選挙公示前にやってはいけないSNS投稿とは?違反行為を徹底解説

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選挙運動にSNSを活用する動きが広がるなか、公職選挙法に抵触しない投稿かどうか、不安を感じる候補者・陣営スタッフの方も少なくありません。

特に注意が必要なのが、公示日前の発信です。何気ない投稿が「選挙運動」と見なされ、違反と判断される可能性もあるため注意しなければなりません。

本記事では、選挙運動と政治活動の違いを整理したうえで、公示前にやってはいけないSNS投稿や、選挙違反とされやすい表現例などをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

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選挙運動と政治活動の違いを正しく理解しよう

SNS運用において違反を避けるためには、まず「選挙運動」と「政治活動」の違いを正しく理解することが重要です。ここでは、勘違いされやすい両者の違いについて確認しておきましょう。

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選挙運動の定義とルール

選挙運動とは、「特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として行われる行為」のことを指します。公職選挙法では、この選挙運動を行える期間が明確に定められており、公示日(または告示日)から投票日の前日までに限定されています。それ以外の時期、つまり選挙運動期間外に選挙運動を行うと、それは「事前運動」と見なされ、処罰の対象となる可能性があります。

具体的に、選挙運動に該当する行為としては、街頭演説やビラの配布のほか、SNSを使った投票呼びかけなどが挙げられます。たとえば、「○○候補に投票をお願いします」といった特定の候補者への投票を促す投稿や、選挙に関連するハッシュタグを用いた宣伝行為は選挙運動と見なされるため、選挙運動期間外に行えば違法です。

とはいえ、選挙期間中であっても、すべての行為が自由に認められているわけではありません。公職選挙法では、インターネット上での選挙運動について、連絡先の明記や氏名や身分の偽称禁止、満18歳未満の者の参加禁止など、さまざまなルールを定めています。

「知らなかった」では済まされませんので、基本的な定義とルールを正しく理解しておくことが重要です。

政治活動の定義と選挙運動との違い

よく混同される「政治活動」と「選挙運動」ですが、公職選挙法ではこの2つを明確に区別しています。どちらも政治的な活動ではあるものの、目的や実施時期、行える内容が異なるため、それぞれの違いをしっかり押さえておきましょう。

分類 定義 実施可能な期間 主な活動例
政治活動 政治上の目的をもって行われる活動(選挙運動にわたる行為を除く) 原則として自由(ただし一部制限あり) 政策の普及、政党の支持拡大、後援会活動、議会報告会の開催など
選挙運動 特定の選挙で、特定の候補者の当選を目的として投票を得るための行為 公示日(告示日)から投票日の前日まで 投票依頼、選挙用ポスターの掲示、選挙カーでの活動、選挙公報の配布など

 

たとえば、政策の普及や政党の支持拡大、後援会活動、議会報告会の開催は「政治活動」に分類されます。​これらの活動は、選挙運動に該当しない限り、原則として自由に行うことができます。​

一方で、「○○候補に清き一票を」と具体的に投票を呼びかけるような行動は「選挙運動」に該当し、その時期が選挙期間中でなければ違法と判断される可能性があります。

問題なのは、こうした活動の区別が難しい場面もあるということ。政治活動の一環として行った行為であっても、内容や表現の仕方によっては、選挙運動と見なされてしまう可能性も否定できません。

だからこそ、公職選挙法のルールを正しく理解し、「いつ」「何を」「どう伝えるか」をよく吟味することが大切です。

公示前でも認められる政治活動

選挙の公示(または告示)前であっても、一定の条件を満たせば「政治活動」として認められる行為があります。公職選挙法では、選挙運動とは異なるものとして政治活動を位置づけており、特定の選挙における特定の候補者の当選を目的としない限り、原則として実施が可能です。

具体的に、以下のような活動は公示前でも「政治活動」として認められています。

  • 政党や後援会による政策説明会の開催
  • 政治活動としての街頭演説
  • 政治活動用のビラやチラシの配布(内容や配布方法に制限あり)
  • 後援会名義のニュースレターや会報の送付
  • 政党や後援会のウェブサイトでの情報発信

