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選挙が近づくと、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSは、候補者の情報や政策に関する議論で溢れかえります。2013年の「ネット選挙運動」解禁以降、SNSは私たち有権者にとっても、候補者にとっても、欠かすことのできない「選挙の主戦場」となりました。
「この候補者を応援したい!」
「この政策は素晴らしい!」
そう思ったとき、私たちは自然に「いいね」を押し、リツイート(リポスト)し、自分の意見を投稿します。しかし、その一方で、こんな不安が頭をよぎりませんか?
「SNSで政治的な投稿をしたら、法律違反で捕まるのでは?」
「『政治活動禁止』って聞いたことがあるけど、何がダメなの?」
「うっかりリツイートしただけで、逮捕されたりしない?」
この「よくわからない恐怖」が、私たち有権者の正当な政治参加の声を萎縮させてしまっているとしたら、それは民主主義にとって大きな損失です。この記事では、選挙ブログを運営する私たちだからこそお伝えしたい、その不安の正体、すなわち「SNSにおける『政治活動禁止』とは、一体“誰”の“どんな行為”を指すのか」という、極めて重要な「境界線」について徹底的に解説します。
結論から言えば、18歳以上の一般有権者であれば、SNSで特定の候補者を応援する投稿をしても、ほとんどの場合は合法です。しかし、そこにはいくつかの重大な「落とし穴」が存在します。この記事を読めば、あなたが恐れるべき本当のリスクと、堂々と政治参加するために守るべきルールが明確になるはずです。
まず、大前提として押さえなければならないのは、「ネット選挙運動」は2013年に解禁され、合法化されたという事実です。
信じられないかもしれませんが、2013年以前の日本では、インターネット(ホームページ、ブログ、SNS、Eメールなど)を使った「選挙運動」は、公職選挙法(以下、公選法)で原則として禁止されていました。選挙運動の手段は、街頭演説、ポスター、ビラ、選挙カーといった「昔ながらの(オフラインの)」方法に限定されていたのです。
これは、インターネットが普及し始めた時代に、「お金のある候補者だけがネットで有利になる(選挙の格差が広がる)」「ネットでは誹謗中傷が横行し、選挙の公正が保てない」といった懸念から作られた古いルールでした。
しかし、SNSが社会のインフラとなる中で、「最も民意が反映される場所での選挙活動を禁じるのはおかしい」という声が高まり、ついに2013年、公選法が改正されました。
この法改正により、候補者・政党、そして、私たち一般の有権者(有権者=18歳以上)の誰もが、「選挙運動期間中(公示・告示日~投票日の前日まで)」に、インターネットを使った選挙運動を行うことが可能になりました。
ここで言う「選挙運動」とは、「特定の選挙」で「特定の候補者(政党)」に「当選(または落選)させること」を目的とした行為を指します。つまり、あなたが18歳以上の有権者であれば、
「〇〇選挙では、A候補を応援します!皆さん、Aさんに投票しましょう!」
「B党のこの政策は素晴らしい!B党に投票しよう!」
と、自分のX(旧Twitter)やInstagramの公開タイムラインに投稿する行為は、完全に「合法」であり、なんら罰せられることはありません。これが、ネット選挙戦略を語る上での大前提です。
では、なぜ「政治活動禁止」という言葉が、これほどまでに私たちを不安にさせるのでしょうか。それは、公選法が「すべての人」のネット活動を解禁したわけではなく、明確に「禁止」されている人々や行為が存在するからです。
「政治活動禁止」という言葉は、主に以下の3つの文脈で使われます。
これが、最も広範かつ厳格な「禁止」ルールです。
公選法により、18歳未満の者は、一切の「選挙運動」が禁止されています。(※単なる「政治活動」=政治的意見の表明は可能ですが、その境界は非常に曖昧です)これは、学業を優先すべき未成年者を、選挙という政治的な戦いの場から守る、という教育的配慮が理由とされています。
このルールは、もちろんSNS上でも適用されます。
〇 17歳の高校生が、自分のXアカウントで「A候補を応援します!皆さん投票しましょう!」と投稿する。
→ これは明確な「公選法違反」となります。
〇 17歳の高校生が、「〇〇党の政策が好きだ」と投稿する。
→ 「特定の選挙」での「投票依頼」まで踏み込んでいなければ、「政治活動(意見表明)」の範囲内とされ、セーフの可能性が高いですが、非常にグレーゾーンです。
選挙戦略として、候補者陣営が「若者の支持」を集めようとして、18歳未満の支援者にSNSでの応援を(知ってか知らずか)依頼してしまうケースが散見されますが、これは極めて危険な行為です。
