会社勤めをしながら立候補を考えている新人にとって、大きな悩みの一つが「会社にどう伝えるか」です。「会社を辞めないと出られないのか」「上司に話したら、どんな反応をされるのか」と、なかなか切り出せない方も多いのではないでしょうか。
実際に会社に伝えると、「前例がないので社内で協議します」「新しくルールを作ります」と言われ、話がすぐには進まないことがよくあります。一方で、同じ職場の同僚や現場の人たちは、意外なほど応援してくれることも少なくありません。
この記事では、会社員(民間企業)と公務員それぞれについて、職場に立候補を伝えるときに起こりやすい難しさと、話を上手に進めるための方法を整理します。辞めるタイミングや法律上の制限の詳細は「会社員・公務員は地方議員に立候補できる?」で解説しています。
※2026年10月時点の情報です。勤務先の規程や選挙によって扱いが異なる場合があります。判断に迷うときは、勤務先の人事担当や立候補する選挙の選挙管理委員会に確認してください。
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結論から言うと、民間企業の会社員は、会社を辞めなくても立候補できます。公職選挙法には、会社員の立候補を制限する規定はありません。また、労働基準法第7条は、社員が選挙権・被選挙権などの公民としての権利を行使したり、公の職務を執行したりするために必要な時間を請求した場合、会社はそれを拒めないと定めています(その時間を有給にする義務まではありません)。
一方、公務員は、原則として在職中の立候補が制限されています。非常勤の消防団員など、職種によっては例外もあります(公職選挙法第89条)。立候補が制限される公務員が届出をすると、その日に退職したものとみなされます(第90条)。落選しても自動的に元の職に戻れるわけではないため、退職の時期だけでなく、落選した場合の生活や再就職も考えておく必要があります。
| 民間企業の会社員 | 公務員 | |
|---|---|---|
| 在職中の立候補 | できる | 原則できない(届出の日に退職したものとみなされる。例外の職もある) |
| 主なテーマ | 会社とどう折り合いをつけるか | いつ辞めて、在職中に何をしないか |
| 当選後 | 原則として仕事と兼ねられる | 原則として兼ねられない(非常勤の消防団員など例外あり) |
立候補の相談を受けた会社が慎重になるのは、反対だからというより、前例がなく判断の材料がないことが多いためです。会社側では、次のようなことを検討する必要があります。
こうした点を決めるために、人事や経営層で協議したり、兼業や休職の規程を新たに作ったりする会社もあります。会社にとっては手間のかかる話なので、最初は「少しやっかいな相談」と受け止められることもあります。だからこそ、会社が判断しやすい材料を本人が先に用意しておくことが大切です。
まず、勤務先の就業規則で、副業・兼業、休職、有給休暇、公職に就いた場合の扱いがどう決まっているかを確認しましょう。規程に定めがあれば、それに沿った相談ができます。定めがない場合でも、必ずしも新しいルールが必要なわけではなく、今ある休暇や休職の制度を使ったり、個別に勤務条件を調整したりする方法もあります。
まずは直属の上司に相談する方法が考えられます。上司が事情を理解していると、人事との調整や業務の引き継ぎがスムーズになります。ただし、会社の規模や職場の状況によっては、人事担当者や経営者に直接相談したほうがよい場合もあります。噂として先に広まると、会社との関係がこじれやすくなるため、伝える順番には気をつけましょう。
相談のときは、次の点を整理して伝えると、会社も判断しやすくなります。
「会社に迷惑をかけないよう、こう考えています」という形で具体案を示すと、会社が一から考える負担が減り、話が進みやすくなります。切り出すときは、たとえば次のように伝えるとよいでしょう。
「来年の市議会議員選挙への立候補を考えています。仕事を続けながら準備したいので、業務への影響をできるだけ抑える方法について、一度ご相談させてください。選挙期間中の休みや、当選した場合の働き方についても、早めに整理したいと考えています。」
休みの扱いや当選後の働き方など、会社と合意した内容は、メールや書面で残しておきましょう。担当者が変わったときや、選挙が近づいて状況が変わったときにも、話の行き違いを防げます。
会社が協議やルール作りをしている間は、ある程度の時間がかかります。結論を急がせるより、余裕をもって早めに相談するほうが、結果的にうまくいきやすくなります。法律で決まった期限はありませんが、実務上の目安として、告示の半年から1年前には相談を始めておくと安心です。
