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衆議院議員の任期について解説

作成者: Admin|2025/11/06

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はじめに

選挙のニュースで「衆議院解散」や「総選挙」といった言葉を耳にするたび、私たちは政治の大きな節目を感じます。日本の国会は「衆議院」と「参議院」の二院制で成り立っていますが、特に衆議院は私たちの生活に直結する重要な意思決定を担う場です。

しかし、「衆議院議員」と聞いて、彼らが具体的にどのような仕事をし、どれくらいの期間、どのような権限を持って活動しているのかを正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。特に「任期」については、「4年」と定められている一方で、実際には4年を待たずに選挙が行われることがほとんどです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

この記事では、選挙ブログを運営する私たちだからこそお伝えしたい、衆議院議員の基本的な役割から、その核心である「任期」、さらにはお給料や選挙の仕組みに至るまで、約6,000文字で徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、ニュースの裏側にある国会の仕組みがより深く理解できているはずです。

衆議院とは? 参議院との決定的な違い

まず、国会を構成する「衆議院」がどのような存在なのか、その基本的な立ち位置から見ていきましょう。日本の国会は、衆議院と参議院の二つの議院で構成される「二院制(両院制)」を採用しています。法案は原則として両方の議院で可決されて初めて成立します。

では、なぜ二つの院が必要なのでしょうか?

これは、異なる民意の反映や、慎重な審議を担保するためです。そして、衆議院と参議院は、その役割と性格が明確に分けられています。 

▼ 衆議院と参議院の主な違い

項目

衆議院

参議

議員定数

465

248

任期

4

6

解散

あり

なし

被選挙権

25歳以上

30歳以上

選挙制度

小選挙区比例代表並立制

選挙区制・比例代表制

通称

-

良識の府

特徴

国民の意思を迅速に反映

長期的・専門的な視点で審議

この表からわかる最大のポイントは、衆議院には「解散」があり、任期が「4年」と短いことです。これは、衆議院が参議院よりも「より現在の国民の意思(民意)を反映する機関」として位置づけられていることを意味します。世論の動向に敏感であり、内閣の信認と直結しているのが衆議院なのです。

対照的に、参議院は任期が6年と長く、解散がありません。さらに、選挙も3年ごとに半数の議員を入れ替える「半数改選」という仕組みを取っています。これにより、政治の急激な変化を防ぎ、長期的かつ安定的な視点から「衆議院の決定を再チェックする」役割を担っており、「良識の府」とも呼ばれます。

衆議院の優越

この「民意の反映」という性格の強さから、日本国憲法はいくつかの重要な点において、衆議院に参議院よりも強い権限を与えています。これを「衆議院の優越」と呼びます。

1.法律案の議決
参議院が衆議院と異なる議決をした場合、衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば、その法案は成立します。

2.予算の議決
国家予算は、必ず衆議院が先に審議します(予算先議権)。両院の議決が異なった場合、最終的に衆議院の議決が国会の議決となります。

3.内閣総理大臣の指名
両院の指名が異なった場合、衆議院の指名が優先されます。

4.条約の承認
予算と同様に、両院の議決が異なった場合、衆議院の議決が国会の議決となります。

このように、衆議院は国の根幹に関わる部分で、参議院に対して優越的な地位にあります。それだけ、衆議院議員が背負う責任は重いと言えます。

どんな仕事?国民の代表としての4つの責務

では、衆議院議員は国会で具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。彼らの最も重要な使命は「国民の代表」として、私たちの声を国の政治に反映させることです。そのための主な仕事は、以下の4つに大別されます。

1. 法律の制定(立法)

国会議員の最もイメージしやすい仕事が「法律を作ること」です。
私たちの生活ルールや社会の仕組みは、すべて法律に基づいています。例えば、新しい働き方に対応するための労働法の改正、子育て支援のための児童福祉法の改正、デジタル社会に対応するための個人情報保護法の整備など、時代や社会の変化に応じて法律を新設・改正・廃止します。

法律案は、内閣(各省庁)が作成して提出する「閣法」と、議員が提出する「議員立法」の2種類があります。どちらも、まず委員会での専門的な審議を経て、本会議で採決されます。衆議院で可決されると参議院に送られ、参議院でも可決されると「法律」として成立します。

2. 予算の議決

政府が1年間(4月1日~翌年3月31日)にどのようなことにお金(税金)を使うかを定めた計画書が「予算」です。国会議員は、この予算案が国民の利益にかなうものか、無駄遣いはないか、必要な分野に十分なお金が充てられているかを厳しくチェックし、最終的に承認(議決)する権限を持っています。

毎年1月から開かれる「通常国会」は、この予算案を審議することが最大の目的であるため、「予算国会」とも呼ばれます。前述の通り、予算には衆議院の優越(先議権)が認められており、国の財政をコントロールする非常に重要な仕事です。

