公示前にLINEで支援を頼むのは違法?LINEの選挙活用法を紹介

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LINEを活用した政治活動が増える中で、「公示前に支援のお願いをしても問題ないのか」と悩む候補予定者や関係者も多くいます。特定の行為が「選挙運動」とみなされた場合には、公職選挙法違反に問われるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

本記事では、LINEが選挙対策に向いている理由や、公示前にLINEでできること・できないこと、LINEを活用するメリット・デメリットについて詳しく解説します。法令を正しく理解したうえで、安全にLINEを活用していきましょう。

 

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LINEが選挙対策に向いている理由

SNS運用において違反を避けるためには、まず「選挙運動」と「政治活動」の違いを正しく理解することが重要です。ここでは、勘違いされやすい両者の違いについて確認しておきましょう。

LINEは多くの有権者に届くSNSツール

LINEは、国内で圧倒的な普及率を誇るSNSです。2024年9月時点での月間アクティブユーザー数は9,700万人を超え、日本の人口の約8割が日常的に利用している計算になります。まさに、生活インフラの一部といっても過言ではありません。

総務省が実施した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」でも、LINEの利用率は全年代平均で94.9%と極めて高く、10〜40代では95%以上、50代・60代でもおおむね90%前後と、幅広い年齢層に深く浸透していることが分かります。

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出典:総務省「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

こうした高いリーチ力を背景に、選挙戦での情報発信ツールとしてLINEを活用する政治家や政党が年々増えているのです。

参照:LINEキャンパス

LINEは高い開封率と即時性が強み

他のSNSやメールに比べてメッセージの開封率が高く、情報を即座に届けられるという点も、LINEが選挙対策に向いている理由です。

LINE公式アカウントは、メッセージの開封率が平均60%とされ、一般的なメルマガの開封率(10〜30%)と比較しても高い数値となっています。​これは、LINEが日常的に使用されるアプリであり、プッシュ通知やトーク画面でのメッセージ表示により、ユーザーがメッセージに気づきやすいためです。

​また、メッセージ送信から開封までの時間も短く、即時性の高い情報発信が可能です。​選挙戦に向けたイベント告知や政策発信も、タイミングを逃さずに行えるため、スピード感を持って支援者との接点を築きたい政治家にとっては、効果的な発信手段といえるでしょう。

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公示前に選挙運動とみなされる違法行為とは

LINEを政治活動に使う場合、最も注意すべきなのが「選挙運動」とみなされる行為です。公職選挙法では、公示日前の選挙運動を原則として禁止しており、意図せず違法行為に該当するリスクもあります。まずは政治活動との違いをしっかり確認しておきましょう。

政治活動と選挙運動の違い

公職選挙法では、「政治活動」と「選挙運動」を明確に区別しています。​

政治活動とは、政治上の主義や施策を推進・支持・反対することを目的として行われる活動であり、選挙運動に該当しない一切の行為を指します。

​一方、選挙運動とは、特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として、投票を得るために直接または間接に働きかける行為です。

​選挙運動は、立候補の届出が受理された日(=告示日または公示日)から投票日の前日までの期間に限り認められており、それ以前に行うと「事前運動」として禁止されています。​例えば、公示前に「○○候補に投票してください」とLINEでメッセージを送ることは、選挙運動とみなされ、違法となる可能性があります。

政治活動として認められている行為

公示前であっても、一定の範囲内で認められている活動があります。たとえば、以下のような特定の選挙の当選を目的としない行為は、政治活動として適法に行うことが可能です。

  • 政策の普及・宣伝
  • 後援会の会合や活動の案内
  • 政治資金パーティーの開催
  • 会報誌やニュースレターの配布
  • 政治活動用ポスターの掲示(規定に従い、氏名や写真の記載が可能)

LINEを活用する場合も、これらの内容に準じた発信であれば問題視されることはありません。ただし、「〇〇区から立候補予定です。ご支援お願いします」といった表現は、当選を目的とした選挙運動とみなされる可能性があるため注意が必要です。あくまで選挙を目的としないことを明確に意識して発信することが重要です。

選挙運動とみなされる「3つの要素」

ある行為が「選挙運動」に該当するかどうかは、公職選挙法上、次の3つの要素がそろっているかどうかで判断されます。

  1.特定の選挙について言及していること(例:「次の市長選挙に向けて~」など)

