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インターネットで変わる政治活動!影響やメリットとデメリットを解説

作成者: Admin|3/27/25 1:42 AM

インターネットの普及により、政治活動のあり方は大きく変わりました。かつては街頭演説や集会、新聞やテレビを通じた発信が中心でしたが、今ではSNSや動画配信、オンラインコミュニティを活用した情報発信が当たり前になっています。誰もが政治に関する意見を広められる時代になった今、政治活動にはどのような変化が起きているのでしょうか。

本記事では、インターネットが政治活動にもたらした影響や、活用のメリット・デメリット、注意すべき点について詳しく解説します。

 

 

インターネットが政治活動にもたらした変化

政治活動は時代とともに変化してきましたが、インターネットの登場によって変化の流れは加速しています。本章では、政治活動におけるインターネットの影響や重要性について、具体的に見ていきましょう。


従来の政治活動とインターネット登場後の変化

インターネットが普及する以前、政治活動といえば街頭演説やチラシ配布、新聞・テレビを通じた広報が主流でした。いずれも発信者側が一方的に情報を伝える手段に過ぎず、有権者が意見を発信する場は限られていました。

しかし、インターネットの登場により状況は一変。SNSや動画配信を活用することで、誰でも自由に政治的な意見を発信できるようになりました。これにより、候補者や政党に限らず、有権者同士の双方向のコミュニケーションも活発になっています。その一方で、膨大な情報が飛び交うなか、目にする情報が本当に信頼できるものかを見極める力が求められる時代になったともいえます。


選挙運動におけるインターネット利用の解禁

日本では長らく、公職選挙法の規定により、選挙運動にインターネットを活用することが禁止されていました。そのため、候補者や政党はポスターやビラ、街頭演説といった従来の手法に頼らざるを得なかったのです。

しかし、2013年の法改正により、インターネットを活用した選挙運動が解禁。候補者はSNSやブログ、動画配信などのインターネットコンテンツを通じて、選挙期間中でも有権者に直接訴えかけることが可能になりました。ただし、電子メールを利用した選挙運動は、候補者や政党に限られ、一般有権者が行うことは禁止されています。​


インターネット政治活動の重要性

インターネットの普及により、政治活動のあり方が変化しただけでなく、その重要性も年々増しています。特に若年層にとっては、ネット上の情報が政治への関心を持つきっかけとなることも少なくありません。そのため、ネットを通じて候補者や政策に関する多様な情報が得られることで、有権者の政治への理解が深まり、投票行動にもポジティブな影響を与えることが期待されています。

また、選挙運動においてもインターネットの活用が進み、従来の対面中心の組織運営から、オンライン上での効率的な情報共有へと移行が進んでいます。選挙事務所の負担を軽減し、戦略的な活動を可能にするという点でも、インターネット政治活動の重要性は高まっているといえるでしょう。

 

 

インターネットを活用した政治活動のメリット

では、インターネットを活用した政治活動には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、情報発信の幅の拡大やコスト削減、双方向の対話促進など、さまざまな視点からそのメリットを分かりやすく解説します。


幅広い層への情報発信

インターネットを活用した政治活動の最大のメリットは、世代を問わず多くの人に情報を届けられることです。
総務省の「令和5年通信利用動向調査の結果」によると、2023年の日本におけるインターネット利用率は全体で86.2%に達しています。特に若年層は顕著で、13〜19歳は98.7%、20〜29歳は98.4%と、ほぼすべての人がインターネットを活用している状況です。



出典:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果

では、中高年層はどうでしょうか。実は30〜59歳の利用率は98%前後と、若者と同じ水準。さらに 70〜79歳でも67.0% と、3人に2人がネットを利用している計算になります。このデータからも分かるように、「インターネット=若者のツール」という時代は、もはや過去の話なのです。

こうした状況をふまえると、政治活動においても インターネットの活用は不可欠です。 オンラインを活用すれば、より多くの有権者に効率よく情報を届けられるだけでなく、選挙活動の可能性も大きく広がるでしょう。


時間や場所にとらわれない活動の自由度

インターネットの活用によって、政治活動の自由度が大きく広がりました。これまでの街頭演説や集会では、 決められた時間・場所に足を運べる人しか参加できず、どうしても限られた層にしか情報を届けられませんでした。

しかし、SNSや動画配信を活用すれば、 遠方に住んでいる人や忙しくて現地に行けない人にも、時間や場所を問わず情報を届けることが可能です。リアルタイムのライブ配信はもちろん、アーカイブ動画を残せば、好きなタイミングで視聴してもらうこともできるのです。


