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ドント式と修正サンラグ式の違いは?計算例で比較|衆院比例31議席削減案と地方選への影響

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はじめに

2026年10月29日、自民党・日本維新の会・国民民主党の3党が、衆議院の議員定数を31削減することで合意しました。削減するのは比例代表の議席で、あわせて比例の議席の配り方を、今の「ドント式」から「修正サンラグ式」に変える案も盛り込まれています。

3党は今の国会に法案を共同で提出し、成立をめざすとしています。ただし、まだ法律として成立したわけではなく、国会での審議によって中身が変わる可能性もあります。

この記事では、ニュースでよく聞く「ドント式」「サンラグ式」「修正サンラグ式」の計算方法を、同じ得票数で比べる計算例でわかりやすく解説します。あわせて、地方議会の選挙との関係や、地方の立候補予定者への影響も整理します。

※2026年11月1日時点の報道にもとづく情報です。法案の内容や施行時期は、今後の国会審議で変わる可能性があります。

目次

定数削減の3党合意とは

報道によると、3党の合意には主に次のような内容が含まれています。

議員定数の削減のイメージ

議員定数の削減は、議場の椅子が減るイメージです

  • 衆議院の定数を31削減:削減は比例代表で行い、小選挙区(289)は減らさない。比例は176から145に、衆議院全体では465から434になる案
  • 比例の配分方式の変更:ドント式から修正サンラグ式に変える
  • 比例ブロックの統合:中国ブロックと四国ブロックを1つにまとめる
  • 比例復活の基準の引き上げ:小選挙区と比例代表に重複立候補した人が比例で復活当選するために必要な、小選挙区での最低得票率を、有効投票総数の10分の1以上から6分の1以上に引き上げる。ただし、基準を満たせば必ず復活できるわけではなく、政党の獲得議席数や名簿の順位などで当落が決まる
  • そのほか:比例名簿で当選できる候補者が足りないときは、その議席を他の党に回さず欠員とすること、比例代表の供託金の没収点の引き下げ、複数の政党による統一名簿を認めること、比例選出議員が別の政党に移ったときの政党交付金の扱いの検討など

31という数字は、2015年から2030年にかけての推計人口の減少率(約6.7%)を、衆議院の定数465に当てはめたものと説明されています。定数削減には「議員の身を切る改革」として賛成する声がある一方、比例代表を減らすと少数意見が国会に届きにくくなるといった反対の声もあります。比例復活の仕組みについては「衆議院選挙の比例復活制度」もあわせてご覧ください。

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ドント式の計算方法

衆議院の比例代表選挙では、全国を11のブロックに分け、ブロックごとに政党の得票数に応じて議席を配ります。このときに使われているのが「ドント式」です。参議院の比例代表でも、各党の議席数はドント式で決めています。

政党の得票に応じて議席を配るイメージ

比例代表は、政党の得票(票の山)に応じて議席(椅子)を配る仕組みです(イメージ)

ドント式では、各党の得票数を1、2、3、4…と順番に割っていき、その答え(商)が大きい順に議席を配ります。わかりやすくするため、架空の1つのブロックで、5つの政党が8議席を争う場合を考えてみましょう。

政党得票数÷1÷2÷3÷4÷5
A党100,000100,00050,00033,33325,00020,000
B党62,00062,00031,00020,66715,50012,400
C党41,00041,00020,50013,66710,2508,200
D党17,00017,0008,5005,6674,2503,400
E党8,0008,0004,0002,6672,0001,600

※表の商は小数点以下を四捨五入しています。実際の配分は、端数を丸める前の数値で比べます。

太字が議席を得た商です。大きい順に8つ選ぶと、A党4議席、B党3議席、C党1議席、D党・E党は0議席になります。8番目はB党の20,667で、9番目のC党の20,500とはわずかな差です。

