などを、できるだけ分かりやすく、そして丁寧にご紹介していきます。ルールを正しく理解すれば、自信を持って街頭に立つことができ、きっと有権者からの信頼にも繋がるはず。さあ、一緒に街頭演説の完全ガイドを学んでいきましょう!
「SNSやネットで情報発信できる時代に、わざわざ街頭に立つ意味ってあるの?」そう思う方もいるかもしれません。でも、街頭演説には、デジタル時代だからこそ、そしていつの時代も変わらない大切な役割があるんです。
街頭演説の一番の魅力は、何と言っても有権者の皆さんと直接顔を合わせて、生の声で語り合えること。画面越しでは伝わりきらない、あなたの熱意や人柄、真剣な眼差しを直接感じてもらうことで、「この人なら信頼できそう」「応援したいな」という気持ちが芽生えるきっかけになります。
握手や会釈、ちょっとした会話から生まれる「顔の見える関係」は、ウェブサイトやパンフレットだけでは築けない、温かい人間的な繋がり。この「リアルな繋がり」こそが、政治家にとって何よりの財産になるのです。
テレビや新聞、ネットニュースでは、どうしても情報が編集されたり、一部だけが切り取られたりしがちです。でも、街頭演説なら、自分の政策や理念を、誰のフィルターも通さずに、自分の言葉で、まっすぐに有権者に届けることができます。
「私がなぜこの政策を実現したいのか」「この地域をどんな未来にしたいのか」——その熱い想いを、自分の声に乗せて語ることで、聞いている人の心を動かし、深い共感を呼ぶことができるでしょう。その場の雰囲気や聴衆の反応に合わせて、話す内容を柔軟に変えられるのも大きな強みです。
街頭演説は、SNSなどのデジタルツールと組み合わせることで、その効果を何倍にも高めることができます。
最近では、アバターを使った「バーチャル街頭演説」なんて新しい試みも生まれています。でも、どんなにデジタルが進んでも、「人が直接語りかける力」はなくなりません。むしろ、リアルな街頭演説とデジタルを上手に組み合わせることが、これからの政治活動の鍵を握っているのです。
街頭演説を行う前に、まずは法律上の基本的な考え方を知っておきましょう
特に大切なのが、「政治活動」と「選挙運動」の違いです。
法律(公職選挙法)で言う「街頭演説」とは、演説する人が特定の場所に立ち止まって、選挙管理委員会からもらう「標旗(ひょうき)」という旗を掲げて行う演説のこと。選挙カーを停めて、その上で行うこともOKです。ポイントは「立ち止まって」行うこと。歩きながら名前を連呼する「流し遊説」とは区別されます。
この二つの言葉、似ているようで法律上の意味は全く違い、できること・できないことが大きく変わってきます。
政治活動: 簡単に言うと、普段行っている政治に関する活動のこと。政策を広めたり、政党の支持を訴えたり、後援会活動をしたり、議会での活動を報告したりすることなどが含まれます。特定の選挙で「私に投票してください!」と直接お願いする行為以外の活動、と考えると分かりやすいかもしれません。
選挙運動: こちらは、特定の選挙で、特定の候補者に当選してもらうために、「投票をお願いします!」と呼びかける活動のこと。この「選挙運動」は、選挙の公示(告示)があってから投票日の前日までの、決められた期間(選挙運動期間)しかできません。この期間外に選挙運動を行うと「事前運動」という違反になってしまうので、絶対に注意が必要です。
街頭演説も、行う時期や話す内容によって、「政治活動」になったり「選挙運動」になったりします。そして、どちらに分類されるかで、使える看板やのぼり旗の種類、ビラの配り方などのルールがガラッと変わるのです。
例えば、選挙期間中でなければ、候補者個人の名前が入ったのぼり旗を街頭演説で使うことは、原則としてできません。これは、「事前運動」とみなされる可能性があるからです。この区別をしっかり理解しないと、うっかり違反してしまうこともあるので、十分気をつけましょう。
ぜこんなに細かいルールがあるのでしょう?
