公職選挙法に違反しないSNS活用術|やってはいけないこととは?

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インターネットを利用した選挙運動が解禁されて以降、SNSは政党や候補者を問わず、広く活用されるようになりました。しかし、SNSであれば何をしても許されるわけではありません。

公職選挙法には多岐にわたる禁止事項が定められているほか、条文のなかには解釈に幅があるものも存在します。そのため、悪意がなくとも結果的に違反と見なされるケースが少なくありません。法令違反を未然に防ぐためには、どのような行為が違法と判断され得るのかを正しく理解し、SNSを適切に運用することが不可欠です。

本記事では、SNSを用いた選挙運動において、やってはいけない行為や各種SNSの活用法、違反しないためのSNS運用のコツなどについて詳しく解説します。

 

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SNSでやってもいい選挙運動とは

まずは、選挙期間中にSNS上で認められている行為について整理しておきましょう。公示日(告示日)から投票日前日の間、政党・候補者・有権者は、以下のような発信を行うことができます。

・政策や活動実績に関する情報の掲載
・候補者への投票を呼びかける投稿
・街頭演説や政見放送の映像をYouTube等で公開
・候補者や政党との意見交換やコメントのやり取り
・演説会・政見放送などの予定告知

たとえば、有権者がX(旧Twitter)に「〇〇候補に投票してください!」と投稿したり、自作の応援動画を動画配信サービスで公開したりする行為は、法的に問題ありません。また、候補者や政党自身が「〇〇党の△△候補に清き一票を」といった呼びかけをSNSで発信することも、選挙運動の一環として認められています。

このように、選挙運動期間中はSNSを通じた幅広い情報発信が認められているわけですが、「何をしても問題ない」と誤解してはいけません。次に解説する「やってはいけないこと」との線引きをしっかり理解し、適切な運用を心がけることが大切です。

 

SNSでやってはいけない選挙運動とは

では、SNSでやってはいけない選挙運動とは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか。ここからは、公職選挙法により禁じられている違反行為について、項目ごとに詳しく確認していきましょう。

公示前に選挙運動をする

選挙運動が認められるのは、公職選挙法により定められた期間、すなわち公示日(または告示日)から投票日の前日までに限られています。したがって、公示日より前に選挙運動に該当する行為をした場合は「事前運動」と見なされ、処罰の対象となる可能性があります(公職選挙法第129条、第239条)。

とはいえ、どのような行為が「選挙運動」に該当するのか、その線引きは一見してわかりづらく、多くの人が戸惑う点でもあります。そこで以下では、選挙運動と判断される基準と、特に注意が必要な言葉(表現)について具体的に解説していきます。

 

選挙運動とみなされる判断基準

投稿が「選挙運動」にあたるかどうかは、以下の4つの観点をもとに総合的に判断されます。

投稿内容の性質:選挙を意識させる文言・表現が含まれていないか
投稿のタイミング:公示日(告示日)に近いかどうか
発信対象:ごく限られた範囲か、不特定多数か
過去の活動実績:過去に継続的な政治活動歴があるか

たとえば、立候補を予定している人物が、自身の顔写真とともに「〇〇地区をもっと良くしたい。△△党の□□が全力で取り組みます」とXで広く発信したとしましょう。このケースでは、次の2点に照らして選挙運動とみなされる可能性が高くなります。

発言内容に政党名や候補予定者名、顔写真が含まれ、選挙を強く意識させる構成である
Xという不特定多数に公開されるメディア上で発信されているため、影響範囲が広い

さらに、これが公示日の直前に投稿されたものであったり、これまで政治的な発信をしていなかった人物が突如こうしたメッセージを投稿したりした場合には、「投稿のタイミング」「活動実績」の観点からも選挙目的であると受け取られやすくなります。

4つの観点すべてに該当する場合はもちろん、いくつかの要素が強く選挙との関連性を示す場合でも、選挙運動と見なされるため、注意が必要です。

 

