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ネット選挙運動の「いつから」を徹底解説!事前運動と選挙運動の境界線について解説

作成者: Admin|2025/11/05

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はじめに

選挙が近づくと、X(旧Twitter)やInstagram、LINE、YouTubeなど、私たちの日常に溶け込んでいるSNSが、にわかに「政治色」を帯びてきます。

候補者本人や政党が熱心に投稿を繰り返し、それを見た私たち有権者も「この人を応援したい」「この政策は賛成だ」と、いいねやリツイート(リポスト)、シェアをします。2013年(平成25年)に「ネット選挙運動」が解禁されてから10年以上が経過し、インターネットを使った選挙活動は、今や「当たり前」の風景となりました。

しかし、この「当たり前」の裏には、非常に大きな「落とし穴」が潜んでいます。それは、「いったい、いつから選挙運動を始めていいのか?」という、「時間」に関するルールの問題です。

「選挙の公示日(告示日)よりずいぶん前から、SNSで『〇〇選挙に挑戦します!』と見かけるけど、あれはOKなの?」
「応援したい候補者がいるけど、いつから『投票お願いします』と投稿していい?」
「うっかりフライングして、公職選挙法違反になったりしない?」

この不安の核心にあるのが、公職選挙法(こうしょくせんきょほう)で厳しく禁じられている「事前運動(じぜんうんどう)」という概念です。この記事では、選挙ブログを運営する私たちだからこそお伝えしたい、「ネット選挙運動」の「いつから」という疑問を、歴史的な解禁(いつの年からOKになったか)と、選挙ごとの実践(いつの日から始めていいか)という2つの側面から徹底解説します。

そして、違反とみなされる「事前運動」と、合法的な「政治活動」との、極めてあいまいな「境界線」について深く掘り下げていきます。

第1章:「ネット選挙運動」の解禁。歴史的な「いつから」

まず、一つ目の「いつから」です。
そもそも、なぜ「ネット選挙」という言葉がこれほど特別に語られるのでしょうか。それは、ほんの十数年前まで、日本ではインターネットを使った選挙運動は、法律で「全面禁止」されていたからです。

2013年まで「禁止」されていた日本の選挙

信じられないかもしれませんが、2013年(平成25年)4月以前の日本では、公職選挙法において、選挙運動のために「文書図画(ぶんしょとが)」を配ったり掲示したりする行為は、法律で許可されたもの(例:選挙ポスター、選挙運動用ビラ、ハガキ)以外はすべて禁止されていました。

そして、インターネットのホームページやブログ、SNSの投稿も、この「文書図画」の一種と解釈されていたのです。つまり、候補者が自分のブログで「私に投票してください」と書くことさえ、違法とされていました。

この古い規制は、「ネットはお金がかかるため、資金力のある候補者だけが有利になる」「ネットは匿名性が高く、誹謗中傷やデマが横行し、選挙の公正が保てない」といった懸念から作られたものでした。

2013年(平成25年)「ネット選挙運動」の解禁

しかし、SNSが社会のインフラとなり、「国民の主要な情報源であるネット空間でだけ政治の話(選挙運動)ができないのはおかしい」という世論の高まりを受け、2013年4月に公職選挙法が改正されました。

これにより、候補者・政党はもちろん、私たち一般の有権者(18歳以上※)も、インターネット(ホームページ、SNS、ブログ、動画配信など)を使った「選挙運動」が、ついに解禁されたのです。
(※当時は20歳以上。選挙権年齢の引き下げに伴い、現在は18歳以上)

これが、歴史的な「いつから」の答えです。

この解禁により、私たちはSNSで「A候補を応援します!」と堂々と発信できるようになりました。しかし、この解禁は「いつでも、何をしても良い」という自由を与えたわけではありません。むしろ、この解禁と同時に、最も重要な「いつから」(時期)のルールが、より厳格に問われることになったのです。

第2章:最大の「境界線」。「政治活動」と「選挙運動」の違い

ネット選挙の「いつから」を理解する上で、避けては通れない、最も重要かつ難解な「境界線」があります。それが「政治活動(せいじかつどう)」と「選挙運動(せんきょうんどう)」の違いです。この2つは、似ているようで、法律上は「天と地」ほど扱いの違うものです。

「政治活動禁止」という言葉は、主に以下の3つの文脈で使われます。

政治活動 (Political Activity)とは?

●目的:
政治家(候補者)や政党が、自身の政策・理念・主義主張を広く社会に浸透させること。
党勢を拡大すること。

●具体例:
政策(例:「子育て支援を充実させるべきだ」)を発表する。
自身の活動報告(例:「〇〇商店街を視察しました」)をSNSに投稿する。
機関紙やパンフレットを配る。
政治資金パーティーを開催する。

●「いつから」OK?:
原則として、時期の制限なく、いつでも自由に行えます。

選挙運動 (Election Campaign)とは?

