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選挙中はなぜ選挙カーと確認団体車の「2台」を走らせられるのか?

作成者: Admin|2026/05/22

 

 

はじめに

選挙期間中、街を歩いていると、候補者本人が乗る選挙カーとは別に、もう1台の車両が走っているのを見かけることがあります。

「あれも選挙カーなの?」
「同じ候補者なのに、なぜ2台も走れるの?」

選挙にあまり馴染みのない方ほど、不思議に感じるかもしれません。

実際、この2台は見た目こそ似ていますが、公職選挙法上はまったく別の扱いを受けています。

候補者本人が乗る「選挙カー」は、候補者個人の選挙運動を行うための車両です。一方で、政党名が書かれたもう1台は、「確認団体車」と呼ばれる政治活動用の車両です。

ただし、ここで最初に非常に重要な注意点があります。

この「確認団体制度」は、すべての選挙で使えるわけではありません。

確認団体制度が認められているのは、国政選挙、都道府県知事選挙・議会議員選挙、そして政令指定都市の選挙などです。一般的な市議会議員選挙や町村議会議員選挙では、この制度自体が存在しません。

つまり、一般市議選や町村議選では、そもそも「確認団体車」を走らせることはできません。

この点を誤解したまま、「どの選挙でも2台運用できる」と理解してしまうと、違反リスクにつながる可能性があります。

この記事では、選挙カーと確認団体車の違い、なぜ2台運用が可能なのか、そして現場で特に注意すべきポイントまで、できるだけ分かりやすく整理していきます。

そもそも「選挙カー」とは何か

まず、多くの人がイメージする「選挙カー」から整理してみます。

選挙カーとは、候補者本人の名前をアナウンスしながら走行する、選挙運動用自動車のことです。

街中で、

「○○をよろしくお願いします!」
「○○でございます!」

と候補者名を繰り返し流している車両が、まさにこれにあたります。

選挙カーでは、候補者名をアナウンスしたり、「投票をお願いします」と直接呼びかけたりすることが認められています。また、候補者の顔写真や名前を大きく掲示することも可能です。

その代わり、公職選挙法では使用できる車両数に厳しい制限が設けられており、原則として候補者1人につき1台までとされています(※選挙の種類によって細かな違いがあります)。

これは、資金力のある候補だけが大量の車両を走らせ、過剰な宣伝を行うことを防ぐためです。

もし何台も選挙カーを使えてしまえば、音量や露出量に大きな差が生まれ、選挙の公平性が崩れてしまいます。

そのため、「投票を呼びかけるための車両」は厳格に制限されているのです。

 

 もう1台の正体「確認団体車」とは? 

では、選挙カーとは別に走っている車は何なのでしょうか。

それが「確認団体車」と呼ばれるものです。

確認団体車は、政党や政治団体が行う“政治活動”のための車両として認められているものです。

ここで重要なのは、確認団体車は“選挙運動用”ではない、という点です。

あくまで、政党名の周知や政策の発信、政治活動としての広報を行うための車両として扱われています。

つまり、候補者個人のための車ではなく、“政党の政治活動車両”という位置づけになります。

また、確認団体になれるのも、一定の要件を満たした政党・政治団体に限られます。

たとえば、一定数以上の候補者を擁立していることなど、法律上の条件があり、どの団体でも自動的に確認団体になれるわけではありません。

さらに、確認団体制度は「車」だけの制度ではありません。

実際には、政談演説会や街頭政談演説、政策ビラ、ポスター掲示などについても、それぞれ確認団体として認められる活動枠があります。確認団体車は、その制度の一部という位置づけです。

 

  なぜ「2台運用」が可能なのか 

ここまで整理すると、「なぜ2台走れるのか」の理由が見えてきます。

法律上、

  • 選挙カーは「選挙運動」
  • 確認団体車は「政治活動」

というように、まったく別のカテゴリーとして扱われているからです。

選挙運動用の車両には厳しい台数制限がありますが、政治活動用として認められる確認団体車は別枠で存在できます。

そのため、制度上は

「候補者個人の選挙カー」+「政党の政治活動車」

という形で、2台が同時に走行しているわけです。

ただし、繰り返しになりますが、これは確認団体制度が存在する選挙に限った話です。

一般市議選や町村議選では、この制度自体が存在しないため、「政党車だから別枠で走れる」という考え方は通用しません。

 実際の現場ではどう使い分けられているのか 

現場では、この2台はかなり明確に役割分担されています。

選挙カーは、候補者本人を有権者に認識してもらい、直接投票につなげる役割を担います。

一方で、確認団体車は、政党の政策や存在感を広く浸透させる役割を持っています。

実際には、選挙カーが地域を細かく回る一方で、確認団体車は別ルートを走りながら、政党としての認知を広げるという運用もよく行われています。

つまり、

「候補者本人を届ける車」と
「政党の空気感を広げる車」

として役割が分かれているのです。

 現場で特に注意されるポイント

ただし、この2台は見た目が似ているため、現場では混同も起きやすくなります。

特に問題になりやすいのが、確認団体車が“実質的な選挙カー”になってしまうケースです。

たとえば、確認団体車で候補者名を繰り返し連呼したり、「○○に投票をお願いします」といった発言を行ったりすると、政治活動ではなく選挙運動と判断される可能性があります。

また、候補者本人が長時間確認団体車に同乗し、そのまま名前をアピールし続けるような運用も、実務上はかなり注意されるポイントです。

さらに、車体に候補者ポスターを大きく掲示し、見た目まで選挙カーとほぼ同じ状態にしてしまうと、「実態として選挙運動ではないか」と判断される可能性もあります。

実際には、

  • 候補者本人がどの程度関与しているか
  • 候補者名をどの程度アナウンスしているか
  • 車体表示が候補者主体になっていないか

など、全体の実態を見ながら判断されます。

つまり、「形式上は政党車だから大丈夫」という話ではなく、“実際に何をしているか”が非常に重要になるのです。


 まとめ 

選挙期間中に「2台の車」が走っている理由は、選挙カーと確認団体車が、公職選挙法上で別の扱いになっているからです。

ただし、この制度はすべての選挙で使えるわけではありません。

特に一般市議選や町村議選では確認団体制度そのものが存在しないため、「確認団体車」を走らせることはできません。

また、確認団体車はあくまで政治活動用の車両であり、候補者への投票を直接呼びかけることは認められていません。

だからこそ重要なのは、「選挙運動」と「政治活動」の違いを正しく理解し、制度をきちんと使い分けることです。

選挙カーは候補者本人を届ける車。
確認団体車は政党の政策や存在感を広げる車。

この違いを理解して設計できている陣営ほど、無理なく、そして安全に選挙戦を進めることができます。

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