3. 内閣総理大臣の指名

日本の政治体制は「議院内閣制」を採用しています。これは、内閣(総理大臣と各大臣)が国会の信任に基づいて成立し、国会に対して責任を負う仕組みです。その根幹となるのが、国会議員の中から内閣総理大臣を指名することです。衆議院が解散し、総選挙が行われた後、新しく召集された国会で最初に行われる最も重要な仕事が、この「総理大臣指名選挙」です。

通常、衆議院で最も多くの議席を持つ政党(与党)の党首が総理大臣に指名されます。つまり、私たちが衆議院議員総選挙で投票する行為は、間接的に「どの政党に政権を任せるか」「誰を総理大臣にするか」を選んでいることと同じ意味を持つのです。

4. 国政の調査(行政の監視)

国会は、法律や予算が正しく執行されているか、行政(内閣や各省庁)の活動に問題がないかを監視する役割も持っています。これを「国政調査権」と呼びます。テレビ中継される予算委員会などでの質疑応答は、この行政監視の代表例です。議員たちは国民の代表として、政府の政策や不祥事(が疑われる事案)について厳しく問い詰めます。必要であれば、関係者を証人として国会に呼び出す「証人喚問」を行うこともできます。

活動任期(これが本題。4年なのに4年じゃない?)

さて、いよいよ本題である衆議院議員の「任期」についてです。ここが最も重要で、かつ少し複雑なポイントです。

原則は「4年」

日本国憲法第45条には、衆議院議員の任期について次のように定められています。

第四十五条
衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

条文が示す通り、衆議院議員の任期は、原則として4年間です。例えば、2025年10月31日に選挙が行われ、議員としての身分がスタートした場合、その任期は原則として2029年10月30日までとなります。

例外であり「常態」でもある「解散」

しかし、憲法には「但し書き」があります。
「但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。」

これが、衆議院の任期を語る上で欠かせない「解散」です。解散とは、内閣(または衆議院自身の決議)の判断により、4年の任期満了を待たずに、衆議院議員全員の身分を失わせることを指します。解散が行われると、すべての衆議院議員は(任期が何年残っていようとも)その瞬間に議員の資格を失います。そして、国民の信を改めて問うために、総選挙が実施されます。

なぜ解散するのか?

解散は、内閣が持つ最大の「切り札」とも言われます。主な理由は以下のようなものです。

●国民に信を問うため
消費税率の変更や安全保障政策の転換など、国の将来に重大な影響を与える政策を実行する前に、「この方針で良いか」を国民に問い、選挙を通じて信任(お墨付き)を得るため。

●政治的な膠着状態を打破するため
国会で重要な法案が通らないなど、政治が停滞した際に、解散・総選挙によって民意を反映させ、状況を打開するため。

●内閣不信任決議への対抗
野党から「内閣不信任決議案」が提出され、衆議院で可決された場合、内閣は「総辞職」するか「衆議院を解散」するかの二択を迫られます。

4年満了は「たった1回」という事実

では、この「4年の任期満了」と「任期途中の解散」、実際にはどちらが多いのでしょうか。答えは圧倒的に「解散」です。実は、日本国憲法が施行されてから現在(2025年)まで、衆議院が4年の任期を満了して選挙が行われたのは、1976年(三木内閣)のたった1度きりです。ほとんどの衆議院議員は、4年間の任期を全うすることなく、平均すると2年半から3年程度で解散・総選挙を迎えています。

つまり、衆議院議員の任期は「原則4年」と定められてはいるものの、実態としては「最長4年、ただし内閣の判断でいつでも終了しうる」という、非常に流動的で不安定な身分であると言えます。

解散したら、いつ選挙?

衆議院が解散された場合のルールも憲法で定められています。

第五十四条
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

解散が決まると、その日から40日以内に必ず総選挙(衆議院議員総選挙)を行わなければなりません。この慌ただしいスケジュールが、衆議院議員の任期の特徴を際立たせています。

お給料(歳費)と手当の実情

国民の代表として重責を担う国会議員ですが、その対価としてどれくらいの報酬を得ているのでしょうか。国会議員の給与は「給料」とは呼ばず、「歳費(さいひ)」と呼ばれます。これは「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」に基づいて定められています。

歳費(基本給)

役職についていない一般の国会議員(衆議院・参議院共通)の歳費は、
月額 129万4,000円 です。
※年額 1,552万8,000円
※議長は月額217万円、副議長は月額158万4,000円

期末手当(ボーナス)

民間のボーナスにあたる「期末手当」が、年に2回(6月と12月)支給されます。支給額はその時々で変動しますが、年間でおおむね約630万~650万円程度で、歳費と期末手当を合わせると、国会議員の「年収」は額面で約2,100万~2,200万円程度となります。

調査研究広報滞在費(旧・文通費)

国会議員には、歳費や期末手当とは別枠で、さまざまな手当が支給されます。その中で最も注目され、近年問題視されてきたのが「調査研究広報滞在費」です。これは、議員が国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在などのために使う経費として、月額100万円(年額1,200万円)が支給されるものです。