選挙運動とみなされる言葉

投稿に使われた言葉や表現が、選挙運動と見なされる要因になることがあります。特に、以下のような言葉は注意が必要です。

【政党・候補者の場合】
「○○党公認の□□です」
「△△市議選に立候補します」
「□□候補、当選に向けて全力で」
「必勝を期して頑張ります」

【有権者の場合】
「○○さんに清き一票を!」
「必勝を祈って応援しています」
「□□候補を当選させたい」
「△△さんを議会に送り出しましょう」

SNSの投稿画像を印刷して配布する

SNSに投稿された画像やメッセージは、インターネット上で共有する分には問題ありませんが、それを紙に印刷して配布する行為は公職選挙法で禁止されています(公職選挙法第142条、第243条)。同法第142条では、選挙運動に使用する「文書図画」は、認められた種類のものを除いて頒布できないと定められており、これに該当しない印刷物は違法となります。

以下のような行為は、いずれも禁止されているので注意しましょう。

・候補者が自らのSNS投稿画像を印刷して配布する
・支援者が候補者の投稿画像を印刷し、演説会やイベントで配布する
・SNS投稿の画像をポスターとして印刷・掲示する
・候補者のSNSに掲載された画像を印刷し、近隣住民に手渡す
・候補者や政党からLINEで届いた投票依頼メッセージを印刷して第三者に配布する

SNSに有料広告を掲載する

SNSを活用した選挙運動において、有料広告の掲載は公職選挙法により原則として禁止されています(公職選挙法第142条の6)。

この規制は、「お金のかからない選挙」を実現するというネット選挙解禁の趣旨に基づくものであり、資金力によって情報拡散力に差が生じることを防ぐ狙いがあります。仮に各陣営が広告出稿に資金を投じはじめれば、経済的余裕のある候補者が圧倒的に有利となりかねません。これではネット選挙解禁の趣旨に逆行するおそれがあります。

そのため、インターネット広告を使って特定候補への支持を求めたり、投票を呼びかけたりする行為は違法とされます。ただし、例外的に政党やその支部に限っては、政党自身の選挙運動用ウェブサイトに直接リンクするバナー広告の掲載が認められています。とはいえ、この場合でもバナー自体に候補者の氏名や政党名を記載することはできません。

なりすましでSNSに応援投稿をする

SNS上で他人になりすまして選挙運動を行うことは、公職選挙法で厳しく禁止されています。特に、特定の候補者を当選させる、あるいは当選を妨げる目的で、実際とは異なる氏名や身分を用いてインターネット上に情報を発信する行為は、「氏名等の虚偽表示罪」に該当し、処罰の対象となります(公職選挙法第235条の5)。

たとえば、特定の候補者を応援する内容や、逆に特定の候補者を誹謗中傷する内容をなりすましで投稿した場合、選挙の公正性を著しく損なう行為として、重大な法的責任を問われることになります。いかなる事情があろうと、なりすましによる選挙運動は絶対に行ってはいけません。

SNSで他の候補者の虚偽情報を投稿する

SNS上で特定の候補者に関する虚偽の情報を流す行為は、公職選挙法に違反する行為です。「〇〇候補は経歴を詐称しているらしい」といった、根拠のない噂をあたかも事実のように拡散することは、「虚偽事項公表罪」に問われるおそれがあります(公職選挙法第235条第2項)。

海外では、2016年のアメリカ大統領選挙において、事実無根の陰謀論がSNSで拡散され、発砲事件にまで発展した事例もあります。日本国内でも、特定候補に不利益をもたらす意図で虚偽の投稿がなされるケースは後を絶ちません。

こうした違反行為により有罪判決を受けた場合、罰金や禁錮に加えて、公民権の停止処分を受ける可能性があります(公職選挙法第252条第1項・第2項)。公民権が停止されると、選挙に立候補したり、投票したりすることができなくなるだけでなく、選挙運動に参加することもできません。選挙権・被選挙権を守るためにも、憶測や誘導的な投稿は厳に慎みましょう。

SNSで他の候補者の誹謗中傷を投稿する

言うまでもありませんが、誹謗中傷によって、他の候補者の選挙運動を妨害する行為は絶対にしてはいけません。事実に基づかない情報や、候補者の社会的評価を低下させるような内容を投稿した場合、名誉毀損罪(刑法第230条第1項)や侮辱罪(刑法第231条)に問われる可能性があります。

SNSは情報の拡散速度が速く、匿名性の高さから無責任な投稿がされやすい傾向にあります。選挙運動の場においては、政策に対する正当な批判は表現の自由として許容される範囲ですが、人格攻撃や根拠のない誹謗中傷は決して許されません。