●目的:
「特定の選挙」において、
「特定の候補者(または政党)」を、
「当選させること(または落選させること)」を直接の目的として行う、投票の勧誘や働きかけ。

●具体例:
「〇〇区議会議員選挙では、私、〇〇太郎に、あなたの一票をお願いします!」
「A候補を当選させてください!」
「B候補だけは落選させよう!」

●「いつから」OK?:
公職選挙法で定められた「選挙運動期間中」しか、絶対に行うことができません。

「境界線」はどこにあるのか?

この2つの境界線は、非常にあいまいです。
判例や実務上、「選挙運動」とは、以下の3つの要素が揃ったものとされています。

  • 特定の選挙であること(例:〇月〇日の〇〇市長選挙)
  • 特定の候補者であること(例:〇〇太郎さん)
  • 投票を得る(または得させない)ための行為であること(例:「お願いします」「投票して」)

「政治活動」として、平時からSNSで「私は子育て支援を頑張ります!」と投稿するのは、全く問題ありません。しかし、そこに「〇〇市長選で、」という言葉や、「だから私に投票を、」という言葉が加わった瞬間、それは「政治活動」のラインを超え、「選挙運動」へと変質するのです。

そして、この「選挙運動」を、定められた期間“より前”に行うことこそが、ネット選挙最大の落とし穴である「事前運動」なのです。

第3章:「事前運動」とは?最も危険なフライング違反

選挙の「いつから」を語る上で、最大の禁忌(タブー)がこの「事前運動」です。

選挙運動が許される「本当の期間」

では、公職選挙法が唯一「選挙運動」を許可している「選挙運動期間」とは、正確には「いつから」「いつまで」なのでしょうか。

●開始(いつから):
選挙の「公示日(こくじび)」または「告示日(こくじび)」(※)に、候補者が「立候補の届出」を済ませた瞬間から。

●終了(いつまで):
「投票日の前日」の23時59分59秒まで。
(※「公示」は衆議院・参議院の国政選挙や知事選で使われ、「告示」はそれ以外の地方選挙(市区町村長・議員選など)で使われますが、意味は同じ「選挙のスタート日」です)
つまり、ネット(SNS)であっても、「〇〇さんに投票してください」という投稿が許されるのは、この極めて短期間(選挙によりますが7日間~17日間程度)だけなのです。

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「事前運動」の定義とその危険性

事前運動(じぜんうんどう)とは、公職選挙法第129条に違反し、この「選挙運動期間」よりも“前”に(=フライングして)、「選挙運動」を行ってしまうことを指します。これは、公職選挙法で明確に禁止されている、重大な法律違反(犯罪)です。
(※違反した場合、「1年以下の禁錮または30万円以下の罰金」が科され、公民権停止(選挙への立候補禁止)となる可能性もあります)

●なぜ禁止なのか?
もし事前運動を許せば、資金力や知名度に勝る現職や有力候補だけが、選挙のはるか前からフライングスタートで「投票依頼」ができてしまい、新人や無名な候補者との間に圧倒的な「不公平」が生まれてしまうからです。
選挙が際限なくダラダラと過熱し、社会的なコスト(費用や労力)が増大しすぎるのを防ぐためでもあります。

ネット選挙で「うっかり」やりがちな事前運動NGリスト

「選挙運動期間」に入る前に、SNSで以下のような投稿をすると、「事前運動」とみなされ摘発(警告)されるリスクが極めて高いです。

●投票のお願い
「〇月〇日の〇〇市議選に挑戦します!私に一票をお願いします」
最も典型的な事前運動です。「お願い」した瞬間にアウトです。

●プロフィールの記載
X(旧Twitter)やInstagramのプロフィール欄に、「〇〇選挙に立候補予定。皆様の投票を(支援を)お願いします!」と書いてしまう。プロフィール欄は「常時表示される文書図画」です。公示日前に「投票」や「支援」を依頼する文言があれば、24時間365日、事前運動を続けているとみなされます。

●名前や肩書きでの暗示
アカウント名を「〇〇太郎(〇〇市長選 候補予定者)」とする。「候補者」という言葉は、「選挙に立候補した人」を指すため、届出“前”に使うと「特定の選挙」を強く暗示し、事前運動とみなされるリスクがあります。

安全策:「〇〇太郎(〇〇市 政治活動家)」「〇〇太郎(〇〇市議選 挑戦予定)」など、「投票」と直結しない表現が好まれます。

●支援者(一般人)によるフライング応援
候補者本人が気をつけていても、熱心な支援者が「公示日」を知らず、SNSで「Aさんを当選させよう!」「Bさんのために投票をお願いします!」とフライングで投稿してしまう。

支援者(一般人)も、事前運動の禁止対象です。陣営は、支援者に対しても「選挙運動期間(公示日)までは、投票依頼の投稿は絶対にしないでください!」と周知徹底する義務があります。

第4章:「事前運動」と疑われないための「平時」のネット戦略

では、公示日(告示日)までの長い「平時」において、候補者や陣営はSNSで何をすればよいのでしょうか。「事前運動」の境界線を越えずに、合法的な「政治活動」の範囲内で、いかに支持を広げるか。これこそが、現代のネット選挙戦略の“本番”です。

