電子メールでの選挙活動が禁止されている理由を詳しく解説

インターネットを活用した選挙運動が一般的になり、SNSでの情報発信が可能になった今でも、電子メールによる選挙活動は公職選挙法で禁止されています。 しかし、なぜ電子メールだけが規制されているのでしょうか。

本記事では、公職選挙法における電子メールの扱いや、過去の違反事例、違反した場合の罰則について分かりやすく解説します。記事後半では、電子メールを使った選挙活動に関するよくある疑問にもお答えしているので、ぜひ参考にしてください。

 

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なぜ選挙運動で電子メールが禁止されているのか?

選挙運動において電子メールの使用が禁止されているのは、公職選挙法により特定の通信手段に制限があるためです。SNSの利用が解禁された現在でも、電子メールは規制対象のままとなっています。その理由について以下で詳しく見ていきましょう。


公職選挙法における電子メールの位置づけ

2013年の法改正により、インターネットを使った選挙運動が解禁されました。これにより、候補者や政党だけでなく、多くの有権者もSNSやウェブサイトを活用し、選挙期間中に投票を呼びかけることができるようになりました。一方で電子メールを使った選挙運動はいまだに禁止されたままとなっており、この規制に疑問を持つ声も少なくありません。

改正公職選挙法に規定されている内容は「選挙運動に電子メールを使用できるのは候補者や政党などに限る」というもの。一般有権者に関してはこれまで同様、知人などに「○○に投票しましょう!」とメールを送ることは認められていません。また、候補者や政党から送られてきた選挙運動用のメールを転送することも、新たな送信行為とみなされるため禁止されています。

では、なぜホームページやSNSでの選挙運動は認められ、電子メールだけが規制され続けているのでしょうか。


インターネット選挙運動との違い

インターネットを使った選挙運動は、公職選挙法の改正によって「ウェブサイト等」と「電子メール」に分類されました。「ウェブサイト等」には、LINEやFacebook、YouTubeなどが含まれ、有権者も特定の候補者への投票を呼びかけることができます。

一方、「電子メール」にはGmailやYahoo!メールといったフリーメール、メルマガ、携帯電話のメール(SMS)などが該当し、有権者がこれらを使って特定の候補者への投票を依頼することは一切禁止となっています。

このように電子メールの送信主体制限を設けた理由として、公職選挙法のガイドラインでは次のような点が挙げられています。

閉鎖的なやりとりになりやすく、誹謗中傷やなりすましに悪用されるリスクが高いこと
送信者の規制が複雑で、一般の有権者が気づかぬうちに法律違反となり、処罰を受ける危険性がある(2年以下の禁錮、50万円以下の罰金、公民権停止など)
悪質な電子メール(ウイルス付きのメールなど)により、有権者に過度な負担がかかるおそれがあること

参照:改正公職選挙法(インターネット選挙運動解禁)ガイドライン

「LINEのメッセージと何が違うの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。しかし、公職選挙法が改正された当時、SNSは現在ほど普及しておらず、電子メールと同じように使われることは想定されていませんでした。 そのため、選挙運動におけるインターネット活用のルールは統一されておらず、電子メールのみ厳しく制限される形になっているのです。

とはいえ、今後この規制が見直される可能性は十分にあるでしょう。時代の変化とともに、公職選挙法もアップデートされていくかもしれません。

 

なぜ選挙運動で電子メールが禁止されているのか?

 


電子メール利用が選挙法違反になるケースと対処法

「選挙運動で電子メールを使うと違反になる」と聞いても、具体的にどのようなケースが該当するのか分からない人も多いのではないでしょうか。しかし、公職選挙法では電子メールの送信に関するルールが厳格に定められており、知らなかったでは済まされません。

誤って法律に違反しないためにも、どのような行為が違反にあたるのかを正しく理解しておくことが大切です。ここからは、違反となるケースや罰則について詳しく解説します。


具体的な違反事例

一般有権者の電子メール利用が選挙法違反になるケースには、どのようなものがあるのか、以下に代表的な例を紹介します。

候補者ではない一般の有権者が、知人に「○○に投票しよう」とメールを送る
選挙運動期間中に、支援者が候補者のメールを転送して拡散する
企業や団体がメーリングリストを使い、社員や会員に投票を呼びかける
候補者の後援会が、電子メールを使って投票依頼を行う

これらの行為は公職選挙法に違反する可能性があり、意図せず法律違反をしてしまうケースも少なくありません。では、違反した場合にはどのような罰則が科されるのでしょうか。次で詳しく見ていきましょう。


違反した場合の罰則

選挙運動で電子メールを使用し、公職選挙法に違反した者には以下の両方の罰則が課せられる可能性があります。

2年以下の禁錮または50万円以下の罰金
公民権停止(選挙権および被選挙権)

参照:総務省「(1)インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等」

 