SNSを通じた情報発信にあたっては、冷静かつ節度ある姿勢を忘れず、法と倫理の両面から慎重な対応を心がけましょう。

 

SNSごとの特徴と選挙運動での活用方法

SNSと一口に言っても、発信スタイルや拡散力、ユーザー層はサービスごとに大きく異なります。選挙運動で効果的にSNSを活用するには、それぞれの特性を正しく理解し、目的やターゲットに応じた運用方法を選ぶことが重要です。ここでは主要なSNSについて、選挙活動との相性や効果的な使い方を解説していきます。

Facebook

Facebookは、実名登録と顔写真の掲載が基本となっており、匿名性の高い他のSNSと比べて炎上リスクが比較的低いとされています。総務省の調査によると、国内の利用率は概ね30%前後で推移しており、特に30代〜50代のビジネス層での利用が目立ちます。一方で、10代の利用率は10.0%にとどまり、若年層へのアプローチにはやや不向きといえるでしょう。

とはいえ、政治分野における活用例は依然多く、選挙ドットコムが実施した「都議選2025立候補予定者のSNS利用状況調査第1弾」では、立候補予定者のうち73%がFacebookアカウントを保有しているという結果が出ています。

選挙運動で効果的に活用するためには「Facebookページ」の開設がおすすめです。個人アカウントと異なり、友達申請なしで誰でも閲覧・フォローできるため、既存の支持層以外にも情報を届けやすいのが特長です。また、投稿ごとのリーチ数や反応を分析できる機能も備わっており、発信内容の改善にも役立ちます。

定期的に活動報告を行ったり、演説会や集会の案内を告知したりすることで、関心層との関係性を継続的に育てていきましょう。

参照:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要>

YouTube

YouTubeは、全年代での利用率が87.8%に達しており、コロナ禍を契機に自宅での視聴時間が大きく増えたこともあり、今や多くの人にとって身近な情報源となっています。政治家によるチャンネル開設も年々増加しており、選挙運動における活用の幅は確実に広がっています。

配信されている動画の内容には、街頭演説のダイジェスト、演説のライブ配信、時事ニュースへの見解、自身の政策や政治の仕組みを解説する動画などが見られます。動画コンテンツは継続性が何よりも重要となるため、自分の得意なテーマや無理のない頻度で発信できる形式を選ぶことが大切です。

また、投稿した動画をXやFacebookなどの他SNSで共有すれば、再生数の向上や認知拡大にもつながります。複数のプラットフォームを連動させた発信で、より効果的な情報発信を目指しましょう。

参照:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要>

LINE

LINEは、国内の利用率が94.9%に達しており、世代を問わず日常的に使われているコミュニケーションツールです。近年では、選挙運動における活用も進んでおり、特に国政選挙や知事選挙では「LINE公式アカウント」を導入する候補者が急増しています。

LINE公式アカウントは、Facebookページのように個人のアカウントとは切り離して運用でき、有権者に「友だち追加」してもらうことで、演説会の案内、政策の紹介、動画リンクの共有など、さまざまな情報を一斉配信できます。ブロックされない限り、到達率は100%とされており、LINEを日常的に利用する層には高い開封率が期待できます。タイムリーかつ確実に情報を届けたい選挙運動などの場面では、非常に相性の良いツールといえるでしょう。

参照:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要>

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、特に10代〜20代の若年層に利用者が多く、拡散性の高さが特徴です。一方で、多くのユーザーが匿名で利用しており、実名制のFacebookと比べると投稿に対する反応が過激化しやすく、炎上のリスクが高いとされています。この特性から、政治家の中には活用をためらう声もあります。しかし、若い世代との接点を持つには、Xの活用は避けて通れません。選挙ドットコムの調査では、全候補者の92.6%がアカウントを開設しているというデータもでており、実際には多くの立候補者が何らかの形でXを利用しています。

新規でアカウントを開設する場合は、まず選挙区の自治体公式アカウントや、所属政党・議員のアカウントをフォローし、情報の流れやコミュニケーションの雰囲気をつかむところから始めましょう。