双方向コミュニケーションによる有権者との関係構築

政治活動を行う上で、有権者との関係構築は欠かせません。しかし、多くの有権者にとって政治家は遠い存在であり、政策や考えに触れる機会は限られています。

これまで、有権者が候補者の政策や人となりを知る手段といえば、 新聞報道、政見放送、選挙公報、法定ビラなどが中心でしたが、これらの限られたスペースでは、十分な情報を伝えるのは難しいのが現実です。

その点、SNSやブログ、動画配信サービスなどを活用すれば、 選挙公報などでは伝えきれない政策の詳細を発信したり、有権者からの質問に直接答えたりすることが可能になります。リアルタイムで意見を交わせる環境を整えることで、単なる「情報提供」ではなく、双方向のコミュニケーションを通じて有権者との関係を深めることができるでしょう。


低コストでの活動実現

インターネットを活用した政治活動は、候補者や政党にとってコスト面のメリットもあります。そもそも政治活動には、組織運営費や広報費、人件費など多くの費用がかかります。選挙活動だけ見ても、ポスターやビラの印刷費、選挙カーのレンタル費、街頭演説の音響設備費など、出費はばかになりません。限られた予算の中で効果的に活動を進めるには、コスト削減の工夫が求められるでしょう。

インターネットを活用すれば、こうした負担を大幅に削減することが可能です。例えば、ホームページやブログ、電子メールを使えば、紙のチラシを大量に印刷せずとも情報を発信できますし、オンラインイベントを活用することで会場費や交通費の削減も可能です。そのほか、ネットを介してボランティアを募集するなどの方法をとることで人件費の節約にもつながります。


データ分析による効果的な戦略立案

データをもとに戦略を立てられることもメリットの一つです。従来の活動では、有権者の反応を詳細に把握するのが難しく、手探りで進めざるを得ませんでした。

しかし、SNSの分析ツールやウェブサイトのアクセス解析を活用すれば、どの世代がどの政策に関心を持っているのか、どの投稿が支持を集めているのかを可視化できます。これにより、より効果的なメッセージの発信やターゲットに応じた戦略の最適化が可能になり、限られたリソースを最大限に活かすことができるでしょう。

 


インターネットを活用した政治活動のデメリット

メリットの多いインターネット政治活動ですが、その反面いくつかのデメリットもあります。情報の偏りや誤情報の拡散、デジタル・ディバイドの問題など、慎重な対応が求められる課題も少なくありません。
ここからは、それらのデメリットについて詳しく見ていきましょう。


情報の偏りとエコーチェンバー現象

SNSやネットメディアの普及により、政治活動における情報発信の手段は大きく広がりました。しかし、その一方で気をつけなければならないのが「情報の偏り」と「エコーチェンバー現象」です。

エコーチェンバー現象とは、自分と似た考えを持つ人の意見ばかりを目にするうちに、「この考えが正しい」「世の中の多くの人が同じ意見を持っている」と思い込んでしまう状態を指します。SNSでは、価値観が近い人をフォローしやすいため、気づかないうちに同じ意見ばかりが流れてきて、視野が狭くなってしまうのです。

特に政治の世界では、この現象が起こりやすいと言われています。考え方が偏ることで、対話の機会が減り、相互理解が進まなくなることも考えられます。そのため、政治活動を行う際には、一部の層だけに訴えかける形にならないよう、意図的に幅広い層へ情報を届ける工夫が求められます。


デジタル・ディバイド(情報格差)による不平等

政治活動のインターネット活用については「デジタル・ディバイドを懸念する声もあります。これは、インターネットやパソコンを使いこなせる人と、そうでない人との間に生じる情報格差を指します。

デジタル・ディバイドは、なにもパソコンやスマートフォンの操作ができるかどうかの問題だけではありません。 たとえインターネットにアクセスできたとしても、信頼できる情報源を見極められるか、誤った情報に流されず正しい判断ができるかといった「情報リテラシー」の差も影響します。

この問題は、インターネットが普及し始めた頃から指摘されてきましたが、今もなお解決には至っていません。むしろ、情報量が膨大になったことで、適切な情報にたどり着く難しさが増しているともいえます。こうした状況をふまえると、政治活動ではインターネットだけに頼らず、オフライン手法も組み合わせた情報発信が必要となるでしょう。


心理的負担の増大

インターネットを活用した政治活動は、心理的な負担の増加も懸念されます。特にSNSは拡散力が高いため、意図しない形で発言が切り取られたり、それによって誤解を招いたりするリスクも考えられます。また、匿名のユーザーからの批判や誹謗中傷にさらされる機会が増え、精神的なストレスが蓄積することも少なくありません。

こうしたリスクを避けるためには、発信内容を慎重に精査することはもちろん、炎上対策やメンタルケアの体制を整えることも重要です。ネットを活用する上での心構えを持つことが、安定した政治活動につながるでしょう。


