ニュースの「次の首相」ってどうやって決まるの?総理大臣の決め方から議院内閣制の仕組みまで徹底解説
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「選挙で勝った党のトップが、総理大臣になる」
これは、私たちにとって「当たり前」すぎて、逆に「なぜ?」と聞かれると「えーっと、そういうルールだから…」としか答えられない、という人は意外と多いものです。
40代になっても知らないのは恥ずかしいことではなく、むしろ、日本の政治システムの「核心」に触れる、非常に良い質問です。その「当たり前」の「なぜ?」をスッキリ解消できるようなブログ記事を書いていきます。
まず、この議論の「結論」から言います。
なぜ第一党の党首が総理大臣になるのか、その答えは、日本の政治システムが「議院内閣制(ぎいんないかくせい)」を採用しているからです。
この言葉(テストに出ましたね)こそが、すべての「からくり」を解くカギです。
この「議院内閣制」を理解する一番簡単な方法は、アメリカの「大統領制(だいとうりょうせい)」と比較することです。
アメリカ(大統領制)
国民は「大統領選挙」で、国のトップ(大統領)を直接選び、それとは別に「議会選挙」で、法律を作る人(議員)を選びます。つまり、「行政のトップ(大統領)」と「立法のトップ(議会)」を国民が別々に選ぶのです。
日本(議院内閣制)
国民は「国会議員選挙」で、議員(国会議員)を選びます。私たちは、総理大臣を直接選びません。そして、私たちが選んだ「議員」たちが、国会に集まり、彼らの中から「総理大臣」を選ぶのです。
これが最大の違いです。
私たちが「総理大臣選挙」だと思って投票している「衆議院選挙(総選挙)」は、あくまで「総理大臣を選ぶ権利を持つ人(=国会議員)を選ぶ選挙」なのです。

では、なぜ「議員」たちが集まると、自動的に「第一党の党首」が選ばれるのでしょうか。これは、多数決のロジックを考えればとても簡単です。
(例)定数100議席の国会で総選挙が行われました。
* A党(党首はAさん): 60議席 を獲得
* B党(党首はBさん): 30議席 を獲得
* C党(党首はCさん): 10議席 を獲得
選挙後、この100人の議員たちが「総理大臣を選ぶ投票」を行います。
* A党に所属する60人の議員は誰に投票するでしょうか?
→ 当然、自分たちのボスである「Aさん」に投票します。
* B党の30人は「Bさん」に、C党の10人は「Cさん」に投票します。
【投票結果】
* Aさん: 60票
* Bさん: 30票
* Cさん: 10票
Aさんが、過半数(半数以上)の票を獲得し、総理大臣に選ばれました。
これが「第一党の党首が総理大臣になる」という「当たり前」の正体です。私たちは「第一党」を選ぶことで、「その党の党首を総理大臣にしてください」と、間接的に意思表示していることになるのです。
では、ご質問の核心である「その投票」の詳しいルールを見ていきましょう。この「総理大臣を選ぶ投票」は、正式には「内閣総理大臣指名選挙(しゅはんしめいせんきょ)」(または「首班指名」)と呼ばれます。
「首班」とは「トップ」という意味です。
総選挙の後、新しい国会が開かれると、まず最初に行われる最も重要な仕事が、この「首班指名」です。
しかし、政治の世界は「ねじれ国会」という状態がよく起こります。
(例:総選挙でA党が勝ったが、参議院ではB党がまだ多数派)
* 衆議院の投票 → Aさん(A党が多数派)
* 参議院の投票 → Bさん(B党が多数派)
さあ大変です。衆議院は「Aさん」、参議院は「Bさん」と、指名が割れてしまいました。このままでは総理大臣が決まりません。しかし、この「もしも」の時のための「特別ルール」が、日本国憲法にしっかり書いてあります。
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憲法第67条には、こう書かれています。
(要約)
衆議院と参議院が、違う人を総理大臣に指名した場合、「衆議院の議決(決定)を国会の議決とする」これは「衆議院の優越(しゅうぎいんのゆうえつ)」と呼ばれる、日本国憲法の非常に重要なルールの一つです。
なぜ、参議院より「衆議院」の決定が優先されるのでしょうか?
それには、2つの理由があります。
「ねじれ国会」とは、衆議院では与党が過半数を占めて内閣を組織しているにもかかわらず、参議院ではその与党が過半数を割り込んでいる状態を指します。発生する最大の原因は、衆議院と参議院の選挙が異なるタイミングで行われるという選挙制度そのものにあり、特に政権「中間テスト」と化しやすい参議院選挙で、政権への批判票が集まりやすいために生じやすい構造になっています。
任期が短い(最長4年)ということは、それだけ頻繁に「国民の審判」を受けるということです。このため、衆議院は「民意を代表する議院」として、参議院よりも強い権限が与えられているのです。
つまり、「総理大臣を選ぶ投票は、衆議院と参議院の両方で行う。しかし、もし意見が割れたら、絶対に『衆議院が選んだ人』が勝つ」というルールになっています。
これが、私たちが「参議院選挙」よりも「衆議院選挙(総選挙)」のほうを「政権選択選挙」と呼んで、熱狂する理由です。総理大臣のクビを(間接的に)決められるのは、衆議院選挙だけなのです。
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