「人柄」と「ビジョン」の徹底的な発信

選挙は、最終的に「この人なら信頼できるか」という「人柄」で決まる側面が強いです。平時のSNSは、この「人柄」ブランドを構築する絶好の場です。

●インスタ(ストーリーズ、リール)
候補者の「素顔」を発信します。朝の駅立ちの様子、地域のお祭りへの参加、家族とのひととき、趣味の話など。「政治家」という“鎧”を脱いだ「一人の人間」としての魅力を伝えます。

OK例:「〇〇商店街の皆さんとお話ししました。活気があって元気を貰いました!」(活動報告)

●X(旧Twitter)
短い言葉で「ビジョン」や「信念」を伝えます。

OK例:「私が目指すのは『子供たちが安心して学べる街』です。そのために、〇〇という政策が必要だと考えています。」(政策の方向性)

原則として、いつでも、誰でも自由。

有権者からの「相談窓口」となる

SNSを「演説台」として一方的に発信するだけでは、支持は広がりません。有権者の「悩み」や「要望」を聞く「耳」として機能させます。

OKな事例をご紹介

Instagramの質問箱
「あなたの街の『ここが危ない』『ここが不便』を教えてください!」とストーリーズで募集。
寄せられた声に対し、「〇〇様、貴重なご意見ありがとうございます。現地を確認し、議会で取り上げます」と(個人情報を伏せて)回答・発信する。

LINE公式アカウント
リッチメニューに「ご意見・ご相談」窓口を設置し、1対1のチャットで地域住民の悩み相談に乗る。

「あいまいな表現」の活用(グレーゾーンの攻防)

ここは高度なテクニックであり、陣営の法務知識が問われる領域です。

「投票してください」とは言えない。しかし、選挙が近いことは伝えたい。そこで、以下のような「政治活動」の範囲内に留まる、“限りなく黒に近いグレー”な表現が使われることがあります。

●OK(とされている)例
「〇〇太郎、決意しました。」
「〇〇(地域)の未来のため、全力で働きます。」
「私の挑戦を、どうか見守ってください。」
「(立候補表明のポスターやチラシ(※)をSNSに投稿し)思いをまとめました。ご一読ください。」

(※ポスターやビラも、選挙運動期間外に掲示・配布できるものは「政治活動用」として、枚数や規格が厳しく制限されています。それをSNSに載せるのは「画像」としてOK、という意味です)

これらの表現は、「特定の選挙」や「投票依頼」を直接言っていないため、形式上は「政治活動」とされます。しかし、受け取る側は「ああ、選挙に出るんだな」と察します。この「察してもらう」ことこそが、平時のネット戦略のゴールとなります。

第5章:忘れてはいけない「その他の禁止」ルール

「いつから」という期間の問題以外にも、ネット選挙運動には重要な「禁止事項」があります。これらも「うっかり」違反しやすい落とし穴です。

「投票日当日」の選挙運動の禁止

再三の注意となりますが、投票日当日は、SNSでの選挙運動(投票依頼)は一切禁止です。
NG例:「本日、投票日!A候補に最後のひと押しを!」
OK例:「今日は選挙の日。皆さん、投票に行きましょう!」(投票啓発)

18歳未満(未成年者)の選挙運動の禁止

18歳未満の者は、SNSであっても選挙運動(「A候補に投票しよう」)が禁止されています。
陣営は、18歳未満の学生ボランティアにSNS運用を任せる際、この点を厳しく指導する責任があります。

DM・LINEでの「支援者(一般人)による」投票依頼の禁止

X(旧Twitter)のDMやLINEは、「電子メール」扱いとされます。
一般の支援者(有権者)が、善意で「A候補を当選させたい」と思い、自分のLINEの友だち全員に「A候補をよろしく」とメッセージを送る行為は、公選法違反となります。ネット選挙運動は、必ず「公開」された場所(Xのタイムライン、インスタのフィードなど)で行ってください。

有料広告(プロモーション)の禁止

SNSの「投稿を宣伝」といった有料広告機能を、選挙運動(投票依頼)の目的で使うことは、候補者・支援者ともに禁止されています。

まとめ

ネット選挙運動の「いつから」という問いは、「歴史的には2013年から」そして、「実践的には『公示日(告示日)の立候補届出』から『投票日の前日』まで」という2つの答えになります。

この「選挙運動期間」の“外側”で行われる「投票依頼」は、すべて「事前運動」という重大な選挙違反です。私たちがSNSで「うっかり違反」をしないための最大の防御策は、「政治活動」と「選挙運動」の境界線を常に意識することです。

●政治活動(いつでもOK)
= 政策の主張、活動報告、人柄の発信

●選挙運動(期間中のみOK)
= 「〇〇選挙」で「〇〇さん」に「投票して」とお願いすること

選挙がない平時から、SNSでコツコツと「政治活動」を続け、有権者との信頼関係(人柄、政策)を築き上げる。そして、公示日のゴングが鳴った瞬間から、初めて「選挙運動」として「私に投票してください!」と正々堂々と呼びかける。

これが、現代のネット選挙戦略における、最もクリーンで、最も効果的な「やり方」なのです。「知らなかった」でフライング違反を犯すことのないよう、この境界線を守って、健全なネット選挙に参加しましょう。

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