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都議会議員・県議会議員選挙に立候補するためにかかる費用はどのくらい?

作成者: Admin|2025/11/26

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はじめに

「政治にはお金がかかる」。
これは、私たちがニュースや新聞を通じて長年耳にしてきた言葉です。特に選挙となれば、ポスター、選挙カー、事務所、スタッフなど莫大な費用がかかるイメージがあるかもしれません。

しかし、その一方で「志」さえあれば、誰でも立候補できるのが民主主義の原則です。では、私たちの生活に最も身近な「都議会議員」や「県議会議員」といった地方議会議員になるためには、現実的に「いくら」必要なのでしょうか。

この記事では、「政治家を志す」第一歩として、都議・県議選に立候補するために最低限必要な費用から、実際に選挙戦を戦い抜くために想定される「リアルな出費」まで、その内訳を徹底的に解説します。

・自分でも立候補できるだろうか
・なぜ政治家はお金を集める必要があるのか

この記事を読み終える頃には、その疑問の答えと選挙の「お金」に関する仕組みが明確になっているはずです。

第1章:立候補の「入場料」供託金

選挙に立候補するために、まず法的に「必須」となる費用が「供託金」です。

供託金とは?

供託金とは、立候補の届出の際に、法務局に預けなければならない「保証金」のようなものです。なぜこのような制度があるのでしょうか?その目的は、「売名目的や、当選する意思のない無責任な立候補(泡沫候補)を防ぐこと」とされています。

もし供託金がゼロ円なら、「目立ちたい」という理由だけで誰もが立候補し、選挙公報やポスター掲示板が膨大な数になり、有権者が本当に政策を比較検討するのが困難になるという考えに基づいています。

都議・県議選の供託金額

この供託金額は、選挙の種類によって厳格に定められています。
都議会議員選挙および県議会議員選挙の供託金額は、「60万円」です。

これは、衆議院議員選挙(小選挙区)の300万円や知事選挙の300万円と比べると低額ですがそれでも個人の「決意」を問うには十分な金額と言えます。

供託金は「没収」されるのか?

「預ける」という言葉の通り、この60万円は選挙で一定以上の票を獲得すれば全額返還されます。しかし、一定の得票数に達しなかった場合、この60万円は「没収」され、国や都道府県の収入となります。では、その「没収」の境界線(没収点)はどこにあるのでしょうか。

没収点 = (その選挙区の有効投票総数 ÷ 議員定数) × 10分の1

非常に複雑な計算式に見えますが、簡単に言えば「当選ラインの10分の1」ほどの得票数です。例えば、定数5の選挙区で、当選する人の平均得票数が2万票だった場合、その10分の1である「2,000票」がボーダーラインの目安となります。(※あくまで目安です)

本気で選挙戦を戦い、有権者に真摯に訴えかければこの没収点を下回ることは稀です。しかし、この「60万円」という現金を立候補届出の時点で用意しなければスタートラインにすら立てないというのが第一の現実です。
【最低限必要な費用:供託金 60万円】

第2章:選挙運動の「2つのフェーズ」と費用

「供託金60万円さえあれば選挙ができる」というのは残念ながら間違いです。むしろ本当にお金がかかるのは、ここからです。選挙にかかる費用は、公職選挙法によって、「政治活動」と「選挙運動」という2つのフェーズに明確に分けられており、それぞれで「できること」と「かかる費用」が全く異なります。

フェーズ1:政治活動(公示(告示)日の前日まで)

期間:立候補を決意した時(例:4年前)から、選挙の公示(告示)日の前日まで。
目的:自身の政治理念や政策を広め、名前と顔を覚えてもらう(知名度アップ)活動。

できること:
後援会活動、政治資金パーティー、機関紙(ビラとは異なる)の配布、街頭での政策演説、SNSでの発信。

禁止されていること:
「私に投票してください」という直接的な投票依頼(=「事前運動」となり違法)。

この「政治活動」の期間こそが、実は最もお金がかかる「本番」とも言えます。当選する候補者の多くは、選挙の数年前から政治活動用の「事務所」を構え、スタッフを(有給・無給問わず)雇い定期的に活動報告のビラ(政治活動用ビラ)を作成・ポスティングしています。都議・県議クラスであれば、この平時の活動費として年間数百万円を支出しているケースも珍しくありません。

フェーズ2:選挙運動(公示日~投票日前日)