  2.特定の候補者が明示されていること

  3.投票を呼びかける言葉や行動が含まれていること(例:「一票をお願いします」「応援してください」など)

たとえば、「来年の市議会選挙で立候補する○○と申します。応援よろしくお願いします」といったメッセージは、これらすべての要素を満たすため、公示前に発信すると選挙運動とみなされる可能性があります。

 

公示前にLINEでできること・できないこと

公示日前のLINE活用には、明確なルールがあります。誤った使い方をすれば、選挙運動とみなされるリスクも否定できません。

ここでは、公職選挙法に照らして、公示前にLINEでできること・できないことをわかりやすく解説します。

LINEでできること

公示前であっても、LINEを使って行える政治活動はいくつかあります。ただし、それが選挙運動に該当しない範囲であることが大前提です。たとえば以下のような使い方であれば問題ありません。

  • 政党や議員の公式ホームページや特設サイトの紹介
  • 議員の実績や政策、理念の紹介
  • 街頭演説や活動の様子を撮影した動画の共有
  • 友人や知人に政党・議員の公式LINEアカウントを紹介
  • 政治関連の電子新聞記事や画像のシェア
  • SNS投稿への「いいね」やリツイート(内容によって注意が必要)

ただし「投票依頼」と誤解される表現は避け、あくまでも情報共有にとどめることが重要です。

LINEでできないこと

では、どのような行為がNGとなるのでしょうか。公示前のLINE活用で特に注意すべきなのは、「投票を依頼する行為」です。たとえ個人間のやりとりであっても、次のようなメッセージは選挙運動とみなされ、違法となる可能性があります。

  • 特定候補への投票を促すLINEメッセージの送付
  • 候補者を紹介したうえで「ぜひ支援を」と伝えるメッセージ
  • 応援メッセージを装った実質的な投票依頼の拡散
  • LINE上で投票依頼を含む画像・動画の共有

形式に関係なく、「選挙で票を得るための働きかけ」と判断されれば、処罰対象となるため注意しましょう。

 

LINEを活用するメリット・デメリット

LINEは、情報を素早く届けられるうえ、受け手に届きやすいという特性から、政治の現場でも活用する動きが広がっています。ここでは、政治活動のなかでLINE公式を使う際に押さえておきたいメリット・デメリットを解説します。

LINEを活用するメリット

まずは具体的にどのような点がメリットなのか、1つずつ見ていきましょう。

 

●支援者にメッセージを一斉配信できる

LINE公式アカウントを活用すれば、登録している「支援者」全員に一斉にメッセージを送ることができます。メールマガジンのような使い方が可能で、情報を短時間で広範囲に届けられるのが特長です。

配信対象を年齢や地域などの条件で絞り込むこともでき、必要な情報を必要な人に届けることができます。送信できるのは文字だけでなく、画像・スタンプ・動画なども添付でき、1回の配信で最大3つの吹き出し・1,500文字まで対応。活動報告やイベント告知などを、タイムリーに届けたい場面で活用できます。

 

●支援者と11でやり取りができる

LINE公式アカウントには、支援者と1対1で直接やり取りができる「チャット機能」が備わっています。 他の支援者には公開されない個別チャット形式なので、丁寧なコミュニケーションが取りやすく、信頼関係を築くのにも効果的です。

もちろん、X(旧Twitter)やInstagramのDM機能でも個別のやり取りは可能ですが、LINEはより日常に溶け込んだツールとして利用されており、親しみを感じてもらいやすいという特長があります。「最近はいかがお過ごしですか?」「先日は貴重なご意見をありがとうございました」といった、きめ細かなコミュニケーションができるのは、LINEならではの特徴といえるでしょう。

ただし注意点もあります。支援者が「友だち追加」をしただけでは、こちらから個別チャットを始めることはできません。スタンプやメッセージなど、何らかのアクションを起こしてもらう必要があります。

そのため、アカウント開設時には、軽いやり取りを誘導するような初回メッセージを用意しておくとスムーズです。

 

●メールマガジンより開封率が高い

LINE公式アカウントは、メールマガジンと比べて開封率が圧倒的に高いとされています。一般的にメルマガの開封率は約20%程度といわれていますが、LINEでは約60%に達するというデータもあり、3倍近い差が見られます。