ドント式は、計算がわかりやすい一方、得票の多い大きな政党に議席が配られやすい方式だといわれています。

サンラグ式・修正サンラグ式

サンラグ式は、割る数を1、3、5、7…と奇数にする方式です。2議席目以降の割る数が大きくなるので、大きな政党が議席を重ねにくくなり、ドント式より中小の政党に議席が回りやすくなります。

修正サンラグ式は、サンラグ式の最初の割る数だけを1.4に変えた方式です。1議席目を取るハードルを少し上げることで、ごく少ない得票の政党が議席を得にくくなるように調整しています。ノルウェーなどで使われています。

方式割る数特徴
ドント式1、2、3、4、5…大きな政党に議席が配られやすい
サンラグ式1、3、5、7、9…得票の割合に近い配分になりやすく、小さな政党にも議席が回りやすい
修正サンラグ式1.4、3、5、7、9…サンラグ式をもとに、最初の1議席のハードルを上げた方式

3党合意書そのものには割る数の数列までは書かれておらず、報道では最初の割る数を1.4とする方式と説明されています。日本での具体的な計算ルールは、今後提出される法案で確認する必要があります。

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同じ票数で3方式を比べる

先ほどと同じ得票数で、8議席をそれぞれの方式で配ると、結果は次のようになります。

政党得票数ドント式サンラグ式修正サンラグ式
A党100,000444
B党62,000322
C党41,000112
D党17,000010
E党8,000000

サンラグ式では、得票の少ないD党も1議席を得ます。D党の最初の商は17,000で、サンラグ式の8番目の商(A党の100,000÷7=14,286)を上回るためです。

修正サンラグ式では、D党の最初の商は17,000÷1.4=12,143になり、議席に届きません。代わりにC党が2議席目(41,000÷3=13,667)を得ます。このように、修正サンラグ式は、ドント式よりは中規模の政党に議席が回りやすく、サンラグ式よりは小さな政党が議席を取りにくい、中間的な方式といえます。

では、同じ得票数のまま、定数を8議席から7議席に減らすとどうなるでしょうか。

方式8議席7議席議席が減る政党
ドント式A4・B3・C1A4・B2・C1B党
サンラグ式A4・B2・C1・D1A3・B2・C1・D1A党
修正サンラグ式A4・B2・C2A4・B2・C1C党

同じ票数でも、定数が1つ減ったときにどの政党が議席を失うかは、計算方式によって変わります。今回の見直しは「定数を減らす」ことと「配り方を変える」ことの組み合わせなので、2つの影響を分けて考える必要があります。実際の結果は、各党の得票やブロックごとの定数によっても変わります。

なぜ配分方式を変えるのか

比例代表の定数が減ると、特に規模の小さな政党が議席を得にくくなる可能性があります。配分方式を修正サンラグ式に変えることで、定数削減による中小政党への影響をやわらげるねらいがあると説明されています。

一方で、定数そのものが減るため、修正サンラグ式に変えても、比例の議席を得にくくなる政党が出るという指摘もあります。報道機関による試算も出ていますが、最終的な影響を判断するには、法案で示されるブロック別の定数や制度の細部を確認する必要があります。中国・四国ブロックの統合で比例のブロックは11から10になり、31議席の削減とあわせて各ブロックの定数も配り直されるため、ブロック別の定数にも注目です。

地方議会の選挙はどうなる?

今回の合意は、衆議院の選挙制度の見直しです。都道府県議会・市区町村議会の選挙には、直接は関係しません。

政党に投票する比例代表と候補者個人に投票する地方議会選挙の違い

左:政党に投票する国の比例代表 右:候補者個人に投票する地方議会の選挙

地方議会の選挙は、そもそも比例代表ではありません。都道府県議会や政令市議会は選挙区ごとに、一般の市・特別区・町村の議会は、原則として自治体全体を1つの選挙区として、候補者個人の名前を書いて投票します。得票の多い順に、原則として定数の人数まで当選します。ただし、当選には法定得票数(その選挙区の有効投票総数÷その選挙区の議員定数×4分の1)以上の得票が必要です。選挙区を設けていない場合は、議会全体の定数で計算します。政党ごとに議席を配る比例代表ではないので、ドント式やサンラグ式の計算は使いません(「地方議員選挙は何票で当選できる?」)。