かつては「文書通信交通滞在費(文通費)」と呼ばれていましたが、この経費は「何に使ったか」の領収書の提出や使途の公開義務がなく、使い残しを返納するルールもありませんでした。そのため、「第二の給与」ではないかと長年批判の対象となってきました。

この問題に対し、世論の批判が高まった結果、2024年に歳費法が改正され、2025年からは使途の公開が義務化され、残額は国庫に返納するルールへと変更されました。これは、政治の透明性を高める上で大きな一歩と言えます。

4. その他の経費

●立法事務費
議員の立法(法律づくり)に関する調査研究のために、所属する政党の会派(グループ)に対し、議員1人あたり月額65万円が支給されます。(※これは議員個人ではなく会派に支払われます)

●交通費
選挙区と東京を往復するための費用として、JR全線の無料パス(議員パス)や、航空券と交換できるクーポン(月3往復分程度)が支給されます。このように、国会議員には手厚い待遇が保障されていますが、それは地元と東京を頻繁に往復し、広範な調査研究を行うという重責を全うするために必要な経費である、というのが制度上の趣旨となっています。

どういう選挙? 2票を投じる「並立制」

最後に、衆議院議員はどのような選挙で選ばれるのかを見ていきましょう。衆議院議員総選挙の最大の特徴は、私たち有権者が「2種類の票」を投じる点にあります。この選挙制度は「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれます。1994年に導入された、比較的新しい制度です。投票所に行くと、私たちは2枚の投票用紙を渡されます。

1票目:小選挙区選挙(「人」を選ぶ)

●投票用紙
候補者の「個人名」を書きます。

仕組み
全国を289の選挙区に細かく分け、1つの選挙区から1人だけが当選します。
(※得票数が最も多かった候補者が当選する「多数代表制」です)

●メリット
・選挙区が狭いため、候補者と有権者の距離が近い。
・「この地域はこの人」という代表者が明確になる。

●デメリット
・1位以外の候補者に投じられた票は、すべて「死票」となり、議席に反映されない。
・大政党に有利で、小政党の候補者は当選しにくい。

2票目:比例代表選挙(「政党」を選ぶ)

●投票用紙
「政党名」を書きます。

●仕組み
全国を11の大きなブロック(例:「東京ブロック」「近畿ブロック」など)に分けます。
各政党が獲得した得票数に応じて、各党に議席が配分されます。

●メリット
・「死票」が少なく、各政党の得票率が議席数に反映されやすい。
・小政党や、多様な意見を持つ人々が国会に進出しやすくなる。

●デメリット
・議員個人の顔や政策が見えにくい。

なぜこの複雑な制度なのか?

この「小選挙区」と「比例代表」を組み合わせた(=並立させた)制度は、両方の「良いところ取り」を目指したものです。「地域代表」は小選挙区で選び、「国民全体の多様な意見」は比例代表で反映させる。この2つの仕組みを同時に行うことで、よりバランスの取れた民意を国会に反映させようという狙いがあります。

「比例復活」とは?

この制度をさらに特徴づけているのが「重複立候補」と「比例復活」です。多くの候補者は「小選挙区」と「比例代表」の両方に同時に立候補します(重複立候補)。もし、Aさんが小選挙区で2位で落選してしまった場合でも、Aさんが所属する政党が比例代表で議席を獲得していれば、Aさんが比例代表の名簿で「復活当選」できる可能性があるのです。

この復活の順位は、小選挙区での「惜敗率」(1位の候補者に対する得票数の割合)などで決まります。選挙速報で「○○さん、小選挙区では敗れましたが、比例で復活当選です」と報じられるのは、この仕組みによるものです。

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まとめ

この記事では、衆議院議員の「任期」を軸に、その役割、仕事内容、給与、選挙制度について詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめます。

1.衆議院は「民意の反映」を重視し、「衆議院の優越」という強い権限を持つ。
2.仕事は「法律の制定」「予算の議決」「総理大臣の指名」「行政の監視」が柱。
3.任期は憲法上「4年」だが、「解散」があるため、任期満了は戦後1度きり。実質的には「最長4年」の流動的な任期である。
4.給与は「歳費」と呼ばれ、月額129.4万円。これにボーナスや月額100万円の「調査研究広報滞在費」などが加わる(ただし経費の使途公開は義務化された)。
5.選挙は「小選挙区(人を選ぶ)」と「比例代表(政党を選ぶ)」の2票を投じる「並立制」を採用している。

衆議院議員の任期が「4年固定」ではなく、常に「解散」と隣り合わせであることは、彼らが常に国民の審判を意識し、緊張感を持って政治にあたることを促す仕組みとも言えます。次回の衆議院議員総選挙の際には、この記事で解説した「任期」の意味、そして「2票」に込められた意味を思い出しながら、貴重な一票を投じていただければ幸いです。

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