この差は、LINEが日常的に使われているアプリであること、そしてプッシュ通知によってメッセージがすぐに届くという仕組みによるものです。加えて、LINEには迷惑メールフォルダがないため、配信したメッセージが支援者の目に触れる可能性が高いことも特長のひとつです。

こうした特性から、確実に情報を届けたい政治活動においても、LINE公式アカウントの活用は効果的といえるでしょう。

 

●支援者と継続的な関係を築ける

LINEは一度つながった支援者と、継続的な関係を築きやすい点も大きなメリットです。

LINEは日常的に使われるアプリであるため、定期的に情報を届けやすく、自然な形で関係性を深めていけます。たとえば、活動報告や地域イベントの案内、議会での発言内容などを定期的に配信することで、「顔が見える政治」として支援者の信頼を得るきっかけにもなります。

また、LINE上での反応や個別のやり取りを通じて、支援者の関心や意見を把握し、今後の活動に生かすことも可能です。

LINEを活用するデメリット

​政治活動におけるLINE活用にはさまざまなメリットがあることをお分かりいただけたと思います。では、ここからはLINEを活用するデメリットについても詳しく解説します。

 

●LINE公式アカウントの運用に手間がかかる

LINEを活用するには、まず「LINE公式アカウント」を開設する必要があります。開設後は、プロフィールの整備、初回メッセージの設定、応答機能の準備など、多くの項目を調整しなければなりません。

運用が始まってからも、メッセージ配信のタイミングや内容を計画的に考えなければ、思うような効果は期待できません。それどころか、メッセージ配信の頻度や内容に気を配らないと、支援者に「通知が多すぎる」と感じさせてしまい、ブロックされてしまうことも考えられます。

また、1対1でのやり取りに対応するには、それなりの時間と人手が必要です。成果を上げるには、計画的かつ丁寧な運用が欠かせないという点も、あらかじめ理解しておく必要があるでしょう。

 

●スマホを使わない有権者へのアプローチが難しい

スマホを使わない有権者へのアプローチが難しいこともデメリットの1つです。

LINEは国内で広く普及しているとはいえ、スマートフォンを持たない層やアプリを利用していない有権者には届きません。特に高齢者層の一部や、デジタル機器に不慣れな人々は、今も電話・郵送・対面での情報収集に頼っているケースが少なくありません。

こうした層に対しては、LINEだけでは接点を持つことが難しく、従来型の広報活動も引き続き必要になります。あくまでLINEは情報発信の一手段であり、全体のコミュニケーション戦略の中でバランスよく使うことが求められます。

 

●アカウントが削除されると支援者の情報が失われる

LINE公式アカウントを活用するうえで注意したいのが、万が一アカウントが削除された場合、それまでに蓄積してきた支援者の情報ややり取りの履歴がすべて失われてしまうという点です。具体的には、支援者リストやトークの履歴、配信メッセージ、分析データなどが完全に削除され、復元することはできません。

LINEは外部サービスである以上、利用規約違反などが原因で運営側の判断により突然アカウントが停止・削除される可能性もゼロではありません。これが現実になった場合、それまで築いてきた支援者とのつながりやコミュニケーションの履歴は一瞬で失われてしまい、再構築には多くの労力と時間がかかります。

このようなリスクを回避するためにも、事前に必要な情報をバックアップしておくことや、LINE以外の連絡手段を確保しておくことが重要です。

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公示前の政治活動でLINEを活用する方法

公示前の段階でも、LINEをうまく活用することで支援者との接点を広げることができます。ここでは、具体的にどのような活用が可能なのか、詳しく見ていきましょう。

挨拶回りにLINEを活用する

公示前の挨拶回りは、候補予定者が地域の有権者と直接交流し、顔と名前を覚えてもらうための重要な政治活動です。​この時期に築いた信頼関係が、選挙期間中の支持につながることも少なくありません。

選挙運動と誤解されないよう注意が必要ですが、LINEを活用することで、効率的かつ効果的に支援者との接点を増やすことができます。

​​例えば、訪問予定の支援者に事前にメッセージを送り、訪問の日時を伝えることで、相手の都合に合わせた訪問が実現できます。ただし、LINEでのやり取りが選挙運動とみなされないよう、内容や表現には十分な注意が必要です。

