「自分の政策を書いたビラを一人でも多くの人に手渡したい」
立候補を決意した方なら、誰もがそう思うはずです。
しかし、選挙期間中(告示・公示日の翌日以降)において、この「ビラを配る」という行為には、公職選挙法によるがんじがらめの規制がかかります。
・駅前で通行人に配っていいの?
・家のポストに入れていいの?
・新聞折込はできるの?
もし、これらのルールの境界線が曖昧なまま選挙戦に突入すると、最悪の場合、公職選挙法違反で警告を受けたり、ライバル陣営に通報されたりするリスクがあります。一方で、2019年の法改正により、これまで禁止されていた町村議会議員選挙でもビラの配布が可能になるなど、活用の幅は広がっています。
今回は、新人候補者が絶対に知っておくべき「選挙運動用ビラ(通称:証紙ビラ)」の基礎知識と、違反を防ぎながら票を獲得するための配布戦略を解説します。
政治家のビラには大きく分けて2種類あります。ここを混同するととても危険なのでご注意が必要です。
1、政治活動用ビラ(討議資料など)
選挙期間前に配るもので、配布方法の自由度は高いが選挙期間中は配布禁止。
2、選挙運動用ビラ(証紙ビラ)
選挙期間中に配るもので、内容は自由だが配布方法と枚数に厳しい制限がある。
今回解説するのは、後者の「選挙運動用ビラ」です。
「証紙」がないとただの紙切れ
このビラが「選挙運動用」として認められるためには、選挙管理委員会から交付される「証紙(シール)」を、一枚一枚に貼付する必要があります。証紙が貼っていないビラを選挙期間中に配ることはできません。
枚数の制限
選挙の種類によって、配布できる枚数の上限が決まっています。
●衆議院・参議院: 7万枚〜
●都道府県知事: 10万枚〜
●市長(政令指定都市): 7万枚
●市長(指定都市以外)・区長: 1万6,000枚
●都道府県議会: 1万6,000枚
●市議会・区議会: 4,000枚
●町村長・町村議会: 法律および条例の定めによる(例:町村議会は1,600枚など ※要確認)
特に市議会・町村議会の枚数は、有権者数に対して決して多くないため「誰にどう届けるか」の戦略が重要になります。
かつて、町村議会議員選挙には選挙ビラの制度がありませんでした。しかし、2019年(平成31年)の公職選挙法改正により、町村議会議員選挙においてもビラの配布が可能になりました(※自治体が条例を制定している必要があります)。
これは地方の選挙戦において革命的な変化です。
これまで「顔見知りへの挨拶」だけで決まっていた票に、「政策」という判断材料が加わることになります。
【ここにチャンスがある】
町村部ではまだ「選挙ビラ」の文化が根付いていない地域も多く、他陣営が準備不足であるケースも散見されます。いち早くクオリティの高いビラを作成し、新聞折込などで全戸に届けることができれば、新人候補であっても知名度を一気に逆転できる可能性があります。
証紙ビラは「作って終わり」ではなく、配り方を間違えると即アウトとなってしまいます。以下に、基本的なOKやNGの事例を挙げますが、詳細は必ず地元の選挙管理委員会に確認してください。
公職選挙法では、以下の4つの方法でのみ配布が認められています。
1、新聞折込
最も効率的に地域に撒く方法です。ただし、証紙貼りなどの準備期間が必要なため、告示日よりかなり前に印刷・準備を終えておく必要があります。
2、選挙事務所内
事務所に置いておき訪れた人に渡すことは可能です。
3、個人演説会の会場
演説会の会場内(建物内)での配布は認められています。
4、街頭演説の場所
ここがポイントです。「街頭演説をしている場所」であれば、通行人に手渡すことができます。
ここを絶対に間違えないでください。政治活動期間中(選挙前)はOKでも、選挙期間中はNGになる行為が多数あるのでご注意が必要です。
●ポスティング(郵便受けへの投函)
これが最大の落とし穴で選挙期間中は、新聞折込以外の方法で各家庭のポストにビラを入れることはできません。
●戸別訪問での配布
一軒一軒インターホンを押し、「よろしくお願いします」とビラを渡す行為は、戸別訪問の禁止(公選法138条)にも抵触する重篤な違反です。
