「投稿しているのに、なかなか見てもらえない」——選挙のSNS運用で最初にぶつかるのが、この壁です。
発信の量を増やすことも大切ですが、それ以上に重要なのは「何を発信するか」です。コンテンツの内容次第で、同じ手間でも再生数が10倍・100倍変わることがあります。本記事では、政治活動期と選挙運動期間のそれぞれで「ビューが伸びやすいコンテンツ」を、当社の現場経験をもとに具体的に公開します。
告示後の7日間は、コンテンツの「熱量」が視聴者に伝わりやすい時期です。候補者が全力で動いている姿をリアルタイムで発信することで、見た人が「今、この人は本気だ」と感じてくれます。
動きのある映像はアルゴリズムに好まれ、視聴完了率が上がりやすくなります。街頭を駆け抜けるシーン、自転車で地域を回る場面は、熱量と親しみやすさが同時に伝わります。静止した演説の映像より、体を動かしているシーンの方が圧倒的に再生が伸びる傾向があります。
「この候補者は本気だ」という共感を生みます。天候が悪いほど逆説的に力強いメッセージになり、「悪条件でも止まらない」という印象が有権者に刺さります。晴れた日の活動より、雨の日の動画の方が回ることも多いです。※いかにもわざとらしい演出は逆効果に繋がることもあるので注意が必要です。
候補者本人が話すだけでなく、支援者や有権者の方々に一言コメントをもらうコンテンツは拡散されやすいです。「自分が映っている」動画は、その人の友人・知人が見てくれます。出陣式や集会など、人が集まる日がこのコンテンツを撮りためる最大のチャンスです。1人20〜30秒でよいので、できるだけ多くの方に登場してもらいましょう。
告示前の政治活動期は、選挙運動はできませんが「政治活動」として発信を続けることができます。この時期は、候補者の人柄や地域への愛着を伝えることが目的です。無理に「政策」を語ろうとするより、日常の延長線上で自然に発信する方が、フォロワーとの信頼関係が育ちます。
その地域でしか買えないもの、地元の人が誇りに思っているものを候補者が紹介する動画は、地域の方に喜ばれやすいです。「自分たちの町のことをちゃんと知っている」という安心感につながり、シェアも生まれやすくなります。
候補者が地域の飲食店や観光スポットを訪れて、素直な感想を話す動画はよく回ります。お店側にとっても紹介してもらえるのはうれしいことであり、そのお店の常連客や関係者にも動画が届きます。「有名な候補者が来てくれた」という話題性も加わり、自然なシェアが生まれます。
演説や政策の話より、候補者が笑っている場面、地域の子どもと話しているシーン、地元の農家や商店主と談笑している様子の方が、フォロワーには親しみやすく受け取られます。「この人はどんな人なのか」が伝わるコンテンツが、長い目で見て最も強い素材になります。
SNSで見落とされがちなのが、ハッシュタグの使い方です。投稿内容がよくても、タグが適切でないと検索からのリーチが伸びません。特に効果的なのが「記念日・特別な日」のハッシュタグです。
たとえば、こどもの日・母の日・父の日・敬老の日・七五三・クリスマス・お正月——こうした誰もが知る記念日に関連したハッシュタグを入れるだけで、その日に検索している人の目に触れる機会が増えます。投稿のテーマが記念日と直接関係なくても、「今日は〇〇の日です」という一言を添えてタグを入れることで、リーチが広がります。
地域の祭りやイベントのタグも有効です。「〇〇まつり」「〇〇市」「〇〇町」といった地域名のタグを入れておくと、その地域に関心を持つ人に届きやすくなります。
ハッシュタグは10〜15個程度を目安に、投稿内容に関連するものと記念日・地域タグをバランスよく組み合わせることをおすすめします。
どれだけ良い内容でも、冒頭で離脱されてしまえば意味がありません。TikTokやInstagramのリールでは、視聴者が最初の3秒で「続きを見るかどうか」を判断します。
冒頭に入れると効果的なのは、動きのあるシーン・驚きや笑いの一言・視聴者への問いかけです。「実は〇〇なんです」「知ってましたか?」「今日は〇〇に来ています」といった入り方が、続きを見たくなる引きになります。
その後は、無駄なシーンをカットしてテンポよく編集することが大切です。「もったいない」と感じるシーンでも、全体のリズムを優先して削る判断が必要です。視聴者が最後まで見てくれた動画はアルゴリズムに評価され、次の投稿も届きやすくなります。
動画を投稿して終わりにしないことが、SNS運用で最も大切なポイントです。投稿後はコメントへの返信を必ず行ってください。「見てくれている」という姿勢が伝わると、次もコメントしてくれる方が増えます。コメント数が多い投稿はアルゴリズムに好まれ、さらに多くの人に届くようになります。