18歳未満の若者自身が、法律違反の当事者になってしまうリスクがあることを、私たち大人が強く認識する必要があります。
詳細な解説は割愛しますが、「政治的中立性」を保つため、特定の国家公務員や地方公務員、選挙管理委員会の委員などは、その地位を利用した政治活動(および選挙運動)が厳しく制限されています。彼らが職務上の影響力を使ってSNSで特定の候補者を応援するようなことがあれば、それは「禁止」に抵触します。
これは、18歳以上の一般有権者を含む、すべての人に適用される、極めて重要な「禁止」ルールです。公選法により、選挙運動は「投票日の前日(23時59分)まで」と定められています。「投票日当日(0時00分~投票所の閉まる時刻まで)」は、いかなる方法であっても、一切の「選挙運動」が禁止されています。
これは、投票日当日に有権者が冷静な判断を下せるよう、過度なアピール合戦を停止させる「沈黙の期間」を設けるためです。
このルールは、もちろんSNSにも適用されます。
■NG行為(投票日当日)
「本日、投票日!最後の最後まで、A候補に一票をお願いします!」とXに投稿する。
候補者の「最終日のお願い」ツイートを、投票日当日にリツイート(リポスト)する。
「〇〇党に投票してきました!」と、投票先を明記してSNSに投稿する。
(※これは「選挙運動」とみなされる可能性が極めて高い危険な行為です)
■OKな行為(投票日当日)
「今日は選挙の日。未来のために、皆さん投票に行きましょう!」
(=投票啓発。特定の候補者名を出さないため選挙運動ではない)
「投票所、空いてました!投票完了!」
(=単なる事実報告)
ネット選挙戦略において、「投票日当日は沈黙する」は鉄則です。この「境界線」を知らないと、悪意なく「うっかり違反」を犯す危険性が非常に高いと言えます。
18歳以上で、投票日前日までなら、SNSで何をしても良いのでしょうか?
答えは「No」です。
2013年の法改正では、解禁されたネット選挙運動に、いくつかの「禁止事項」が明確に定められました。これらは、候補者だけでなく、応援する一般の有権者(支援者)も処罰の対象となるため、選挙戦略に関わるすべての人にとっての「地雷」と言えます。
これが、X(旧Twitter)やInstagram、YouTube、TikTokなどのSNS戦略における最大の「禁止」事項です。公選法では、候補者・政党以外の者(=一般有権者や支援団体)が、選挙運動のために「有料」のインターネット広告を出すことを固く禁止しています。
■NG例
「A候補を応援したい!この応援ツイート(投稿)を、X(インスタ)の『プロモーション(広告)』機能を使って、〇〇区の30代に広く届けよう!」
「B候補を当選させるため、自分でお金を払ってYouTubeに動画広告を出稿しよう」
これらは、明確な公選法違反となります。
なぜなら、「お金のある人(陣営)だけが、ネット広告で選挙を有利に進められる」という、かつてネット選挙が禁止されていた理由(=選挙の格差)そのものを生んでしまうからです。
ネット選挙戦略は、あくまで「オーガニック(無料)」の投稿と、支援者の「善意(無料)の拡散」によって行われるべき、というのが現在の日本のルールです。(※なお、候補者や政党本人も、選挙運動期間中の有料広告は厳しく制限されており、事実上「禁止」に近いです)
これは、SNS戦略において最も「うっかり」やってしまいがちな、最大の落とし穴です。2013年の法改正では、ホームページやSNS(X, Instagram, Facebook, YouTubeなど)の「公開された場」での選挙運動は解禁されました。しかし、「電子メール(Eメール)」を使った選挙運動は、原則として「禁止」が維持されました。
(※候補者・政党が、事前に許可を得た相手に送る「Eメールマガジン」などは例外的にOK)
では、X(旧Twitter)やInstagramの「DM(ダイレクトメッセージ)」、あるいは「LINE」の個人チャットはどうなるのでしょうか?法律に明記はありませんが、これらは「不特定多数に公開されたもの」ではなく、「特定の個人・グループに送られる閉鎖的な通信」であるため、禁止されている「電子メール」と“同類”と見なされる可能性が極めて高いです。
■NG例(一般人)
・応援する候補者Aさんのために、自分のXのフォロワー一人ひとりに、DMで「Aさんに投票お願いします」と送って回る。
・友だちとのLINEグループで、「みんな、B候補に投票してね!」と呼びかける。
■OK例(一般人)
・自分のXの「公開タイムライン」で、「A候補に投票お願いします!」と投稿する。
・自分のInstagramの「フィード(公開)」で、「B候補を応援しています!」と投稿する。
