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戸別訪問はどこから違法?区政レポート配り・後援会の勧誘と公職選挙法138条

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目次

はじめに

「お困りごとはありませんか?」と区政レポートを手に、地域の家を1軒ずつ回る。多くの議員や立候補予定者が日頃から行っている活動です。一方で、公職選挙法には「戸別訪問の禁止」という規定があり、「これって違反なの?」と不安に思っている方も少なくありません。

結論から言うと、公職選挙法が禁止しているのは、①投票を得る(得させる・得させない)目的で家を回ることと、②選挙運動のために、戸別に演説会を告知したり候補者の名前を言い歩いたりすることです(第138条)。投票を頼まない政治活動として要望を聞いたり、活動報告を渡したりすること自体は、ただちに違反ではありません。ただし、目的や発言、時期しだいで簡単に一線を越えてしまいます。

※2026年10月時点の情報です。法律上の最終的な判断は、選挙管理委員会や警察、裁判所が個別の事情をもとに行います。

この記事では、戸別訪問が禁止される理由と範囲、普段の活動として家を回っている人がどんな「立て付け」で行っているのか、そしてどこから違反になるのかを解説します。

ひと目でわかる:よくある4つの場面

  • 地域の困りごとを聞いて回る:投票を頼まなければ政治活動。ただし選挙の直前に連続して回ると疑われやすい
  • 後援会への入会を案内する:政治活動。ただし「入会=投票のお願い」と受け取られる言い方は避ける
  • 「次の選挙で一票を」と頼んで回る:時期を問わず戸別訪問として禁止
  • 留守宅のポストにビラを入れて回る:戸別訪問とは別に、文書の配り方のルール(文書図画の頒布の制限)の問題になる

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戸別訪問の禁止とは:公職選挙法第138条

公職選挙法第138条は、誰であっても、選挙に関し、投票を得る(または得させる・得させない)目的で戸別訪問をすることはできないと定めています。ポイントは次の3つです。

  • 時期を問わない:選挙期間中だけでなく、告示前でも、投票を得る目的での戸別訪問は禁止です
  • 誰であっても:候補者本人だけでなく、家族、支援者、運動員、後援会の会員も対象です
  • 家だけではない:会社、工場、事務所などを回って投票を依頼することも戸別訪問にあたります

また、1軒だけの訪問でも、2軒以上を回る目的があれば戸別訪問とされます。さらに、選挙運動のために、戸別に演説会の告知をして回る行為や、候補者の氏名・政党名を言い歩く行為も、戸別訪問とみなされます。

違反した場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります(第239条)。また、この罰則で刑に処せられると、原則として一定期間、選挙権・被選挙権が停止されます(第252条)。

なぜ禁止されているのか

戸別訪問は人目につかない場所でのやりとりになるため、買収や利益誘導の温床になりやすいこと、有権者の生活の平穏を乱すこと、候補者どうしが訪問合戦になり費用や負担が膨らむことなどが、禁止の理由として挙げられてきました。

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訪問の「立て付け」と戸別訪問の違い

では、普段から地域を回っている議員や立候補予定者は、どのような整理で活動しているのでしょうか。基本にあるのは、「投票を得る目的の訪問ではなく、政治活動としての訪問」という立て付けです。よく見られるのは次のような形です。

訪問の名目何をしているか線を越えないためのポイント
活動報告・区政レポートのお届け議会での取り組みをまとめた報告を手渡しする選挙や投票の話をしない。報告の中にも投票を呼びかける表現を入れない
要望・ご意見の聞き取り「お困りごとはありませんか」と地域の課題を聞く聞いた要望への対応を投票と結びつけない
後援会への入会案内後援会の活動を説明し、入会をお願いする「入会してください」と「投票してください」をはっきり分ける。選挙が近い時期は特に慎重に
ポスター掲示のお願い政治活動用ポスターや2連ポスターの掲示場所をお願いする掲示のお願いに限り、任期満了6か月前以降は個人ポスターを扱わない

つまり、「何のために回っているのか」を、投票ではなく政治活動の側に置いているのが立て付けの中心です。ただし、これは「名目を整えれば合法になる」という意味ではありません。違反かどうかは、名目ではなく、訪問の目的や実態、時期、回り方、その場での発言などから総合的に判断されます。

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どこから違反になる? 線を越えやすい場面

政治活動として回っていても、次のような場面では、投票を得る目的の戸別訪問や事前運動と判断されるおそれがあります。

  • 玄関先で「次の選挙もよろしく」と言う:冗談めかした一言でも、投票の依頼と受け取られます
  • 選挙が近い時期に、1軒ずつ連続して回る:告示が近づくほど、名目にかかわらず投票目的と見られやすくなります。各戸を訪問することは事前運動にあたるおそれがある、と注意を呼びかけている選挙管理委員会もあります
  • 演説会の案内を持って1軒ずつ回る:選挙運動のために戸別に演説会を告知することは、戸別訪問とみなされます
  • 留守宅に名刺を置いて回る:訪問の目的によっては戸別訪問にあたるほか、戸別訪問とは別に、文書の頒布の制限(第142条など)にあたるおそれがあります
  • 支援者に「知り合いの家を回って頼んで」とお願いする:支援者による訪問も戸別訪問の対象です
  • 選挙期間中に、選挙運動用のビラを家のポストに入れて回る:これは戸別訪問とは別の、ビラの配り方の問題です。選挙運動用のビラを配れるのは、新聞折込、選挙事務所の中、個人演説会の会場の中、街頭演説の場所に限られています

選挙期間中に使える「戸別訪問の代わり」

方法選挙期間中(告示日〜投票日の前日)
電話での投票依頼OK。電話は戸別訪問にあたりません
街頭や電車でたまたま会った人への依頼(個々面接)OK
SNS・ショート動画・WebサイトOK(連絡先の表示などのルールあり)
電子メール2027年3月1日以後に告示される選挙から、送信できる人の制限がなくなり、一般の有権者も送れるようになる(表示義務などのルールは残る)
個人演説会OK(告知の方法には制限あり)

メールの新しいルールは「電子メールでの選挙運動はなぜ禁止?2027年3月からの解禁」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 普段の政治活動の時期なら、家を回るのは問題ないのですか?

投票を頼まない政治活動としての訪問であれば、それだけで違反にはなりません。ただし、戸別訪問の禁止は時期を問わないため、選挙の話題が出ただけで直ちに違反とは限りませんが、投票依頼の目的や発言の内容によっては、告示前でも違反になります。

Q. 知り合いの家に1軒だけ寄るのも戸別訪問ですか?

1軒だけでも、続けて他の家も回る目的があれば戸別訪問にあたるとされています(総務省や選挙管理委員会の解説)。用事があって、たまたま知人宅に寄るのとは区別されます。

Q. 後援会の会員が、会員の家を回るのは大丈夫ですか?

後援会の連絡や会報を届けることは政治活動ですが、その場で投票を依頼すれば戸別訪問です。選挙が近い時期は、会報の配布方法も含めて見直しておきましょう。

Q. 電話で「よろしくお願いします」と言うのは大丈夫ですか?

選挙期間中であれば、電話での投票依頼は認められています。ただし、告示前に投票を依頼すると事前運動になります。

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