保存(ブックマーク)を促す一言を入れることも有効です。「あとで見返せるよう保存しておいてください」という言葉を添えるだけで、保存率が変わります。保存はアルゴリズム上で最も高評価のシグナルの一つとされています。
どの動画にも共通して末尾に入れておくと効果的なのが、フォローや登録を促す一言です。「最後までご覧いただきありがとうございます。よければ、いいね・フォロー・チャンネル登録をよろしくお願いします」
この一言を毎回入れることで、初めて見てくれた方がそのままフォロワーになる確率が上がります。慣れてきたら候補者本人の言葉で、自然な形で伝えてもらうのが理想的です。視聴者に「次も見たい」と思ってもらうためのアクションを、毎回促し続けることが大切です。
「SNSは動画の時代」とよく言われますが、スチール写真(静止画)が不要というわけではありません。むしろ、動画と写真を上手に組み合わせることで、SNSの投稿にリズムが生まれ、フォロワーが飽きにくくなります。
現在のInstagramやTikTokのアルゴリズムは、動画(リール・ショート動画)を優遇する傾向にあります。同じ内容でも、写真よりリールで投稿した方がリーチが広がりやすいというデータが多く報告されており、できれば動画を主軸に据えることをおすすめします。
ただし、写真にしかできないことも確かにあります。候補者のベストショット、地域の美しい風景、演説会場の熱気を切り取った一枚、支援者との笑顔の記念写真——こうしたカットは、動画では伝えにくい「静の力」を持っています。文字テロップや情報を添えたデザイン画像として投稿することで、フォロワーが保存してくれることも多くあります。
一つの目安として、投稿全体の7〜8割を動画、2〜3割をスチール写真で構成するバランスが、運用のしやすさと効果のバランスが取れているといえるでしょう。毎日動画を出すのが理想ですが、撮影素材が足りない日や編集が間に合わない日には、写真投稿で「発信の継続」を保つという使い方も有効です。発信を止めることが最もリスクが高いため、動画にこだわりすぎて投稿が止まるくらいなら、写真でつなぐ判断も大切です。
また、写真と動画を組み合わせたカルーセル投稿(複数枚スライド)も、Instagramでは滞在時間が長くなる傾向があり、アルゴリズムに評価されやすい形式の一つです。演説会の様子を写真で複数枚見せる、地域を訪問したときのオフショットをまとめてシェアする——こういった使い方で、1回の投稿から得られる情報量を増やすことができます。
YouTubeチャンネルの登録者数を地道な投稿だけで増やすのは、今の時代、非常に難しくなっています。アルゴリズムは既存の登録者が多いチャンネルに有利に働くため、ゼロに近い状態からオーガニックだけで伸ばそうとすると、数百本の動画を積み上げても数百人にしか届かないということが起きます。
現実的な解決策はYouTube広告(Google広告)の活用です。チャンネル登録を促す専用の動画広告を配信することで、短期間で登録者を一定数まで積み上げることができます。バナー(静止画)ではチャンネル登録にはつながらず、動画広告一択です。広告専用の30〜60秒の動画を1本作り、冒頭5秒で候補者本人がカメラに向かって語りかける形が最も効果的です。YouTubeの広告は5秒後にスキップできるため、そこで引き止めることが勝負になります。
ターゲットは選挙区内に絞り、投票率が高い30代以上を中心に設定します。予算は1日3,000〜5,000円からスタートして効果を見ながら調整するのが現実的です。
なお、YouTubeで政治・選挙に関する広告を出すには、Googleの「選挙広告主の確認」申請が必要です。審査に数週間かかることがあるため、選挙が近い場合は早急に申請を開始してください。詳しい手順と設定方法については、別記事「YouTube広告で政治チャンネルを伸ばす方法」で解説しています。
SNSのビューを伸ばすために特別な機材や高度な技術は必要ありません。「誰が、何を、どのタイミングで発信するか」を意識するだけで、再生数は大きく変わります。
政治活動期は地域への愛着と人柄を伝えることに集中し、選挙期間中は候補者の熱量をリアルタイムで届けることに全力を注ぐ——この二段構えが、選挙SNSを効果的に機能させる基本的な考え方です。
当社では、コンテンツの企画から動画編集・運用サポートまで、選挙・政治活動のSNS支援を行っています。「何を発信すればいいかわからない」という段階からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。