ただし、選挙が行われていない時期でも、候補者や後援会の氏名入りの立札やポスター、看板が掲示されると、選挙を意図した活動と受け取られるおそれがあります。そのため、公職選挙法ではこうした政治活動における「文書図画の掲示」に関して、掲示できる場所やサイズ、期間などについて明確な制限を設けています。

 

SNSで選挙運動をする前に知っておきたいこと

選挙戦略の一環として、SNSを活用した情報発信を検討している方も多いのではないでしょうか。タイムリーにメッセージを届けられるSNSは、有権者との接点を築く手段として注目されています。

とはいえ、投稿のタイミングや内容によっては、公職選挙法に抵触するおそれもあるため注意が必要です。ここでは、SNSで選挙運動を始める前に最低限押さえておきたいポイントを解説します。

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公示前のSNS選挙運動は公職選挙法違反のおそれも

選挙戦にSNSを活用するなら、まず最初に押さえておきたいのが「公示日(または告示日)前の発信は選挙運動と見なされるおそれがある」という点です。

公職選挙法では、選挙運動が許される期間を厳格に定めており、それ以前のタイミングで投票を呼びかけるような投稿を行うと、「事前運動」に該当し、法令違反と判断される可能性があります。たとえば、「○○候補に投票をお願いします」といった投稿はもちろん、過去の選挙関連投稿をうっかりリポスト・シェアした場合でも、タイミングによっては違反となります。

候補者本人だけでなく、スタッフや応援者による発信も対象となるため、陣営全体で運用ルールを共有しておくことが重要です。

公示前の選挙運動が禁止されている理由

選挙戦は、公平なルールのもとで行われてこそ、民主主義としての健全性が保たれます。そのため、公職選挙法では「いつから選挙運動を始めてよいのか」を明確に線引きしています。

もし一部の候補者だけがフライングで活動を始めてしまえば、資金力や知名度の差によって競争の条件が不平等になります。これを防ぐため、選挙運動は全候補者が同じスタートラインから始められるよう、公示日以降に制限されているのです。

フェアな選挙を実現するためにも、公示日前の発信には十分に注意しましょう。

公職選挙法に違反するとどうなるのか

公職選挙法に違反してしまった場合、「知らなかった」では済まされません。たとえば、公示日前に選挙運動を行ったり、SNSで投票の呼びかけを投稿したりした結果、法律違反と判断されれば、最悪の場合「1年以下の禁錮」または「30万円以下の罰金」が科される可能性があります(公職選挙法第239条)。

さらに、その違反が確定すると、選挙権や被選挙権が一定期間停止されることもあり、当選していても無効となるリスクもあります。こうした状況を避けるためには、候補者本人はもちろん、スタッフ全員がルールをしっかり理解しておくことが欠かせません。

SNS運用を行う際は、発信内容やタイミングをダブルチェックし、判断に迷ったら選挙管理委員会に確認するなど、慎重な対応を心がけましょう。

 

公示前のSNS投稿で選挙違反と見なされやすいポイント

公示日前の投稿が、意図せず「選挙運動」と判断されるケースも少なくありません。ここでは、選挙違反と見なされやすい投稿の特徴や判断基準について確認していきましょう。投稿内容を精査するための目安として、ぜひ参考にしてください。

選挙運動と判断される際の判断基準

選挙運動かどうかは、投稿の内容だけでなく、時期や対象、過去の活動実績などを含めた総合的な状況で判断されます。以下のような点に該当する場合は、公職選挙法上「選挙運動」と見なされるおそれがあるため、特に注意が必要です。

  • 特定の候補者への投票を呼びかけるような文言が含まれている(例:「〇〇候補に清き一票を」など)
  • 投稿時期が公示日間近である(近いほど選挙運動と判断されやすい)
  • 発信の対象が不特定多数に向けられている(対象が広いほどリスクが高まる)
  • 過去に政治活動の実績が乏しい中で、選挙直前に急に発信が活発になる