地方議会の議員定数は、国ではなく、それぞれの自治体が条例で決めています(地方自治法第90条・第91条。特別区は第283条も関係します)。定数の変更は、原則として次の一般選挙から適用されます。人口減少を背景に、地方議会でも定数削減を議論するところがあります。立候補を考えている議会で定数が変わると、当選に必要な票の目安も変わるので、議会の動きは早めに確認しておきましょう。

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定数が決まったら、前回の当選ラインと有権者数から、今回の目標得票数を考えておくと、後援会づくりや活動の計画が立てやすくなります。

地方の立候補予定者への影響

衆議院の制度が変わっても、地方選挙のルールは変わりません。ただし、次のような形で、地方の政治にも間接的な影響が出る可能性があります。

  • 政党の候補者擁立:比例の議席が減ると、各政党は衆院選の候補者の立て方を見直します。地方議員が国政に挑戦する動きや、その後の地方議員の補欠・後継の動きにつながることがあります
  • 政党の地方組織:比例票を掘り起こすために、政党が地方議員や地方組織の活動を重視することがあります。公認・推薦を受けて地方選に出る方は、所属政党の方針を確認しておきましょう(「政党の公認と推薦の違い」)
  • 有権者の関心:定数削減は「議員の数は適正か」という議論につながります。地方議員も、日々の活動や議会報告で、議員としての仕事を有権者に見える形で伝えることが、これまで以上に大切になります(「議員の活動報告の作り方と配り方」)
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今後の流れ

3党は、今の国会に関連法案を共同で提出し、成立をめざすとしています。どの衆議院選挙から新しい制度が適用されるかは、成立した法律の施行日や経過措置によって決まります。具体的な施行時期やブロックごとの定数は、今後の法案の内容と国会審議を経て、成立した法律などによって確定します。この記事も、法案の内容がわかり次第、更新します。

よくある質問(FAQ)

Q. 議員定数削減の法律は、もう決まったのですか?

A. まだ決まっていません。2026年10月29日に3党が合意し、今の国会に法案を提出する予定です。国会で可決・成立するまでは、内容が変わる可能性があります。

Q. 参議院の比例代表も修正サンラグ式になるのですか?

A. 今回の合意は衆議院の比例代表についてのものです。参議院の比例代表では、現在もドント式で各党の議席数を決めています。ただし、参院の比例は全国を1つの選挙区とし、政党名と候補者名の票を合わせて議席を配ります。各党の当選者は、特定枠の候補者を優先したうえで、原則として個人名の得票が多い順に決まります(「参議院選挙で全国比例の当選者はどのように決まる?」)。

Q. 市議会や区議会の選挙にもドント式は使われていますか?

A. 使われていません。地方議会の選挙は比例代表ではなく、候補者個人の名前を書いて投票し、得票の多い順に当選が決まります。

Q. 修正サンラグ式は、小さな政党に有利なのですか?

A. ドント式に比べると、中規模の政党を中心に議席が回りやすくなるといわれます。ただし、最初の割る数が1.4のため、ごく小さな政党はサンラグ式より議席を得にくくなります。今回は定数も減るため、一律に有利とはいえません。

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出典・参考資料

  • 自由民主党・日本維新の会・国民民主党の幹事長による衆議院選挙制度の見直しに関する合意(2026年10月29日、各社報道)
  • 公職選挙法(e-Gov法令検索)第4条・第15条・第93条・第95条・第95条の2・第95条の3
  • 地方自治法(e-Gov法令検索)第90条・第91条・第283条
  • 参議院ウェブサイト「選挙制度」
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