担は大きくなります。少なくとも1〜2人、外部の協力者を確保しておくと安心です。
Q. 選挙プランナーなど外部の専門家に頼むべきですか?
A. 必須ではありませんが、初めての選挙で段取りに不安がある場合は選択肢になります。企画・制作・助言などの業務委託と、投票依頼などの選挙運動への報酬は区別が必要です。契約書に業務の範囲と対価を明記し、実際の活動が有償の選挙運動に当たらないか確認しましょう。
Q. 選対本部長や事務局長に報酬を払えますか?
A. 肩書きだけでは決まりません。選挙運動への報酬は原則禁止で、実際の仕事が法律で報酬を認められた事務や労務に当たるか、届出などの条件を満たすかで判断されます。
Q. ボランティアにお礼をしてもいいですか?
A. 選挙運動をしたことへのお礼として金品を渡すと、買収にあたるおそれがあります。湯茶とこれに伴う通常程度のお菓子は出せます。また、選挙運動従事者や労務者には、選挙期間中、法律で決められた数量・金額などの範囲内で弁当を出せます。選挙運動への謝礼として飲食物を出すことは避けましょう。
※2026年10月時点の情報です。報酬や選挙運動のルールは、必ず各選管の手引でご確認ください。
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