●動いている選挙カーからの配布
車の上からバラ撒いたり窓から手渡したりすることはできません。
●個別の郵送
法定の「選挙公報」や「公選ハガキ」以外で、このビラを封筒に入れて郵送することはできません。
それでは、実務的なお話をしていきましょう。
選挙ポスター掲示場にポスターを貼るのも大変ですが、実は陣営スタッフを最も疲弊させるのが、この「証紙貼り作業」です。例えば市議選で4,000枚。
この4,000枚すべてに、選挙管理委員会から受け取った切手サイズの「証紙シール」を、人の手で一枚一枚貼らなければなりません。(※新聞折込業者によっては、証紙が貼っていないと受け付けてくれない場合がほとんどです)
告示日(立候補届出日)の朝、立候補の手続きが完了して初めて証紙が手渡されます。そこからスタッフ総出で、演説の合間や夜なべをしてシールを貼り続けるというのが選挙事務所のリアルな光景です。
●人員確保
初日の午前中にシール貼り要員を確保しておく。
●デザインの工夫
ビラのデザイン段階で「証紙を貼るスペース(四角い枠)」を設けておくと、作業効率が格段に上がり、見た目も綺麗になります。
多くの自治体では、選挙運動の機会均等を図るため、選挙ビラの作成費用を税金で負担する「公費負担制度(選挙公営)」を導入しています。一定の得票数(供託金没収点)を超えれば、条例で定められた単価・枚数の範囲内で、印刷代や作成費が公費で賄われます。
つまり、候補者の自己負担ゼロ(または最小限)でビラを作れるのです。
●注意点1:
自治体によって上限単価が異なります。
●注意点2:
「公費負担の申請書類」や「契約書」など、煩雑な事務手続きが必要です。また、ポスターやビラの制作業者も、その自治体に事前に業者登録をしている必要があります。
「手続きが面倒だから自費でいいや」と考えるのはもったいないです。使える権利は使い、浮いた資金を選挙カーのガソリン代やスタッフの弁当代に回すべきです。
枚数も配布方法も限られている証紙ビラ。だからこそ、受け取った一枚のインパクトが勝負を決めます。「文字だらけの公約」や「顔写真が暗いビラ」では、有権者は読んでくれません。
1、キャッチコピーは「自分」ではなく「地域」を主語に
「頑張ります!」ではなく、「〇〇地区の渋滞を解消します!」と書く。
2、写真は「奇跡の一枚」を使う
プロのカメラマンが撮影した、信頼感と親しみやすさのある写真を使用する。
3、スマホへの誘導
ビラだけでは語りきれない詳細政策は、QRコードでWebサイトや動画へ誘導する。ここでも「地上戦×ネット選挙」の連携が効いてきます。
4、証紙スペースのデザイン
前述の通り、シールを貼る場所をデザインに組み込み、違和感のない仕上がりにする。
選挙運動用ビラ(証紙ビラ)は、最強の武器であると同時に扱いを間違えれば自分を傷つける諸刃の剣です。
● 配布OK/NGの境界線をスタッフ全員で共有する。
● 証紙貼りの人員とスケジュールを確保する。
● 公費負担制度を賢く利用する。
● そして、有権者の心に刺さるプロのデザインを用意する。
これらが揃って初めて、ビラは「票」に変わります。当選・再選へGO!では、公職選挙法の規定をクリアしたサイズ・仕様でのビラ制作はもちろん、各自治体の公費負担申請に対応した書類作成のサポートも行っております。また、「証紙を貼る位置」まで計算された実戦的なデザインや、新聞折込の手配までトータルでご相談いただけます。
「初めての選挙でルールが不安」
「公費負担の手続きがよく分からない」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。ルールを守り、正々堂々と政策を届けるための「勝てるビラ」を一緒に作りましょう。
▼無料相談は弊社サイトから、お気軽にお問い合わせください!
【無料配布】誰でも容易に使える「ショート動画攻略マニュアル」※資料ダウンロード
【無料配布】誰でも容易に使える「ショート動画攻略マニュアル」※資料ダウンロード
{% module_block module...