期間:公示(告示)日から投票日の前日までの短期間(都議選・県議選は通常9日間)。
目的:当選を目的として、有権者に「投票してください」と直接訴えかける活動。

できること:
選挙カーでの連呼、選挙ポスターの掲示、選挙運動用ビラの配布、個人演説会、SNSでの投票依頼。

禁止されていること:
有権者への買収(金品提供)、戸別訪問での投票依頼など。世間一般で「選挙」とイメージされるのは、この9日間の「選挙運動」です。この記事では、主にこの9日間の「選挙運動」で、候補者が直接的に支出する費用について焦点を当てて解説します。

 

第3章:「選挙運動(9日間)」で絶対にかかる費用

供託金とは別に、9日間の選挙運動を「最低限」行うためにも、様々な実費が発生します。これらは、後述する「公費負担」の対象になるものも含まれますが、多くの場合、一度は候補者が立て替え払い(あるいは支払い契約)をする必要があります。

1. 事務所(選挙事務所)関連費

内容

選挙運動の「司令塔」となる事務所の費用です。

内訳

事務所賃料:
短期で借りるため、割高になることも。自宅を選挙事務所として兼用する場合もあります。

設備費:
電話(複数回線)、FAX(必須)、コピー機(リース)、PC、机、椅子、ホワイトボード。

通信費・光熱費:
9日間とはいえ、スタッフが昼夜問わず活動するため、電話代・電気代はかさみます。

雑費:
文房具、お茶やコーヒー代、来客用のお菓子代。

2. 人件費(スタッフ・ウグイス嬢)

内容

選挙運動を手伝うスタッフへの報酬。

内訳

有給スタッフ:
公職選挙法では、報酬を支払うことができるスタッフ(選挙運動員)の数や日当の上限(例:ウグイス嬢は日当1万5千円まで)が定められています。

ウグイス嬢(車上運動員):
選挙カーで候補者名や政策を訴える専門スタッフ。9日間の拘束となるため、専門のアナウンス業者に依頼するのが一般的です。

ボランティア:
報酬は支払えませんが「お弁当(食事)」の提供は法律で認められています(※1食1,000円以内、1日3食以内など厳格な規定あり)。

3. 印刷物・製作物費

内容

有権者に政策や顔を覚えてもらうための「モノ」の費用。

内訳

選挙ポスター:
選挙区内の全ての「公営掲示板」に貼るポスターの印刷代。数百~数千枚単位での印刷が必要です。

選挙運動用ビラ:
有権者に配布できるビラの印刷代(※都議・県議選では1万6千枚まで、など枚数制限あり)。

選挙運動用ハガキ:
有権者宛に郵送できるハガキの印刷代(※都議・県議選では4千枚まで)。

候補者タスキ(本人タスキ):
候補者本人が身につける「たすき」の製作費。

スタッフ用ジャンパー(ハッピ):
陣営の一体感を出すためのユニフォーム代。

名刺(選挙運動用):
9日間に配布する名刺の印刷代。

4. 選挙カー関連費

内容:

選挙カー(選挙運動用自動車)の運用費。

内訳:

車両レンタル代:
乗用車やワゴン車を9日間レンタルする費用。

看板・装飾代:
車に候補者の名前やキャッチフレーズをラッピング(装飾)する費用。

音響(PA)設備代:
スピーカー、マイク、アンプのレンタル費用。

ガソリン代:
9日間、選挙区内をくまなく走り回るための燃料費。

運転手の報酬:
選挙カーの運転手(専門職)への報酬
(※人件費とは別枠で認められる)。

 

第4章:選挙費用の「救世主」公費負担制度

第3章で挙げた費用を見て、「やはり数百万円かかるじゃないか」と愕然としたかもしれません。しかし、日本の選挙制度には、こうした候補者の負担を軽減し「お金がなくても志があれば立候補できるようにする」ための非常に重要なセーフティネットが存在します。

それが「公費負担(選挙公営)」制度です。

これは、選挙運動にかかる費用のうち法律で定められた一定の項目(と上限額)を、国や自治体が「公費(税金)」で負担(肩代わり)してくれる制度です。

公費負担の対象となる主な項目(都議・県議選)

1.選挙運動用自動車(選挙カー)

レンタル料、ガソリン代、運転手の報酬(日当)が、一定の上限額まで公費で支払われます。

2.選挙ポスター

公営掲示板に貼るポスターの「印刷費」および「制作費」が、一定の上限単価・枚数まで公費で負担されます。

3.選挙運動用ビラ

法律で認められた枚数(例:1万6千枚)までの「印刷費」が公費で負担されます。

公費負担の「落とし穴」”