「応援のつもりだった」「選挙運動のつもりはなかった」といった主観では免責されないため、SNSでの発信前には第三者の目線で冷静にチェックすることが重要です。

選挙運動にあたると判断されやすい文言

​公示日前の投稿であっても、特定の表現を使うことで選挙運動と見なされるおそれがあります。以下のような文言は選挙色が強く、特定の選挙での当選を目的とした発信と受け取られる可能性が高いため、注意してください。

  • 「〇〇党公認(候補)」
  • 「立候補予定です」
  • 「必勝を期して頑張ります」
  • 「当選を目指して活動中」
  • 「〇〇市議会議員選挙に出馬」

 

公職選挙法に違反するおそれのある公示前のSNS投稿例

では、公示日前のSNS投稿では具体的にどのような内容が問題となるのでしょうか。ここでは、公職選挙法に違反するおそれがある投稿の例を挙げながら、注意すべきポイントを解説していきます。

投票を呼びかける投稿をする

公示日前に「○○候補に投票をお願いします」といった投稿をSNSで行うと、公職選挙法に違反するおそれがあります。これは、特定の選挙・特定の候補者の当選を目的とした行為、つまり「選挙運動」と判断されるからです。

選挙運動に該当するかどうかは、投稿の内容だけでなく、発信された時期や方法なども総合的に判断されます。とくに公示日前の時点で、投票を呼びかけるような明確な表現を用いることは「事前運動」とされ、処罰の対象となる可能性もあります。

候補者本人だけでなく、応援者やスタッフによる発信も例外ではありません。発信前には、「この投稿が選挙運動に該当しないか」という視点で慎重に確認する必要があります。

「必勝」の為書き画像を投稿する

公示日前に「必勝」などの文字が入った為書き(ためがき)画像をSNSに投稿する行為も、公職選挙法に違反するおそれがあります。為書きとは、選挙に出馬する候補者に向けて支持者などが贈る激励文のことで、通常は「必勝」や「祈 当選」などの言葉が書かれています。

このような文言が入った為書き画像を公示日前にSNSへ投稿すると、特定の候補者の当選を目的とした行為と見なされ、「事前運動」に該当する可能性があります。特に、氏名や選挙名、応援の趣旨が明記された内容であれば、選挙運動と見なされやすくなります。

たとえ本人が投稿していなくても、支援者やスタッフによる発信も違反の対象となるため、陣営全体で投稿ルールを徹底することが求められます。

選挙用のハッシュタグを使って宣伝する

公示日前に「#○○候補に投票を」「#○○区で勝たせたい」などのハッシュタグを使った投稿は、公職選挙法における事前運動と見なされる可能性があります。ハッシュタグは情報拡散力が強いため、宣伝意図があると判断されれば違反になるリスクが高まります。

たとえ支持者の自発的な投稿であっても、内容によっては陣営の責任を問われることも。誤解を避けるためには、公示日前の投稿では候補者名や政党名を含む宣伝的なタグの使用は控え、時期を見極めた発信を心がけることが大切です。

立候補者がSNSに有料広告を出す

SNSの広告機能は高い拡散力を持つため、選挙戦で活用したいと考える候補者もいるかもしれません。しかし、公職選挙法では、有料インターネット広告による選挙運動は、政党や確認団体など一部の団体に限って認められており、候補者個人による出稿は一切禁止されています。

仮に選挙運動期間中であったとしても、候補者によるSNS広告が許されていない以上、戦略の一環として考えること自体がリスクとなりかねません。

偽名を使って応援投稿をする

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでは、偽名での投稿も可能ですが、選挙に関する投稿においては、偽名を使うことは認められていません。 公職選挙法では、特定の候補者・政党を当選させる、あるいは当選させないことを目的に、真実に反する氏名や身分を表示して情報発信する行為を禁じています。

