「選挙カーって、どこでも停めていいんですよね?」「マイクはいつでも使えるんじゃないの?」——選挙の現場でよく出るこの質問、実は正確に答えられる人は少ないものです。思い込みのまま運行すると、公職選挙法や道路交通法の違反になるケースもあります。本ブログでは、選挙スタッフが現場で迷いやすいポイントを中心に、選挙カーに関するルールをわかりやすく解説します。
まず押さえておきたいのは、選挙カーも基本的には一般車両と同じ交通ルールに従うということです。信号遵守・速度制限・一時停止——これらに選挙カーの例外はありません。
選挙カー(正式名称:選挙運動用自動車)は、公職選挙法に基づいて選挙管理委員会(選管)に届け出た車両で、候補者1人につき原則1台。「選挙カーだからどこでも通れる」「道交法は関係ない」というのは完全な誤りです。
一部の都道府県では道路交通規則に「駐車禁止の除外」などの特例が定められており、街頭演説中の一時停車が取り締まり対象外となる場合もあります。ただし、この特例の範囲は都道府県ごとに異なります。「うちの選挙区ではどこまで許されるか」を、管轄の警察署に事前確認しておくことが大切です。
走行中の選挙カーでできることは、実は非常に限られています。
■走行中にできること
■走行中にできないこと
「連呼行為」とは、短時間に同じ短い文言を繰り返し呼びかけることです(公職選挙法第140条の2)。「○○をよろしくお願いします!」という繰り返しが典型です。候補者本人が乗車していなくても、ウグイス嬢など車上運動員がいれば実施できます。
一方、政策の内容を詳しく話す「演説」は走行中には禁止です。演説は必ず車を止め、停車した状態で「街頭演説」として行います。
また、「ハコ乗り」について。候補者・運動員はシートベルト着用義務が免除されていますが(道路交通法施行令第26条の3の2)、窓から上半身を乗り出す行為は乗車方法違反(道路交通法第55条)になります。支持者へのアピールとしてやりがちですが、転落事故のリスクもあり、絶対に行わないようにしましょう。
選挙カーの拡声器を使えるのは、午前8時から午後8時までの間だけです(公職選挙法第140条の2)。選挙運動期間中(告示日〜投票日前日)を通じてこのルールが適用されます。
「1分くらいなら」と思いがちですが、1秒の超過でも公職選挙法違反になり得ます。実務では「午後7時55分にはマイクをオフにする」と決めておくと安全です。時計の誤差も考えると、余裕を持ったルール設定が重要です。
音量については公職選挙法に具体的なデシベル制限はありませんが、学校・病院・診療所の周辺では音量を下げるか、マイクを切るよう努めなければならないと定められています(努力義務)。住宅街での大音量走行もSNS炎上や苦情の原因となります。「学校エリアは音を絞る」「病院の前ではマイクを切る」を事前にルート表に書き込んでおくと現場がスムーズです。
街頭演説のために選挙カーを停める際、場所の選び方も重要です。
道路交通法上、避けなければならない場所:
これらは道路交通法で定められた駐停車禁止場所であり、選挙カーでも停めることはできません。都道府県の規則で一部の駐車禁止が除外されていても、こうした危険場所は除外の対象外となるのが一般的です。
さらに重要なのが「停車と駐車の違い」です。演説中、運転手が「すぐに車を動かせる状態(運転席に座っている)」を維持している間は「停車」として扱われます。しかし、運転手が車を離れてビラを配ったり荷物を運んだりした瞬間、それは「駐車」となり、禁止場所であれば即座に道路交通法違反になります。演説中も運転手は運転席に座り続けることを徹底しましょう。
現場でよくある違反例をまとめます。陣営スタッフ全員で確認しておきましょう。
よくあるNG行為:
公職選挙法違反で有罪になると、罰金だけでなく公民権の停止や当選無効につながることもあります。さらに怖いのが「連座制」です。これは候補者本人ではなく、陣営スタッフが選挙違反を犯した場合でも、候補者の当選が無効になりうる制度です(公職選挙法第251条の2)。「知らなかった」では済まされません。スタッフ一人ひとりの行動が候補者の政治生命に直結します。
選挙カーに関するルールを5点に絞るとこうなります。
「選挙カーだから大丈夫」という思い込みが、陣営全体を危険にさらします。告示前の陣営ミーティングで、このポイントをチェックリストとして読み合わせることをおすすめします。現場スタッフ全員が同じ認識を持つことが、安全で適法な選挙運動の第一歩です。
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