それは、
選挙を公平に!: お金持ちや力のある人だけが有利にならないように。
自由に、でも迷惑なく!: 自由に意見を言えるけど、騒がしすぎたり、ウソを言ったりするのはダメ。
みんなが分かるように!: 有権者が候補者のことをちゃんと知れるように。
クリーンな選挙に!: 買収や誹謗中傷はやめよう。
という考え方に基づいています。この基本を知っておくと、それぞれのルールがなぜあるのか、納得しやすくなりますよ。
さあ、ここからは具体的なルールを見ていきましょう。
「いつ」「どこで」「どうやって」「何を」話せるのか、ポイントを押さえていきましょう。
▼OKな場所
基本的には、駅前、広場、道路など、人が集まる公共の場所で演説できます。選挙カーの上でもOKです。
▼NG・注意が必要な場所
ここが一番複雑かもしれませんが、しっかり押さえましょう!
▼スピーカー(拡声器)
選挙運動期間中は、候補者1人につき1セット使えます。選挙管理委員会(選管)からもらう「表示」を付ける必要があります。
学校や病院の近くでは、音量を絞るのがルールです。
▼のぼり旗・看板・プラカード
<選挙運動期間中>
街頭演説の場所では、候補者の名前や顔写真が入ったのぼり旗は、原則として使えません!(例外もありますが、非常に複雑なので選管への確認が必須です)。
政党名やキャッチフレーズだけのものはOKです。
道路や公共物、許可のない場所に勝手に設置するのはNGです。
<平常時の政治活動>
この時期も、候補者個人の名前や顔写真が入ったのぼり旗やプラカードは、街頭演説では原則NGです。「事前運動」とみなされるからです。
ただし、「本人」と書いた「たすき」やプラカードは一般的に使われています。
政党の活動としてのぼり旗を使う場合は、ルールが少し異なります。
▼ビラ
<選挙運動期間中>
選管からもらう「証紙」というシールを貼ったビラ(証紙ビラ)しか配れません。
配れる場所は、新聞折り込み、事務所の中、個人演説会場の中、そして街頭演説の場所だけ。ポスティングはNGです!
街頭演説の場所で配れるのは、朝8時から夜8時まで。
配れる枚数には上限があります。
<平常時の政治活動>
「政治活動用ビラ」として、証紙なしで自由に配れます。枚数やサイズに制限はなく、ポスティングもOKです。
ただし、選挙運動期間中はこのビラは配れません。
▼選挙カー
選挙運動期間中は、1台使えます。選管からもらう「表示」が必要です。
乗れるのは、候補者、運転手1人、そして腕章をつけたスタッフ4人までです。
▼スタッフ
選挙運動期間中の街頭演説では、候補者と運転手以外に、最大15人のスタッフがお手伝いできます。
スタッフは、選管からもらう「腕章」を必ずつけなければなりません。
▼標旗(ひょうき)
選挙運動期間中の街頭演説では、必ずこの旗を掲げなければなりません。
立候補したときにもらえて、演説中は常に見えるように掲げます。
これが1本しかないため、同時に複数の場所で「街頭演説」はできない、ということになります。
ルールを守ることは、クリーンな政治家としての信頼に繋がります。特に、のぼり旗やビラのルールは時期によって大きく変わるので、何度も確認するくらい慎重になりましょう。
「選挙の時と普段とで、そんなにルールが違うの?」と驚いた方もいるかもしれません。一番大きな違いは、選挙運動期間中は、できることが厳しく制限されるということです。逆に、平常時の政治活動は比較的自由ですが、「事前運動」にならないように注意が必要です。
その違いを、分かりやすく表にまとめてみました。
項目 |
平常時の政治活動としての街頭演説 |
選挙運動期間中の街頭演説 |
目的 |
政策PR、党勢拡大など |
特定の選挙での当選 |
時間制限 |
原則なし(マナーは守って!) |
朝8時~夜8時 |
標旗 |
不要 |
必ず掲示 |
スタッフ |
制限なし、腕章不要 |
最大15名、腕章必須 |
のぼり旗 |