Instagram

Instagramは、写真や動画を中心とした視覚訴求力の高いSNSとして、特に10代〜30代の若年層や子育て世代を中心に広く利用されています。利用者数は年々増加しており、選挙戦においても有権者との接点を広げる手段として注目されています。

数ある機能のなかでも、選挙運動で積極的に活用したいのが「ストーリーズ」です。投稿は24時間で自動的に消える仕様ですが、その分、ユーザーは更新に敏感で、1日に何度もアプリを開き、最新の投稿をチェックする傾向があります。そのため、日々の活動報告や現場の様子をこまめに発信することで、日常的に目に触れる機会を自然に増やせるでしょう。

さらに、「ストーリーズハイライト」を活用すれば、政策や活動内容をテーマごとに整理し、プロフィール画面上に常時表示させることが可能です。これにより、プロフィールを訪れた有権者が過去の発信内容を簡単に振り返ることができるほか、フォロワーによってシェアされれば支持の波及効果も期待できます。

TikTok

TikTokは、10代〜20代の若年層を中心に急速に浸透しているショート動画特化型のSNSです。短時間で視聴できる気軽さと、アルゴリズムによる圧倒的な拡散力を兼ね備えており、動画の内容次第では一夜にして何十万、何百万という人の目に触れることも珍しくありません。

政治分野でも活用が進みつつあり、街頭演説の切り抜きや政策の要点をテンポよくまとめた動画などが投稿され始めています。候補者の人柄や考え方が視覚的に伝わりやすいため、知名度の向上や若年層との接点づくりに一定の効果があるといえるでしょう。

実際、2024年の東京都知事選では、石丸伸二氏の選挙戦がTikTok上で大きな注目を集めました。彼の演説やコメントを切り取った動画が一般ユーザーによって次々と投稿され、瞬く間に拡散。率直な発言や改革志向が際立ち、特に若い世代の支持を集めました。結果、石丸氏は無所属ながら165万票超を獲得し、堂々の2位という結果を残しています。この事例からも、TikTokが選挙運動に与える影響は決して小さくありません。

伝えたいメッセージをどう短く、どう印象的に届けるか。そこに創意工夫を重ねれば、発信の力を最大限に引き出すことができるはずです。

 

公職選挙法に違反しないためのSNS運用のコツ

SNSを活用した選挙運動は、公職選挙法による規制も多く、慎重な対応が求められます。些細な投稿が違反と見なされるリスクもあるため、日々の運用ではルールを正しく理解し、組織としての管理体制を整えることが欠かせません。ここでは、SNSを安全かつ効果的に活用するために押さえておきたい運用のコツをご紹介します。

選挙運動用のアカウントを作る

SNSを選挙運動に活用する際には、既存の個人アカウントを流用するのではなく、選挙専用のアカウントを新たに開設することを検討しましょう。

というのも、選挙期間中は日常的な投稿と異なり、政策や活動実績に基づいた、戦略的かつ一貫性のある情報発信が求められます。また、過去のプライベートな投稿が思わぬ形で切り取られ、誤解や批判を招くリスクも否定できません。情報管理の精度を高めるという意味でも、公私を分けたアカウント運用は重要な判断といえるでしょう。

なお、選挙用アカウントでは、イメージカラーやデザインを統一し、ポスターやチラシと視覚的な連動性を持たせることで、認知度と訴求力を高めることが重要です。加えて、プロフィールの文言や投稿の構成も戦略的に設計し、政策、実績、演説会の情報などが一目で伝わるよう、コンテンツの配置にも工夫を凝らしましょう。

SNSの運用体制を明確にする

選挙期間中にSNSを安全かつ効果的に活用するためには、「誰が」「いつ」「どのような内容を」発信するのか、運用体制をあらかじめ明確にしておくことが重要です。方針が曖昧なままでは、表現に一貫性が欠けるだけでなく、公職選挙法違反につながるリスクも生じかねません。

投稿内容については、事前のチェック体制や承認フローを整えることで、誤解を招く表現や違法性のある発信を未然に防ぐことができます。加えて、万が一トラブルが発生した場合に備え、緊急時の対応フローや役割分担も明確にしておくと、炎上リスクの低減にもつながるでしょう。

チーム全体で選挙違反のリスクを理解する

SNSでの選挙運動は、候補者本人だけでなく、広報担当やスタッフ、ボランティアなど、多くの人が関わる共同作業です。だからこそ、運用に関わるすべてのメンバーが公職選挙法のルールを正しく理解し、違反リスクを的確に認識しておくことが不可欠です。