こうした行為は、情報の透明性を欠き、有権者の判断を誤らせる要因にもなりかねません。したがって、応援メッセージであっても、なりすましや偽名を用いた発信は、公示前に関わらず違法となります。

選挙の公正性を守るためには、誰が発信しているのかが明確であることが前提です。候補者や陣営スタッフが、組織的に匿名アカウントを使って世論操作しようとする行為は、重大なルール違反となるため、情報発信は常に実名・実在性のあるかたちで行うことを徹底しましょう。

対立候補への誹謗中傷を含む投稿をする

公示前に関わらず、対立候補に対して誹謗中傷や根拠のない批判を行うことは、いかなる状況であっても許されません。

ネット上では、批判的な意見が飛び交う場面も多く見られますが、公然と事実を明らかにし、人の名誉を毀損した者には厳しい罰則が課せられます。特にSNSでは投稿が瞬時に広がりやすいため、一度流布された内容が相手に与えるダメージは小さくありません。

表現の自由を濫用して選挙の公正を害することのないよう、SNSの適正な利用に努めましょう。

 

投票日当日のSNSも気を付けよう

ここでは、投票日当日の投稿で注意すべきポイントを解説します。

投票日当日の投稿は選挙違反になる可能性がある

選挙運動が認められているのは、投票日前日の23時59分までです。それ以降、つまり投票日当日にSNSで「〇〇候補に投票してください」「応援よろしくお願いします」などと発信すると、公職選挙法違反に問われる可能性があります。

特に気をつけたいのが、予約投稿です。前日までに入力した内容であっても、公開されたのが投票日当日であれば、選挙運動と見なされ違反となるおそれがあります。

候補者本人はもちろん、陣営スタッフや有権者による応援投稿に関しても、処罰の対象になる点は変わりません。日付が変わった時点から、SNSでの選挙運動は一切NGと覚えておきましょう。

シェアやリツイートも選挙運動と見なされる可能性がある

自分で投稿した内容だけでなく、他人の投稿をリポストしたりシェアしたりする行為も、選挙運動と判断される可能性があります。というのも、自身のアカウントを通じてその情報を再び拡散する行為は、結果的に自身の発信と見なされるからです。特に、候補者名や政党名を含んだ投稿や、明らかに投票を促すような内容は要注意です。

過去の投稿を残しておくことは問題ありませんが、投票日にあらためてシェアする行為は、選挙運動と見なされかねません。思わぬ違反を防ぐためにも、シェアやリツイートのタイミングには十分注意が必要です。

投票日当日に許される投稿とは

では、投票日当日は一切SNS投稿ができないのかというと、そうではありません。投票率向上を目的とした呼びかけや啓発的な内容であれば問題なく投稿できます。重要なのは、その内容が特定の候補者や政党を応援するニュアンスを含んでいないかどうかです。

たとえば、「今日は投票日です」「忘れずに投票へ行きましょう」といった一般的な呼びかけや、選挙そのものの実施を知らせる内容であれば、選挙運動には該当しません。一方で、「投票してくださった皆さん、ありがとうございました」といった投稿は、自身への投票を暗に促すものと見なされることもあり、公職選挙法に触れる可能性があります。

投票日当日のSNS投稿は、あくまで中立的な呼びかけにとどめることがポイントです。

 

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まとめ

本記事では、公示前や投票日当日を含め、SNSで注意すべき選挙運動のルールについて解説しました。

選挙運動においてSNSは、有権者と直接つながれる効果的なツールですが、一方で、公職選挙法に照らして「どこまでが許され、どこからが違反か」という線引きが非常に重要になります。

候補者本人だけでなく、情報を扱う陣営スタッフの一人ひとりがそのルールを正しく理解し、慎重に運用する姿勢が問われます。うっかり投稿ひとつで信頼を失えば、積み上げてきた活動の成果も水の泡になりかねません。

だからこそ、「これくらいは大丈夫だろう」と自己判断せず、最新のガイドラインや選挙管理委員会の見解を必ず確認したうえで行動することが不可欠です。