立候補を考えはじめた新人が、早い段階で向き合うことになるのが「家族にどう話すか」です。選挙は本人だけの挑戦に見えますが、実際には家族の生活や時間、お金、周りからの見られ方にも影響します。
家族の理解がないまま走り出すと、告示が近づくほど家庭の中で負担が積み重なり、活動そのものが続かなくなることもあります。反対に、早めに話し合って役割を決めておけば、家族は一番身近な応援団になってくれます。
この記事では、はじめて立候補する方が家族と話しておきたいことと、家族が手伝うときに知っておきたい公職選挙法のルールを整理します。
※2026年10月時点の情報です。選挙のルールは選挙や自治体によって細かな違いがあります。判断に迷うときは、必ず立候補する選挙の選挙管理委員会に確認してください。
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家族に相談する前に、まず自分の中で次の3つを整理しておくと、話が具体的になります。
立候補の条件は「市議・区議・町議に立候補する条件とは?」で確認できます。「出るかどうか迷っている」段階で相談してもかまいません。ただ、何も決まっていない状態で話すと、家族は不安だけを受け取ってしまいがちです。迷っている点も含めて、自分の考えを言葉にしてから話しましょう。
最初に伝えたいのは、立候補の理由です。「地域の子育て環境を変えたい」「商店街を立て直したい」など、きっかけになった出来事と一緒に話すと伝わりやすくなります。家族が理由に納得していると、大変な時期にも支えになってくれます。
家族にとって大きな心配事になりやすいのが、お金と生活への影響です。供託金、ポスターやチラシの費用、事務所の費用など、選挙にはまとまったお金がかかります。公費負担の制度で一部がまかなえる場合もありますが、自分で用意するお金がゼロになるわけではありません。
家族が費用を立て替えたり、物を買って提供したりする場合も、選挙運動の収入・支出として出納責任者が把握し、報告する必要があることがあります。「家族のお金だから自由に使ってよい」わけではないので、領収書などの記録を残しておきましょう。
あわせて、今の仕事をどうするかも話しておきましょう。会社員は、原則として在職したまま立候補できます。休暇や勤務の調整は、早めに勤務先と相談しておきましょう。公務員は、原則として在職中の立候補が制限されています。消防団員などの一部の非常勤職員には例外があり、立候補が制限される公務員が立候補の届出をした場合は、届出の日に退職したものとみなされます(公職選挙法第89条・第90条)。自分が対象になるか、所属先と選挙管理委員会に早めに確認しましょう。詳しくは「会社員・公務員は地方議員に立候補できる?」で解説しています。お金の考え方は「選挙にかかるお金の考え方」もご覧ください。
立候補を決めると、朝の駅頭、週末の地域行事、夜の会合など、家にいる時間が減ります。告示日の立候補届出から投票日の前日までの選挙運動期間は、ほぼ毎日朝から夜まで活動が続きます。家事や育児、介護の分担をどう変えるのか、具体的に話し合っておきましょう。子育て中の方は「子育て中・女性の立候補ガイド」も参考になります。
立候補すると、本人だけでなく家族も地域で知られるようになります。チラシやSNSに家族の写真を載せるか、子どもの顔や学校が分かる情報を出すか、近所や職場で聞かれたときにどう答えるか。家族一人ひとりの考えを聞いて、出してよい範囲を決めておきましょう。特に子どもの写真や情報は、一度ネットに出ると消すのが難しくなります。
家族に手伝ってほしいことがあれば、具体的に伝えましょう。同時に、「仕事があるから選挙期間中は手伝えない」「人前には出たくない」といった家族の希望も大切にします。手伝わないことも選択肢の一つです。
選挙には落選の可能性もあります。落選した場合に仕事や生活をどう立て直すか、次も挑戦するのかを、あらかじめ考えておくと家族も安心できます。当選した場合も、議会や地域の行事で忙しい生活が任期の間続きます。どちらの場合も、家族の生活がどう変わるかを話しておきましょう。
家族の手伝いは、表に出る役割だけではありません。たとえば次のような形があります。
家族が手伝う内容によっては、公職選挙法のルールが関わります。主なものをまとめると次のとおりです(詳しくは次の章で説明します)。
| 家族の手伝い | 基本的な扱い |
|---|---|
| 家事・育児の分担、チラシや演説への助言 | 問題なし |
| 告示前に近所や職場で投票を頼む | できない(事前運動) |
| 選挙期間中に電話で投票を頼む | できる(投票日当日は不可) |
| 投票を頼むために家や店を1軒ずつ回る | できない(戸別訪問) |
| 18歳未満の子どもが投票を呼びかける | できない |
| 家族に選挙運動のお礼を払う | 原則できない(事務員などを除く) |
家族がどこまで手伝うかは、家庭によって違って当然です。陣営全体の役割分担は「新人の陣営(選対)の作り方」で解説しています。
家族が手伝う場合も、公職選挙法のルールは同じように適用されます。家族の違反が、本人の当選に影響することもあります。
告示前に特定の選挙で投票を依頼する事前運動の禁止(公職選挙法第129条)は、家族にも適用されます。「夫が次の市議選に出るので一票お願いします」と近所や職場で頼むことは、告示前にはできません。善意で動いてくれる家族ほど注意が必要なので、早めにルールを共有しておきましょう。
家族や親しい知人であっても、投票を頼むために住居や会社、商店などを1軒ずつ訪ねることは、戸別訪問として禁止されています(第138条)。選挙運動期間中でも同じです。「夫が立候補したので、ぜひお願いします」と近所を回ることも対象になるので注意しましょう。