偽情報・誤情報による世論操作の危険性

近年、偽情報(フェイクニュース)・誤情報による世論操作の危険性については世界中で指摘されています。例えば、2016年の米国大統領選挙や2018年の沖縄県知事選では、候補者に有利・不利な情報がSNSで大量に拡散されました。

こうした情報は、悪意を持って意図的に流される場合もあれば、誤解した人が無自覚に拡散してしまうこともあります。いずれにせよ、一度広まった情報を完全に取り消すことは難しく、誤った内容がそのまま世論に影響を与えるおそれもあります。こうした情報は、悪意を持って流される場合もあれば、誤解した人が拡散してしまうこともあります。ただ、どちらにせよ一度広まった情報を完全に取り消すのは難しく、誤った情報がそのまま世論に影響を与えることも。

このようなリスクに対応するため、日本の刑法では「虚偽事項公表罪」「名誉毀損罪」「侮辱罪」などの規定が設けられており、また民事上も「名誉毀損」に基づく損害賠償請求が認められています。これにより、事実と異なる情報によって候補者の名誉を傷つけたり、虚偽の内容を拡散したりする行為には、法的措置が講じられることになります。こうしたリスクへの対策として、日本では刑法に「虚偽事項公表罪」「名誉毀損罪」「侮辱罪」といった規定が設けられ、民事上の「名誉毀損」による損害賠償が認められています。これにより、事実と異なる内容で候補者の名誉を傷つけたり、虚偽の情報を広めたりする行為には法的な措置がとられることになります。

参照:総務省「偽・誤情報の現状とこれから求められる対策

 

 

インターネットを活用した政治活動の注意点

ここからは、インターネットを活用した政治活動における注意点を3つ解説します。

公職選挙法違反となる行為

インターネットを活用した選挙運動には、一定の規制が設けられています。違反すると公職選挙法違反となり、罰則の対象となるため注意しなければなりません。

特に違反しやすい行為は次の通りです。

連絡先を表示せずにWebサイト等へ投稿
選挙運動期間外に選挙運動を行う
候補者等以外が電子メールを利用して選挙運動を行う
選挙運動用のホームページや電子メールを印刷して配布する
候補者に関する虚偽の事項を公開する
候補者等のWebサイトを改ざんする
投票日当日に当日に選挙運動を目的とするSNS投稿を行う
18歳未満の者が選挙運動を行う

参照:総務省「(1)インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等


個人情報・プライバシー保護への配慮

インターネットを活用する上で、セキュリティリスクへの対応は避けて通れません。特に注意が必要なのは、マルウェア感染による個人情報の流出です。候補者や政党が管理する支持者リスト や、ボランティアの個人情報が外部に漏れると、関係者の信頼を損なうだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

また、不正アクセスによるアカウント乗っ取りや、なりすましによる情報発信などのリスクも考えられます。セキュリティ対策を徹底し、個人情報の管理には万全を期すことが重要です。


炎上を避けるための情報発信

インターネットを使った政治活動は、常に炎上リスクが伴います。特に、選挙前の時期は注目が集まりやすく、発言や投稿の内容に対する反応も敏感になるため、慎重な情報発信が求められるでしょう。

炎上を防ぐには、発信する内容の事前確認が欠かせません。投稿前に、誤解を招く表現や過度に対立を生むような言い回しがないかチェックし、必要に応じて広報担当者や専門家に相談すると安心です。

それでも万が一炎上してしまった場合は、冷静かつ迅速に対応しましょう。放置すると誤った情報が拡散し、さらなる混乱を招く可能性があるため、事実関係を整理した上で、適切な説明を行うことが重要です。


著作権・肖像権への配慮

政治活動において、画像や動画、音楽を活用する場面は多くあります。しかし、それらの素材には著作権や肖像権が存在し、適切な手続きを踏まずに使用すると法的なトラブルにつながる恐れがあります。

例えば、他者が撮影した写真や映像を無断で使用したり、著作権のある楽曲を動画のBGMにしたりする行為は、権利侵害にあたる可能性があるため十分に注意しましょう。また、イベントや街頭演説の映像を公開する際は、参加者のプライバシーにも十分配慮しなければなりません。

 


インターネット政治活動の具体的な方法

インターネットを活用した政治活動には、さまざまな手法があります。SNSでの情報発信やオンラインコミュニティの活用、動画配信による政策説明など、それぞれの特性を理解しながら適切に活用することが重要です。