電子メール利用が選挙法違反になるケースと対処法

 


電子メールを活用した選挙活動に関するFAQ

「このくらいなら大丈夫だろう」と思ってやってしまう行為が、実は公職選挙法違反になるかもしれません。選挙期間中の電子メールの扱いには細かいルールが定められているので、違反を犯さないためにも、正しいルールをきちんと押さえておきましょう。

ここからは、電子メールを活用した選挙活動について、よくある疑問に分かりやすくお答えします。
h3:選挙期間中に、友人や家族に個人的なメールで投票を呼びかけるのは違反ですか?(250)
はい、公職選挙法に違反する可能性があります。

選挙期間中に「○○さんに投票してください!」と友人や家族に電子メールを送る行為は、たとえ個人的なやりとりであっても選挙運動に該当するため、法律で禁止されています。「身内や親しい人へのお願いなら問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、公職選挙法では、電子メールによる投票依頼を候補者や政党に限って許可しており、一般有権者の利用は認めていません。

違反した場合は、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科される可能性があり、公民権停止となるケースもあります。知らずに違反しないよう、選挙期間中は電子メールを使った投票依頼を控えましょう。


選挙運動用のウェブサイトに、自分のメールアドレスを掲載することはできますか

はい、掲載すること自体は可能ですが、使用目的には注意が必要です。

公職選挙法では、選挙運動用のウェブサイトの開設や情報発信は認められています。そのため、ウェブサイトにメールアドレスを掲載すること自体は違法ではありません。しかし、掲載したメールアドレスを使って、選挙運動目的のメールを送信することは法律違反となります。例えば、「このアドレスに連絡すれば、選挙情報がメールで届きます」と案内し、一般有権者に対して投票を呼びかけるメールを送信すると、公職選挙法違反に問われる可能性があります。

あくまで、問い合わせ窓口や政策に関する質問対応としてメールアドレスを掲載するのは問題ありませんが、選挙運動に関する情報をメールで発信しないよう、慎重に運用しましょう。


SNSのダイレクトメッセージ(DM)機能を使って、投票を呼びかけることはできますか?

​はい、SNSのDM機能を使って、投票を呼びかけることは可能です。​

公職選挙法の改正により、LINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを利用した選挙運動が解禁されました。​これにより、友人や知人に対し、DMを通じて特定の候補者への投票を依頼することができます。例えば、LINEで「〇〇候補に投票してね!」とメッセージを送ることも問題ありません。

ただし、選挙期間外の投票依頼や、未成年者による選挙運動は法律で禁止されているため、誤って違反しないように気をつけましょう。また、投票日当日は一切の選挙運動が禁止されています。​そのため、候補者や政党のSNSに対し、「いいね」やリツイートをすることは控えましょう。


選挙運動期間前に、メーリングリストを使って、選挙運動開始のお知らせを送ることはできますか?

いいえ、公職選挙法違反となる可能性が高いため注意が必要です。

公職選挙法では、選挙運動ができる期間は公示日(告示日)から投票日前日までと定められています。そのため、選挙運動期間前にメーリングリストを使って「○月○日から選挙運動を開始します」「○○候補を応援してください」といった内容のメールを送る行為は、事前運動に該当し、違反となる可能性があります。

ただし、選挙運動ではなく、政策活動や政党の広報活動としての情報発信であれば違法とはなりません。例えば、「○○政策フォーラムのご案内」や「○○議員の活動報告」など、選挙と直接関係のない内容であれば、選挙運動と見なされることなく送信が可能です。


自分が応援している候補者の選挙運動メールを、友人や知人に転送することは選挙違反になりますか?

はい、公職選挙法違反となるため禁止されています。

候補者や政党から送られてきた選挙運動メールを、そのまま友人や知人に転送する行為も、公職選挙法で禁止されています。なぜなら、候補者や政党は例外的に電子メールを使うことが許可されていますが、有権者による送信は新たな選挙運動と見なされるためです。

例えば、「○○候補を応援してください!」というメールを受け取った際、善意で知人に転送した場合でも、それが選挙運動と判断されれば罰則の対象となる可能性があります。

違反した場合、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金に加え、公民権停止などの厳しい処分が科される可能性があるため、たとえ応援のつもりでも、選挙運動メールの転送は控えましょう。

 

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まとめ

本記事では、公職選挙法における電子メールの扱いや、違反となるケース、罰則について解説しました。「LINEなら投票依頼OKなのに、メールはNGなの?」 と疑問に思う人もいるかもしれませんが、公職選挙法では、選挙運動のルールが細かく定められています。

特にインターネットを活用した選挙運動では、一般有権者も意図せず法律違反を犯してしまう可能性があるため注意が必要です。選挙活動で何が認められ、何が禁止されているのかを正しく理解し、SNSなど合法的な手段を活用しながら、公正な選挙運動に貢献していきましょう。