電話で投票を頼むことは、立候補の届出から投票日の前日まではできますが、届出前や投票日当日はできません。選挙運動用のはがきやビラは、種類や枚数、配り方が法律で決められています。家族が独自にチラシを作ったり、投票を頼む手紙を一般の郵便で送ったりしないようにしましょう(第142条)。SNSでの選挙運動は、選挙運動を禁止されていない18歳以上の家族もできますが、立候補の届出から投票日の前日までに限られます。投票日当日に新しく投票を頼む投稿や拡散はできません(それ以前の投稿を残しておくことはできます)。SNSで選挙運動をするときは、メールアドレスやSNSのユーザー名など、発信者に連絡するための情報を表示する必要があります(第142条の3)。
電子メールによる選挙運動は、2026年10月時点では候補者・政党等に限られ、一般の有権者には認められていません。2027年3月1日施行の改正法で、送信者などの制限がなくなります。同じ日から、選挙に関する一定のAI生成・加工の画像や映像をインターネット等で発信するときは、AIを使った旨の表示が必要になります。
立候補予定者は、原則として選挙区内の人や団体に寄附をすることができません(第199条の2第1項)。また、家族などが立候補予定者の名前で寄附をすることも、原則として禁止されています(同条第2項)。本人の代わりに家族が香典や祝儀を持っていく、本人の名前でお中元やお歳暮を贈るといったことはできません。親族への寄附などには法律上の例外がありますが、家族が自分の名前で贈る場合も、実質的に本人の寄附の肩代わりにならないよう注意しましょう。
候補者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹が、候補者本人や総括主宰者などと意思を通じて選挙運動をし、買収などの罪で拘禁刑に処せられた場合(執行猶予付きを含む)は、連座制が適用されることがあります(第251条の2)。この場合、本人が違反に関わっていなくても、原則として当選が無効になり、5年間、同じ選挙区で同じ選挙に立候補できなくなります。家族が手伝う場合は、お金や物を渡して投票をお願いすることは絶対にしないよう、はっきり伝えておきましょう。
18歳未満の人は選挙運動をすることができず、18歳未満の人を使って選挙運動をすることもできません(第137条の2)。子どもに投票を呼びかけてもらう、ビラを配ってもらう、投票を頼む投稿を拡散してもらうといったことはできません。ポスターの運搬などの単純な労務は認められていますが、活動の場で子どもが有権者に手を振るといった行為は選挙運動と判断されることがあります。子どもを同行させるときは慎重に判断しましょう。詳しくは「選挙運動は何歳から?18歳未満に手伝ってもらえること・もらえないこと」をご覧ください。
家族が国家公務員や地方公務員の場合、職種や所属先などに応じて、政治的な行為や選挙運動が法律で制限されることがあります(国家公務員法第102条、地方公務員法第36条など)。また、公務員がその地位を利用して選挙運動をすることは、公職選挙法で禁止されています(第136条の2)。教員は、公立・私立を問わず、児童・生徒などへの教育上の地位を利用して選挙運動をすることが禁止されています(第137条)。家族が公務員や教員の場合は、手伝う前に所属先の服務担当などに確認しましょう。
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家族に反対されることは珍しくありません。反対の理由の多くは、選挙そのものより「生活がどうなるか分からない」という不安です。
それでも家族の理解が得られない場合は、今回の選挙を見送り、次の選挙に向けて準備する選択肢もあります。選挙は1回だけではありません。
A. 家族であっても、投票の呼びかけなど一般の選挙運動に報酬を支払うことは原則としてできません。選挙事務所の事務員、車上運動員(ウグイス嬢)、手話通訳者などや、ポスターの運搬などの単純な労務に従事する人には、法律の範囲内で報酬を支払えます。事務員などへの報酬には原則として事前の届出が必要で、いずれも支給額に上限があります。家族へのお礼を決める前に、選挙管理委員会に確認しましょう。詳しくは「ウグイス嬢・事務員・ボランティアの報酬ルール」をご覧ください。
A. 法律上、家族の写真を載せること自体は禁止されていません。ただし、本人の同意を得ることが前提です。子どもの写真は、顔や学校が分からないように配慮しましょう。
A. 立候補予定者の名前で、配偶者などが代理で香典を渡すことは禁止されています。本人が葬式や通夜に自ら参列してその場で渡す香典は、選挙に関するものでなく、通常一般の社交の程度を超えない場合などに罰則が適用されないことがありますが、寄附の禁止そのものがなくなるわけではありません。
A. 立候補に家族の同意は法律上必要ありません。ただし、選挙や当選後の活動は家族の生活にも大きく影響します。できる限り話し合い、理解を得てから進めるのが望ましいでしょう。
家族と話し合って活動を始めたら、次は地域の人に「どんな人か」を知ってもらう段階です。株式会社ハレフルは、公職選挙法を踏まえ、つど選挙管理委員会にも確認しながら、政治活動の時期のSNS・ショート動画の企画から撮影・編集までをお手伝いしています。選挙期間中は、撮影したその日のうちの納品にも対応します。
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