公務員の場合、退職の時期をいつにするかが最大のポイントです。在職中は政治的な行為に制限があるため、準備期間を逆算して退職時期を決めましょう。年度末の退職を選ぶ方も多いですが、2027年春の統一地方選挙を目指す場合は、告示までの準備期間が短くなる点に注意が必要です。
公務員は、在職中の政治的な行為に法律上の制限があります。地方公務員は地方公務員法第36条、国家公務員は国家公務員法第102条と人事院規則14-7、公立学校の教員は教育公務員特例法第18条により国家公務員の例によるなど、立場によって制限の内容が異なります。立候補に関する準備がすべて禁止されるわけではありませんが、後援会の設立や役員への就任、寄附の募集、署名運動、SNSでの発信などは、内容に応じて慎重な確認が必要です。また、公務員がその地位を利用して選挙運動をすることは、公職選挙法で禁止されています(第136条の2)。
法律上の一律の義務ではありませんが、リスクを避けるため、本格的な準備は退職してから始める人が多くいます。具体的な活動を始める前に、所属先の服務担当に確認しましょう。
公務員の同僚が応援してくれる場合でも、同僚自身にも政治的な行為の制限があります。同僚に後援会への勧誘や署名集めを頼むと、相手が法律に触れるおそれがあります。気持ちはありがたく受け取りつつ、職場の人に選挙の手伝いを頼むのは控えましょう。
退職を申し出るときは、通常の退職と同じように、まず上司に相談し、引き継ぎの期間を十分に取りましょう。立候補の予定をどこまで話すかは慎重に判断が必要です。在職中に職場で立候補の話を広めると、地位利用や政治的行為の制限との関係で誤解を招くおそれがあります。
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上司や人事が慎重な一方で、一緒に働いてきた同僚や現場の人たちは、「頑張って」「応援するよ」と声をかけてくれることがよくあります。こうした応援は心強いものですが、次のルールには注意しましょう。
民間企業の同僚が、個人の意思で後援会に入ったり、選挙期間中に休日を使って法律の範囲内で選挙運動を手伝ったりすることは、原則として問題ありません。ただし、18歳未満の人や、公務員など立場によって選挙運動が制限される人もいます。また、戸別訪問などは誰であっても禁止されています(第138条)。勤務時間や会社の設備を使わず、本人の自由な意思による応援であることが大切です。
会社との話し合いがうまく進まない場合もあります。そのときは、次の点を知っておきましょう。
法律上の権利を主張するだけでは、職場での関係が難しくなることもあります。会社の事情も理解しながら、お互いに納得できる形を探すことが大切です。そのうえで、どうしても両立が難しい場合は、退職して選挙に専念するという選択肢もあります。
A. 会社が休みや業務の調整を検討する時間を考えると、告示の半年から1年前を目安に、早めに相談するのがおすすめです。
A. 労働基準法第7条により、被選挙権の行使に必要な時間は保障されており、選挙運動期間中の本人の選挙運動もこれに含まれると考えられています。ただし、その時間を有給にする義務は会社にはありません。年次有給休暇を使う場合は、労働基準法第39条のルールによります。告示前の準備の時間も含め、休みの取り方や給与の扱いを事前に確認しておきましょう。
A. 事実としての職歴を書くことに、法律上の承認が必要なわけではありません。ただし、会社が公式に応援しているように受け取られる書き方は避けましょう。勤務先との関係を考えると、経歴として書く場合も事前に会社に相談しておくと安心です。
A. 民間企業の会社員は、原則として地方議員と仕事を兼ねることができます。ただし、議員本人がその自治体と請負取引をする場合や、自治体と主に請負取引をしている会社の取締役などを兼ねる場合は、地方自治法第92条の2による制限があります。一般社員と会社役員では扱いが異なるため、自分の役職や勤務先の事業内容に応じて確認しましょう。また、議会の日程との両立が難しい場合もあるため、当選後の働き方は会社とあらかじめ話し合っておきましょう。
仕事を続けながら準備を進める新人は、活動に使える時間が限られます。限られた時間で「どんな人か」を知ってもらうには、SNSやショート動画が役立ちます。株式会社ハレフルは、公職選挙法を踏まえ、つど選挙管理委員会にも確認しながら、政治活動の時期のSNS・ショート動画の企画から撮影・編集までをお手伝いしています。選挙期間中は、撮影したその日のうちの納品にも対応します。
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