候補者個人の名前・顔写真入りは原則NG |
候補者個人の名前・顔写真入りは原則NG |
ビラ |
政治活動用ビラ(制限緩やか) |
証紙ビラ(制限厳しい) |
投票依頼 |
NG |
OK |
【注意!】 これはあくまで基本的な違いです。選挙の種類や地域によってルールが異なる場合もあるので、必ず自分の地域の選挙管理委員会に確認してください。
「街頭演説をするのに、どこかに許可を取らないといけないの?」これもよくある疑問ですね。答えは、「場合による」です。ケース別に見ていきましょう。
道路(車道や歩道)で演説する場合や、聴衆が集まって交通の邪魔になりそうな場合は、事前にその場所を管轄する警察署に「道路使用許可」を申請する必要があります。
公園、広場、駅前ロータリーなど、特定の施設を使う場合は、その施設の管理者に許可をもらう必要があります。
注意点: 場所によっては、政治活動での使用を認めていなかったり、ルールが厳しかったりすることもあります
街頭演説のたびに選管に届出をする、という決まりは基本的にありません。でも、選挙運動期間中に行う場合は、「標旗」や「腕章」などを選管からもらう必要があります。これが実質的な関わりと言えるでしょう。
交通の邪魔にならず、特定の施設を使わない、ごく小規模な演説(例えば、許可を得た私有地内で行う場合など)であれば、特別な許可が不要な場合もあります。でも、安全のためには、特に道路が関係する場合は、警察に確認するのが一番確実です。
ルールを守るのは大前提。その上で、どうすれば聴衆の心をつかみ、支持を広げられるのでしょうか?成功のための5つのヒントをご紹介します。
行き当たりばったりはNG!成功は準備で決まります。
伝え方一つで、印象は大きく変わります。
話を聞くだけでなく、目で見て分かる情報も大切です。
演説は、一方的に話すだけではありません。
街頭演説は、SNSと組み合わせることで、もっと多くの人に届きます。
これらのポイントを意識して、あなたらしい街頭演説を作り上げてくださいね。
最後に、街頭演説でよく聞かれる疑問にお答えします。
A1: 慌てずに対応しましょう。屋根のある場所(アーケードなど)を選んだり、スピーカーの音量を少し調整したり。ビラが濡れないように袋に入れるなどの工夫も大切です。何より、演説者やスタッフが風邪をひかないように、傘やレインコートを忘れずに。無理そうなら、中止や延期も勇気ある判断です。
A2: とにかく冷静になることが一番です。感情的にならず、基本的には気にせず演説を続けましょう。悪質な場合は、無理せず演説を中断し、スタッフが警察に連絡するなどの対応を。大多数の聞いてくれている人に向けて、しっかりと話し続けることが大切です。
A3: ボランティアさんの力は本当に心強いです。ビラ配り、のぼり旗持ち、写真撮影、SNSでの応援など、お願いできることはたくさんあります。ただし、ボランティアさんにお金を払うのは法律違反(買収)になる可能性があるので絶対NGです(交通費などの実費はOKな場合も)。また、18歳未満の人は選挙運動ができないので注意しましょう。ボランティアさんにも、基本的なルールを知ってもらうことが大切です。
街頭演説の世界、いかがでしたか?ルールは少し複雑に感じるかもしれませんが、それは公平でクリーンな政治活動を守るための大切なものです。
これらのルールをしっかりと理解し、その上で熱意と工夫を込めて語りかければ、街頭演説はあなたの大きな力になるはずです。有権者の皆さんと直接触れ合い、信頼を築き、あなたの想いをまっすぐに届けてください。
法律は変わることもあります。実際に、最近もポスターのルールなどが変わる動きがあります。常に最新の情報をチェックし、分からないことがあれば、迷わず選挙管理委員会や専門家に相談しましょう。
この記事が、あなたの政治活動の一歩を踏み出す、あるいはさらに前進させるためのお手伝いになれば、これほど嬉しいことはありません。