ここからは、その具体的な方法を詳しく解説します。


SNS(X, Facebook, Instagram)の効果的な活用法

近年、政治活動においてSNSの活用は欠かせないものとなっています。特に若年層への認知拡大には効果的であり、SNSを積極的に運用する政党や候補者が躍進するケースも増えています。

政治活動にSNSを活用する際のポイントは、「各プラットフォームの特性を理解し、目的に応じて適切に使い分けること」。それぞれのSNSには強みと弱みがあり、ターゲット層や発信する内容に応じた選択が求められます。

以下に、主要なSNSの特徴と効果的な活用方法をまとめました。




オンラインコミュニティ、オンラインサロンの活用

オンラインコミュニティやオンラインサロンは、特定のテーマに関心を持つ人々が集まり、議論や情報共有を行う場として活用されています。政治活動においても、支持者と継続的にコミュニケーションを取り続けることで、政策への理解を深めてもらう手段として有効です。

特に、SNSでは実現しにくい深い議論や継続的な対話を行う場として活用できるのが特徴。定期的な意見交換の場を設けたり、限定コンテンツを配信したりすることで、支持層の結束を強め、より具体的なアクションにつなげることができるでしょう。


動画共有サイト(YouTubeなど)での動画配信戦略

昨今、YouTubeやTikTokなどの動画共有サイトを活用した政治活動も注目を集めています。特に話題となったのが、2024年の東京都知事選挙における石丸伸二氏の戦略です。政党の支援を受けない無所属候補でありながら、YouTubeやSNSを活用し、わずか数週間で約166万票を獲得したことで、多くの人を驚かせました。

石丸氏の動画戦略は、演説や記者会見の様子を継続的に配信し、視聴者とのライブ交流を積極的に行うというものです。これにより、候補者の考えや姿勢がリアルタイムで伝わり、共感の輪が広がりました。また、演説車に「SNS投稿OK」「撮影・拡散OK」のステッカーを貼り、支持者による動画拡散を促進。その結果、切り抜き動画が次々と拡散され、総再生回数は1億5千万回を超えたとされています。​

このように、動画配信を活用すれば、候補者の姿勢や政策を短期間で広く伝え、多くの人にリーチすることが可能です。今後の政治活動においても、効果的な発信手段として、動画の活用がさらに広がっていくでしょう。

 


インターネット政治活動の今後

インターネットを活用した政治活動は、今後どのように発展していくのでしょうか。技術の進化や社会の変化に伴い、政治とインターネットの関わり方も変わっていくことが予想されます。ここからは、その展望について考えていきます。


新しい技術(AI、VR、メタバースなど)の活用可能性

テクノロジーの進化に伴い、政治活動の手法も変わりつつあります。なかでも、AI、VR、メタバース などの最新技術は、今後の政治活動に新たな可能性をもたらすと期待されています。

例えば、AIを活用したチャットボットなら、政策に関する質問に自動で回答でき、支持者との対話をスムーズに進めることが可能です。選挙期間中の問い合わせ対応や、政策の説明にも役立つでしょう。

こうした技術の進化は、政治活動のあり方そのものを変えていくかもしれません。


若年層の政治参加促進への期待

近年、若年層の政治参加が課題とされていますが、インターネットの普及により、その状況も少しずつ変化してきました。特に、SNSや動画配信を通じて、これまで政治に関心が薄かった世代にも情報が届くようになったことが大きな要因といえるでしょう。

なかでも、オンライン討論会やインフルエンサーを通じた情報発信は、若者の関心を引く手法として注目されています。選挙権年齢の引き下げにより、より多くの若年層が政治に関与する時代となった今、インターネットを活用したアプローチがますます重要になるでしょう。


偽情報対策強化の必要性

インターネット上には、正確な情報だけでなく、誤情報や偽情報も多く出回っています。特に政治分野では、意図的に世論を操作する目的で誤った情報が拡散されるケースが後を絶ちません。近年、この問題が各国で深刻化しており、選挙や政策議論に影響を与える事例も増えています。

こうした問題に対処するには、発信する側が情報の正確性を徹底するほか、有権者に対して情報リテラシーを向上させる取り組みも必要でしょう。プラットフォーム側の対策も含め、偽情報への対応を強化することが、今後の政治活動において不可欠となります。

 


まとめ

本記事では、インターネットが政治活動に与えた影響や、活用する際のメリット・デメリット、注意点について解説しました。

インターネットの普及により、政治活動のあり方が大きく変わりました。SNSや動画配信を活用することで、情報発信の幅が広がり、有権者との双方向コミュニケーションも可能になっています。一方で、偽情報の拡散やデジタル・ディバイドといった問題にも目を向け、慎重に運用することが求められます。

変化する時代の中で、インターネットを効果的かつ適切に活用することが、より良い政治活動につながるはずです。