LINEで政策の発信やイベントの告知を行う

LINE公式アカウントは、公示前に政策の内容を伝えたり、各種イベントの開催を知らせたりするツールとしても活用できます。政治活動の一環として、支援者に理念や政策方針を伝えることは認められており、LINEを使えばタイムリーかつ継続的に情報を届けることが可能です。

たとえば、議会での発言内容や地域課題への対応状況を報告する投稿、後援会主催の勉強会や懇談会のお知らせなどは問題なく行えます。選挙運動と誤解されないよう、表現内容には十分注意しながら活用していきましょう。

選挙用のハッシュタグを使って宣伝する

公示日前に「#○○候補に投票を」「#○○区で勝たせたい」などのハッシュタグを使った投稿は、公職選挙法における事前運動と見なされる可能性があります。ハッシュタグは情報拡散力が強いため、宣伝意図があると判断されれば違反になるリスクが高まります。

たとえ支持者の自発的な投稿であっても、内容によっては陣営の責任を問われることも。誤解を避けるためには、公示日前の投稿では候補者名や政党名を含む宣伝的なタグの使用は控え、時期を見極めた発信を心がけることが大切です。

LINEを活用して後援会の支援者を増やす

公示前の政治活動として、後援会への参加を呼びかけることは認められています。LINE公式アカウントは、この後援会活動とも相性が良く、活用次第で支援者を着実に増やすことが可能です。

たとえば、アカウント内に後援会登録フォームへのリンクを設置したり、会の活動内容や入会メリットを分かりやすく配信したりすることで、参加のハードルを下げることができます。

イベント告知や活動報告を継続して発信すれば、興味関心を持つ層の信頼を得やすくなり、自然な形で支援者の裾野を広げていけるでしょう。

 

選挙公示前にLINEを活用する際のよくある質問

公示前にLINEを使う際、「どこまでが合法なのか」「どんな表現がNGなのか」と迷うこともあるでしょう。ここでは、実際によくある質問をもとに、注意点をQ&A形式で解説します。

公示前にLINEで支援者にメッセージを配信したいのですが、どんな内容が違反になりますか?

公職選挙法では、選挙運動は立候補の届出が受理された時から投票日の前日までの間に限り行うことができます。​したがって、公示前に選挙運動を行うことは「事前運動」として禁止されています。

LINEでのメッセージ配信において、以下のような内容は選挙運動とみなされる可能性があり、注意が必要です。​

  • 特定の選挙を明示する内容(例:「来年の市議会議員選挙に」)​
  • 候補者を特定する内容(例:「立候補予定の○○です」)​
  • 投票を依頼する表現(例:「一票お願いします」「応援してください」)​

これらの要素が揃ったメッセージは、選挙運動と判断される可能性が高く、告示前に送信すると事前運動に該当する可能性が高いとされます。

LINEで公示前に選挙支援を頼むことは違法ですか?

公示前にLINEで支援を頼む行為がすべて違法になるわけではありません。たとえば、事務所開設準備や後援会活動の手伝いなど、「立候補の準備」や「選挙運動の準備」に該当する内容であれば、政治活動の範囲として認められています。

ただし、候補予定者への投票を呼びかけや、選挙当選を目的とした依頼は、選挙運動とみなされるおそれがあります。依頼内容が「準備」か「投票依頼」か不安な場合は、事前に選挙管理委員会に相談しましょう。

公示前に支援者がLINEで候補予定者の投票依頼をするのは問題ないですか?

たとえ支援者であっても、公示前にLINEを通じて特定の候補予定者への投票を呼びかけることは、「事前運動」に該当する可能性があります。公職選挙法では、選挙運動を行えるのは原則として告示日以降とされており、候補者本人だけでなく、第三者による投票依頼も規制の対象です。

支援の気持ちを示したい場合でも、時期や内容には十分注意し、法に触れない範囲で行動しましょう。

 

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まとめ:公示前からLINEを活用して選挙準備を進めよう

本記事では、公示前にLINEを活用する際の注意点や活用方法について解説してきました。選挙運動に該当する表現は避けながらも、支援者との関係構築や政策の発信、後援会活動などにLINEを上手に活用すれば、効率よく選挙準備を進めることができます。

大切なのは、公職選挙法のルールを正しく理解したうえで、継続的かつ丁寧な発信を心がけること。選挙戦に向けて、日々地道なコミュニケーションを積み重ねていくことが、確かな力となっていくでしょう。