この夢のような制度にも、知っておくべき「落とし穴(注意点)」が3つあります。

注意点①:供託金を没収されると「対象外」

もし、選挙の結果、得票数が少なすぎて「供託金を没収された」場合、この公費負担制度は一切利用できません。つまり、選挙カー代もポスター代もビラ代も、すべて「候補者本人の全額自己負担」となります。これが、選挙で惨敗した際の最も恐ろしいリスクです。

注意点②:原則として「立て替え払い」

自治体(選挙管理委員会)が、印刷業者やレンタカー会社に直接費用を支払う「契約方式」が一般的ですが、場合によっては候補者が一度「立て替え払い」をし、選挙後に「請求(還付)」するケースもあります。いずれにせよ、選挙前に業者と「公費負担を見越した契約」を結ぶ必要があり、ある程度の「信用」や「手付金」が求められる場合があります。

注意点③:上限を超えた分は「自己負担」

公費負担には厳格な「上限額」があり、「ポスターは最高級の紙を使いたい」「選挙カーは大型バスを改造したい」といった上限額を超える贅沢な支出は、すべて候補者の自己負担(持ち出し)となります。

 

第5章:結論 結局いくら用意すればいいのか?

では、結論として、都議・県議選に立候補するために、いくら「現金」として用意しておくべきなのでしょうか。これは「どこまで本気で勝ちに行くか」によって青天井に変わってしまいますが、「供託金没収ラインは確実に超える」前提で、最低限の選挙運動を行うための「リアルな初期費用」を試算してみます。

【試算】立候補に必要な「最低限の初期費用」

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1.供託金(必須)

600,000円(※没収されなければ全額戻ってきますが、預ける現金は必須)

2.選挙事務所関連費(最低限)

事務所を自宅兼用にし、備品もリースや中古で揃えるとしても、通信費や雑費で 100,000円 程度は必要。

3.人件費(ボランティア中心)

ウグイス嬢や運転手を専門家に頼まず、友人・知人(ボランティア)で固め、食事(お弁当)代だけで賄うとしても、9日間×数人分で 100,000円 程度。

4.印刷物・製作物費(公費負担対象外)

公費負担の対象にならない「本人タスキ」「スタッフジャンパー」「選挙運動用名刺」などの作成費で、最低でも 150,000円。

5.公費負担の「立て替え」または「手付金」

ポスター、ビラ、選挙カーの費用は、公費負担が適用される前提でも、契約時に「手付金」や「一時的な立て替え」を求められる可能性があります。ゼロ円でスタートできることは稀です。
(このための「バッファ(予備費)」として 300,000円~)

【最低限の試算合計】

60万 + 10万 + 10万 + 15万 + 30万 = 約 125万円

これは、あくまで「ボランティアに恵まれ」「事務所も最小限」という、ギリギリの試算です。実際には、選挙カーの装飾費や、公費負担の上限を超えたポスター代(デザイン費)、選挙ハガキの郵送費(※公費負担の対象外)など、細かな出費が重なります。

多くの現職議員や政治ジャーナリストは、「供託金(60万)とは別に、最低でも100万~200万円。本気で勝ちに行くなら300万円~500万円の『選挙運動費用(持ち出し分)』は必要になる」
と指摘しています。

 

まとめ

都議会議員・県議会議員選挙に立候補するには、最低でも「60万円」の供託金が必要です。さらに、9日間の選挙運動を戦い抜くための「実費」として、「100万円~300万円」程度の資金が(一時的にでも)必要になるのが現実です。

「公費負担制度」という素晴らしい仕組みがあるおかげで、最終的な自己負担額は(当選ラインを超えれば)大幅に圧縮されますが、「初期費用(イニシャルコスト)」がゼロでは戦えないというハードルは依然として存在します。そして何より、本当の「費用」は、その9日間のためではなく、そこに至るまでの4年間の「政治活動」にかかる費用(事務所維持費、ビラ作成費、人件費)にあります。

選挙とは、その4年間の活動の「集大成」であり「最後の9日間のイベント」に過ぎないのです。「政治にはお金がかかる」のではなく「政治家として活動を継続し、有権者に認知してもらうまでには時間もお金もかかる」。

これが選挙費用の本質と言えるでしょう。

 

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