この「公開か、非公開(閉鎖的)か」の境界線は、非常に重要です。
選挙戦略として、「熱心な支援者がDMで草の根運動を」と考えると、その瞬間に公選法違反のリスクを負うことになります。
これは、選挙戦略である以前に、人として、そして「犯罪」として許されない行為です。公選法第235条「虚偽事項公表罪」は、「当選を得させる(または、落選させる)目的をもって、候補者の経歴、行動、身分などに関し、虚偽の事項を公表すること」を重く罰する法律です。
SNSは、この「虚偽(デマ)」が最も拡散しやすいツールです。
■NG例
・「A候補は逮捕歴がある」(事実無根のウソ)
・「B候補は〇〇というカルト宗教の信者だ」(デマ)
・「C候補は、公約で『増税する』と言っている」(言っていないことを捏造)
これらは、選挙の公正を著しく害する「重罪」です。
また、事実無根でなくても、
・「D候補はバカだ、能無しだ」
・「E候補の顔が気に入らない、落選しろ」
といった、政策とは無関係の「人格攻撃」や「誹謗中傷」は、名誉毀損罪(刑法)や、「選挙の自由妨害罪」(公選法第225条)に問われる可能性があります。ネット選挙戦略において、「相手候補のネガティブ・キャンペーン」をSNSで行うことは、自陣営の品位を落とすだけでなく、法的なリスクを抱える「最悪の戦略」の一つであると認識すべきです。
ここまで「禁止」の話を中心に解説してきましたが、戦略的にSNSを運用する上では、この二つの言葉の違いを理解することが極めて重要です。
目的:
一般的な政治的意見の表明、党勢の拡大、政策の啓発。
例:
「消費税は引き下げるべきだ」「〇〇党は、子育て支援に力を入れています」「日本の防衛について考える」
ルール:
原則として、いつでも、誰でも自由。
目的:
特定の選挙で、特定の候補者を当選(落選)させること。
例:
「〇〇選挙は、A候補に投票を!」「B党を勝たせてください!」
ルール:
「選挙運動期間中」のみ可能。18歳未満や投票日当日は禁止。
この2つを、候補者や政党は戦略的に使い分けています。
選挙がない「平時」は、公選法が禁じる「選挙運動」はできません。(例:「次の選挙は私に投票を」と平時に言うのはNG=事前運動の禁止)しかし、「政治活動」は自由にできます。
この時期のSNS戦略は、
「私は〇〇という政策(ビジョン)を持っています」
「私は〇〇という人間(人柄)です」
という2点を、ひたすらフォロワーにインプットし続けることです。
「Aさん=子育て支援の人」「Bさん=地元の祭りに必ず来る人」といった「イメージ(ブランド)」を、平時の「政治活動」としてのSNS投稿(インスタでの活動報告、Xでの政策解説)を通じて構築していきます。特定の選挙名や「投票して」という言葉を使わない、「政治活動」の範囲内での発信が、この時期の戦略のすべてです。
そして、公示・告示日を迎え、「選挙運動期間」のゴングが鳴ると、SNS戦略は一気に「政治活動」モードから「選挙運動」モードに切り替わります。
「〇〇選挙が始まりました!私、A太郎に、あなたの一票を」
「B党に、〇〇(地域)の未来を託してください」
平時に築き上げたフォロワー(=ファン、支持者)に対し、初めて「投票」という直接的な行動を呼びかけるのです。そして、この期間中(かつ投票日以外)であれば、私たち一般有権者も、
「A太郎さんを応援します!投票しよう」
「B党の演説、感動した」
と、「選挙運動」の投稿(リツイート含む)で、候補者と一体となって戦うことが法的に認められています。
「ネット選挙」と「SNS」、「政治活動禁止」という言葉が飛び交う中で、私たちが知るべき「境界線」は、思ったよりシンプルです。あなたが18歳以上の一般有権者であるならば、
SNS(X, Instagramなど)で、特定の候補者を応援する投稿(リツイート含む)をしても、全く問題ありません。
それは、法律で認められたあなたの「権利」です。
ただし、以下の「4つの地雷(禁止事項)」だけは、絶対に踏んではいけません。
1.【人】あなたが「18歳未満」である場合、選挙運動はできません。
2.【時】「投票日当日」は、一切の選挙運動(投票依頼)ができません。
3.【方法】「有料広告」や「DM・LINE」を使った選挙運動はできません。
4.【内容】「ウソ(虚偽)」や「誹謗中傷」を投稿してはいけません。
「政治活動禁止」という言葉の“呪い”に縛られる必要はありません。私たちが政治について語ることを恐れ、萎縮してしまえば、それこそが「政治と金」の問題や、一部の組織票が幅を利かせる古い政治を温存させることにつながります。
SNSは、お金も組織もない個人が、自分の「声」で政治を動かせる、現代最強の武器です。
正しいルール(境界線)を理解し、守るべき一線を守った上で、賢く、そして堂々と、あなたの意見をSNSで発信していきましょう。