「誰か一人が把握していれば大丈夫」という考えでは、リスク管理は機能しません。法令順守を徹底するためには、定期的な勉強会の実施や、具体的な場面を想定した運用マニュアルの整備が重要です。各自が自身の発信に責任を持ち、チーム全体でリスクの芽を早期に察知・対処できる体制を構築していきましょう。

よくある質問|SNSと公職選挙法に関する疑問を解説

SNSを活用した選挙運動が解禁されたとはいえ、どこまでが許され、どこからが違反になるのか、判断に迷う場面も少なくないでしょう。ここからは、実際によくある質問を取り上げながら、公職選挙法上の考え方や注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

投票日にSNSで投票を呼びかけるのは違反ですか?

投票日当日の選挙運動は公職選挙法で禁止されており、SNSの投稿も例外ではありません。特に、特定の候補者への投票を促す内容は、公職選挙法に違反します。(公職選挙法第129条)投票日当日の選挙運動は公職選挙法で禁止されており、SNSの投稿も例外ではありません。特に、特定の候補者への投票を促す内容は、公職選挙法に抵触するおそれがあります。

たとえば、「いよいよ今日は投票日です。○○候補に投票をお願いします!」といった投稿を投票日に行うと、それが選挙運動と見なされ、違法と判断される可能性があります。

一方で、「今日は投票日です。忘れずに投票へ行きましょう」といった一般的な投票参加を促す呼びかけは問題ありません。投稿内容に候補者名や政党名が含まれているかどうかが大きな判断ポイントとなるため、投票日当日の発信には注意してください。

SNS広告やプロモーション投稿は選挙期間中に使えますか?

選挙期間中にSNSの有料広告やプロモーション投稿を利用して、特定の候補者や政党への投票を促す行為は、公職選挙法で禁止されています。これは、ネット選挙解禁の背景にある「お金のかからない選挙を実現する」という趣旨を守るための規制です。

例外として、政党等に限っては自らの公式サイトにリンクするバナー広告が認められていますが、広告内に候補者名や政党名を記載して投票を呼びかけることはできません。

人気ユーチューバーに応援動画を出してもらうのは違法ですか?

選挙期間中に人気ユーチューバーなどのインフルエンサーに依頼して、候補者の応援動画を発信してもらう行為は、状況によっては公職選挙法違反にあたる可能性があります。

特に注意しなければならないのが、報酬を支払って発信を依頼するケースです。これは「運動買収」とみなされ、厳しく処罰されます(公職選挙法第221条ほか)。

一方で、ユーチューバー本人が報酬を受け取らず、あくまで個人の意思でボランティアとして応援の投稿をする場合は、違法にはあたりません。

選挙スタッフの投稿も違反対象になりますか?

候補者本人だけでなく、選挙スタッフも選挙運動に該当する行為を行えば、法的責任を問われる可能性があります。たとえば、公示日前に「〇〇候補に期待!」といった投稿を行った場合、それが選挙運動と判断されれば、「事前運動」として処罰の対象になるおそれがあります。また、違法な文書図画の頒布や、なりすまし行為、誹謗中傷などはスタッフであっても当然に違法です。

 

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まとめ

SNSの活用が選挙運動に認められるようになったことで、年代や属性を問わず、幅広い有権者に向けた効果的な情報発信が可能になりました。しかし、SNSを含むインターネットの活用においては、公職選挙法による厳格なルールがあることを忘れてはいけません。

公示日前の選挙運動、投票日当日の投票依頼、有料広告の利用、虚偽情報の投稿、他候補への誹謗中傷など、違反行為は多岐にわたり、「知らなかった」では済まされないのが現実です。違反があれば、刑事罰の対象となるほか、公民権停止など、重大な影響を及ぼす可能性もあります。こうしたリスクを回避するためには、公職選挙法における禁止事項や表現の制限を正確に理解し、SNSの特性を踏まえたうえで慎重かつ計画的に運用することが求められます。

本記事で取り上げたポイントを参考に、誠実で一貫性のある情報発信を心がけ、有権者との健全なコミュニケーションを築いていきましょう。